ファーウェイのスマートホームはHarmonyOSで統括
中国では不動産バブルが弾け始めているというニュースは流れているものの、依然として中国経済を牽引している市場のひとつが国内の不動産業だ。ファーウェイも例外ではなく、中国本土では不動産関連の分野にも進出している。
しかし、ファーウェイが直接不動産のやりとりをしているのではなく、担っているのは「スマートホーム」の分野。ファーウェイはプレス向けのツアーを開催し、中国本土でのスマートホームへの取り組みについて説明した。
別の記事でも伝えているが、ファーウェイは深センにある直営のフラッグシップストアでスマートホームのデモ展示ブースを設置。リビングやダイニング、キッチンといったシチュエーションで、ファーウェイの「HarmonyOS」と連携したIoT機器を数多く使い、音声でのコントロールなどが体験できるようになっていた。
このデモ展示のスケールを大きくしてラボとして運営しているのが、同じく深セン市内にある「方舟壹号空间智能开放实验室(アークワンスペースインテリジェントオープンラボラトリー)」と命名されたスマートホームラボ。ファーウェイおよび不動産関連やホテル関連といった企業、住宅都市農村開発省科学技術産業開発センターなど複数の企業や団体が共同で2023年2月にオープンしたばかり。
巨大な高層ビルの複数フロアーを使い、1フロアーの広さは約8600平方メートル。共同イノベーションセンター、成果体験センター、産業開発センターの3つのエリアで構成され、HarmonyOSを使ったスマートホームを様々なシチュエーションで体験できる。
家の中のスマホやタブレットでデバイスを制御
同ラボでは、信頼性、コントロール性、AI感知能力を高めることを重視しており、さまざまなスマートデバイスのコントロールやエネルギー管理、セキュリティーなど、ユーザーのニーズに対応する機能を披露している。
たとえば住居エリアでは、ファーウェイのスマートロックが導入されており、顔認証、指紋認証、パスワード、NFCなど多様なロック解除方法が利用可能。スマートフォンや室内に設置されたタブレットを使って、家のデバイスを操作でき、各部屋に設置されたルーターやPLCにより、高速なネットワーク環境も実現している。
室内の各空間にはAIセンサーも設置され、人の動きを感知して照明を自動で制御。また、各デバイスはタブレットからの操作のほか、音声でのコントロールも可能。たとえば「食事モード」や「記念日モード」など、様々なシーンに合わせた照明や音楽を自動で設定できる。
リビングエリアでは、「リラックス」したい状況をなるよう音声で伝えると、カーテンが閉まり落ち着いた照明に変化するほか、座っているリクライニングチェアーも自動で快適な設定まで背もたれが倒れていくといった具合だ。施設を案内した担当者によると「音声コントロール機能が非常に便利であり、特に高齢者には使い勝手が良いと評価されている」と話していた。
住宅だけでなくオフィスやホテルなどでも利用可能
ファーウェイのフラッグシップストアと違い、このラボでは一般の住宅だけでなく、ホテルの部屋やオフィス、教室といったスペースも用意。仕事からプライベートまで、すべての環境でHarmonyOSを使ったスマートホームが利用できる点をアピールしていた。
また、ラボにはエネルギーを貯蓄する装置も設置されており、停電時でも安心して生活できる環境を整えている。すべてが電気を使って動くようになっているからこそ、蓄電設備を重要視しているわけだ。
スマートホームを導入することで、さらに不動産価値を上げるという狙いがあるようで、現地では今回のプレスツアーのほか、中国人グループの見学ツアーも別途行なわれているのを目にしており、現地での注目度の高さも感じられた。