ヘルスケア研究の総本山「ファーウェイヘルスラボ」
スマートウォッチやスマートバンドなどのヘルスケア製品に注力しており、日本市場でも注目を集めているファーウェイ。ファーウェイのこれらヘルスケア製品を生み出している研究拠点が、中国・東莞市にある「ファーウェイヘルスラボ」だ。ファーウェイはプレス向けのツアーを開催し、ファーウェイヘルスラボを公開したので紹介しよう。
東莞市に開設したファーウェイヘルスラボは、2021年10月に中国国内で3ヵ所目としてオープンしたヘルスケア技術の研究拠点。松山湖管理委員会と万科集団の支援を受け、中華人民共和国体育総局スポーツ科学研究所およびスポーツ情報センターと共同で建設しており、総面積は4680平方メートルで、ファーウェイ最大のスポーツ・健康科学ラボとなっている。
屋内にはバスケットコートやロッククライミング施設、屋外はマラソンや自転車などが走行できるトラックなど、スポーツトレーニングの設備があり、研究開発者による80種類以上の試験に対応している。
ハイスピードカメラで運動中の人体を捉える
施設を見てみると、一般的なトレッドミルなどが置かれていて、一見するとスポーツジムのような様相だが、それだけではなく高度な技術をふんだんに投入した施設となっている。たとえばバスケットコートには、赤外線ハイスピードカメラを28機設置しており、360度の全方位から、ミリ秒単位で人体の肉体運動をモニタリングできる。
また、陸上用トラックには7000以上の圧力センサーがあり、高精度な圧力分布測定ができる。これにより、足底の圧力分布や直立時と運動時のバランスデータを測定し、より精確にランニング時の姿勢をチェックできる。このデータを元にランニング姿勢のコーチングをすることで、ケガなどのリスク低減を実現している。
またこのラボでは「高原血中酸素レベルモニタリング」機能をサポートするため、ファーウェイのラボとしては初めて、高原模擬室を設置。様々な高度と気象条件をシミュレートすることができ、製品やセンサーのパフォーマンスを測定するための専用の測定器を用いて、高原での身体の反応リスクを評価。呼吸トレーニングや健康アドバイスを提供できる。
「スイミング研究エリア」には長さ5.02×幅2.52×深さ1.6mのプールに、プロペラ、水質測定システム、温度調整システム、水中運動リハビリ設備を設置。公海水域の環境をシミュレーション可能となっている。
これにより、ウェアラブルを着用した状態で海での水泳状態のシミュレーションが実施できるのだ。特殊な水中センサーで被験者の水泳時の前進速度を測定し、それに合わせてプロペラを作動させることで、同じ速度の波を生成。大きなプールでなくても、水泳の状態を再現できるようになっている。さらに、温度調整機能により5~45度の範囲で水温をコントロール可能で、春から冬までのさまざまな環境をシミュレーションできる。
泳いでいる被験者には、水中カメラを用いて手足のふり幅や体の角度などを分析。これらのデータは、水泳時の姿勢識別や水中心拍数の計測などに活用され、「HUAWEI WATCH GT 3」の水泳データ計測機能の開発にも寄与している。
血圧測定では8年にわたり研究を続けているファーウェイ
このファーウェイヘルスラボがオープンして約2年が経過し、ウェアラブルやヘルスケアでの分野も約10年の実績を積み重ねているファーウェイ。同社がこの中でもっとも重視してきたポイントについて、Gong Yuansong氏(Vice President,Smart Wearable and Health Product Line,Huawei Consumer Business Group)は「過去10年間、ファーウェイはウェアラブル業界で開発とイノベーションを推進し、バッテリー持続時間、正確な測定、長期着用の3大課題を克服してきたこと」と話している。
また、こういった研究施設を数多く作ることで、特許技術についても大きく実績を上げているとのこと。Gong Yuansong氏は「800件以上の特許を有し、特に血圧測定に関する研究では8年の長きにわたり研究を重ねている。HUAWEI WATCH Dに搭載されている高精度圧力センサーやHUAWEI TruBP 血圧アルゴリズムなど、他の企業が追随できない技術を開発している」と、高い技術の実現はこれら研究施設が大きく寄与していると説明していた。
中国市場では3年連続1位のシェアを誇るファーウェイのウェアラブルおよびヘルスケア製品。Gong Yuansong氏は「日本市場でも確固たる地位を築いており、今後さらに多くのユーザーに支持されることを期待している」と話していた。
また、同じく東莞市にあるオーディオラボも公開。こちらは写真撮影禁止となっていたが、一般的なオーディオ機器メーカーが備えている無音室での実験設備や、ロボットアームを使った製品耐久テストなどが行なわれており、ファーウェイのオーディオ機器の品質の高さがうかがえた。