USB-C搭載、Proはチタンで軽量化! iPhone 15徹底大特集 第92回
アップル「iPhone 15 Pro」100円ショップのUSB-Cケーブル使えました
2023年10月04日 17時00分更新
「iPhone 15」シリーズから本体側の充電端子がUSB-Cとなり、これまでのようにアップルの認証済みケーブルに頼る必要がなくなった一方、ネット上では一部のユーザーから「iPhone 15シリーズで正常に認識できないUSB-Cケーブルがある」との声も挙がっている。
こうした機器同士の相性問題は、なるべくなら避けたいもの。特に旅行や出張先でUSBケーブルを忘れたり紛失した際は、絶対に遭遇したくない。
そこで本稿では、旅先でも安価で入手しやすい100円ショップの製品を対象に、筆者の「iPhone 15 Pro」と実際に接続して問題なく使えるかどうか検証した結果をご紹介する。
チェック対象の製品と選定条件
100円ショップのUSBケーブルと言っても、実際はかなりの数の製品が扱われている。さすがにすべてのケーブルを検証することは難しいため、今回は以下の2つの条件を満たした製品を対象とすることとした。
●選定条件
- 100円台の価格で販売されていること(理由:数百円台の製品は家電量販店などでも販売されており、わざわざ100円ショップで購入する必要はないため。)
- ケーブル長1m前後の製品であること(理由:比較的品揃えが多く、利用頻度の高い長さと推定されるため。)
購入に際してはダイソー、キャンドゥ、ローソンストア100など複数の100円ショップチェーンを利用。上記の条件を満たす製品として、次に挙げる5つを選定した。アットキュー以外の製品はすべて充電とデータ通信の両対応で、長さ約1m、価格は110円だ。アットキュー製品に関しては充電専用で長さは約0.7m、価格は130円となっている。
●USB-A to Cケーブル
- 「Type-Cアルミプラグ充電・転送ケーブル」(ダイソー)
- 「Type-C急速充電ケーブル」(ecola)
- 「charging cable for Type-C」(山田化学)
●USB-C to Cケーブル
- 「Type-Cアルミプラグ充電・転送ケーブル」(ダイソー)
- 「超急速PD充電対応 Type-C パソコン・タブレット充電ケーブル」(アットキュー/充電専用/0.7m)
チェック項目
今回チェックする項目は以下の4点。検証には「iPhone 15 Pro」と「Mac mini(M2)」のほか、市販のUSB電流電圧チェッカーを使用した。
●データ通信関連(対応製品のみ)
- PCと接続してデータ通信はできるか(検証方法:iPhoneとMacを当該ケーブルで接続し、データの同期作業を実施。)
- 最大通信速度について、パッケージ記載の数値とPC側の認識に齟齬はないか。(検証方法:Macのシステムレポートの情報を確認)
●充電関連
- 正常に充電できるか
- パッケージ記載のスペック(出力)に近い状態で充電できるか
データ通信については、本来なら実際の通信速度も測定すべきだが、今回は省略した。iPhone 15 ProはUSB3.0以上のケーブルを使用することで、より高速なデータ通信に対応するが、今回検証するデータ通信可能な製品はいずれもUSB 2.0止まり。データ通信速度を重視するユーザーにはそもそも選択肢とならないため、実測は不要と判断した。
データ通信編:4製品いずれも問題なし
まずデータ通信について、充電専用のケーブルを除いた4製品をチェックした。
結果、いずれもiPhoneとMacとの間で正常に同期を完了。参考として用意した大手メーカー製のケーブルと比較しても、同期に要した時間はほぼ変わらなかった。
Mac側のシステムレポートについても、4製品いずれも最大通信速度480Mbpsと表示されており、USB 2.0のケーブルとして認識していた。大量のデータをやり取りするような場面では通信速度が足枷となることもあるだろうが、そういった用途でなければ実用上問題はないと考えて良さそうだ。
ちなみに、充電専用ケーブルも念の為チェックしてみたが、充電はできるもののシステムレポートには何も表示されず。パッケージに記載の通り、充電専用だった。
結論(1):通信速度が遅くても良ければ問題なく利用できる
充電編その1:USB-A to Cケーブルはほぼ同じ結果に
続いては充電だ。検証方法はiPhone 15 Proのバッテリー残量を10%前後に減らした状態で充電器と接続するというもの。充電器とケーブルの間にはチェッカーを挟み、電圧と電流を測定した。
□ダイソー Type-Cアルミプラグ充電・転送ケーブル(USB-A to C版)
本製品の最大出力は3A。USB-A端子のケーブルの場合、電圧は通常5Vなので、最大で15Wの出力まで対応できることになる。
結果を見ると電圧は予想通り5.3V付近を推移。電流は最大3Aのところ、およそ半分の1.46A付近で張り付いており、単純計算で7.7W程度の出力となっていた。
後述するUSB-C to Cケーブルに比べると充電速度は劣るが、急ぎの状況でなければ必要十分な性能は確保できていると言えそうだ。
□ecola Type-C急速充電ケーブル
次はecola Type-C急速充電ケーブル。こちらも最大出力3Aを謳っている。先に挙げたダイソー製品と同じく電圧の記載はないが、5Vと仮定すると最大出力は15Wとなる計算だ。見た目もダイソー製品とよく似ているが、製造メーカーが同一か不明なため、今回は別製品として検証した。
気になる結果は、電圧が5.2~5.3V前後、電流は1.46Aでほぼ固定されており、およそ7.7Wとなった。
□山田化学 charging cable for Type-C
続いて、山田化学の「charging cable for Type-C」は公式に最大5V/3A対応を謳う製品。パッケージ裏にはLightning端子の端末に接続できないことやUSB PD非対応の旨が記載されるなど、今回取り上げた製品のなかでは、購入者向けの案内が比較的充実した製品でもある。
そんな本製品の結果は、ecola製品とほぼ同じ。電圧が5.2~5.3V前後、電流は1.46Aでおよそ7.7W出力というものだった。
結論(2):USB-A to Cケーブルはいずれも7.7W程度の出力が期待できる
充電編その2:USB-C to Cケーブルはダイソー製品が善戦
最後はUSB-C to C仕様の2製品。検証方法はUSB-A to Cケーブルと同様だ。
□ダイソー Type-Cアルミプラグ充電・転送ケーブル(USB-C to C版)
こちらの製品は同じダイソーのUSB-A to Cケーブルと同じ商品名だが、端子はUSB-C to C仕様となっている。パッケージもよく似ているので、購入時は間違えないように注意が必要だ。
パッケージの記載によると充電時の最大出力は3A。電圧の記載がない点はUSB-A to C版とほぼ同じだが、結果はどうだろうか?
まず電流は2.1A前後とこれまで検証したケーブルより若干高め。電圧も8.87VとUSB-A端子のケーブルより高くなっており、単純計算で約19W。USB-A to Cケーブル3製品の平均が約7.7Wなので、本製品の方が2.5倍程度大きな出力に対応できていることになる。
仮に本製品の仕様を最大9V/3Aとした場合、最大出力は27W。性能を出し切っていないという点では他のケーブルと変わらないが、iPhoneの充電用として考えれば十分だろう。
急速充電に対応し、USB 2.0ではあるがデータ通信も可能。価格も100円ショップの標準価格(110円)に収まっており、かなりコストパフォーマンスの良い製品といえる。
□アットキュー 超急速PD充電対応 Type-C パソコン・タブレット充電ケーブル(充電専用)
最後に紹介するのはアットキューの「超急速PD充電対応 Type-C パソコン・タブレット充電ケーブル」。こちらは充電専用となっており、他の4製品と比べると長さはおよそ30cm短い約0.7m。価格も20円高い130円だが、今回取り上げた製品では唯一USB PDに対応している。
PD充電時の最大出力は20V/3A(60W)。iPhoneの充電用としては明らかにスペック過剰だが、PCなどの充電ケーブルと兼用するなら、60W対応は好都合だろう。
そんな本製品の結果は、電流が2.1〜2.2A、電圧が8.8〜8.9V。およそ19Wの出力となった。iPhone 15 Proの急速充電用としての役割は十分に果たせる結果だ。
結論(3):USB-C to Cケーブルなら20W弱の急速充電が可能
まとめ
最も驚いたのは各製品、特にUSB-C to Cケーブルの品質が筆者の予想を大きく上回っていたことだ。正直なところ検証前は認識不良や性能が極端に低い製品も出てくるかと予想していたが、見事に覆された。
もちろん、高性能を求めるなら、より高価な製品を選んだ方が満足度が高いことは確かだ。逆に「とりあえず充電できればいい」とか「遅くても良いからデータ通信機能が欲しい」といった使い方なら、100円ショップのケーブルも選択肢の1つにはなるだろう。
この記事で取り上げた5製品に関しては、少なくとも筆者のiPhone 15 Proでは問題なく動作した。出先で急にUSBケーブルが必要となったときなどに参考となれば幸いだ。
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