G-Master Hydro Z790 Mini/D4をレビュー
i7-13700K&RTX 4070 Tiのデュアル水冷をミニタワーゲーミングPCに詰め込んだ意欲作
2023年08月25日 10時00分更新
余裕がないハズなのにキレイで整然としたレイアウト
前ページのスペック表を見てもらえるとわかるように、試用機は標準構成と同じ構成だった。CPUはCore i7-13700K、ビデオカードはGeForce RTX 4070 Ti搭載モデルを採用しているので、ハイエンド寄りのアッパーミドル仕様と言える。
一般的に、ミニタワーPCケースの内部は余裕がないことが多い。しかし、G-Master Hydro Z790 Mini/D4の内部はスッキリとしており、高効率なエアフローが期待できるレイアウトだった。
マザーボードが全体の4分の3ほどの面積を占拠しているものの、すぐ横には裏配線用のホールがあり、無駄なくレイアウトされている印象だ。背面にはビデオカード用のラジエーター、天面にはPCケースファンとCPU用のラジエーター、前面にはPCケースファンと、周囲もこれ以上PCパーツを取り付ける場所がないほど詰め込まれている。
これだけ数多くの目立つPCパーツを搭載しながら、それでもスッキリとした印象になっている理由は、組み立て技術の高さゆえ。水冷クーラーのチューブはどうしようもないが、電源ケーブルなどの露出は必要最小限に抑えている。
裏配線はケーブルの形状を見定め、最小のスペースで済むように適切にまとめられている。端の溝をはうように丁寧に引き回し、長さの余っているケーブルもそのままにせず、束ねて散らからないようにしているという徹底ぶり。こういった見えない部分まで丁寧に仕上げる仕事は、サイコムの得意とするところだ。
ちなみに、裏面からは前方下段の3.5インチ用ドライブベイにアクセスできる。2.5インチ用のドライブベイも電源ユニットの上に見える。つまり、ストレージを増設する場合でも、裏面で配線が完了するので表面がごちゃつく心配はない。
PCケースファンとうまく共存する2つの水冷クーラー
表面の内部へ話を戻そう。G-Master Hydro Z790 Mini/D4の水冷クーラーはCPU用、ビデオカード用のどちらもポンプ一体型の簡易モデルで、ラジエーターサイズはいずれも120mmと小型だ。
Core i7-13700Kを冷やすには、いくら水冷とはいえ120mmラジエーターはさすがに小さいと感じてしまうかもしれない。しかし、冷却性能で定評のあるAsetekの「650LS RGB」に、静かながらしっかりとした風量のNotuaの「NF-F12 PWM」を組み合わせることで、高い冷却性能を実現している。
ビデオカード用水冷クーラーも120mmラジエーターで、ファンはFractal Designの「Dynamic X2 GP-12」だ。10万時間という驚異的な長寿命をうたう製品で、新型ベアリングで長期間使っても軸がブレにくく、静音性も優れているとのこと。
この2つの水冷クーラーは排気用のPCケースファンも兼ねている。つまり、ラジエーターに移動した熱を直接PCケース外に排出できるのだ。ラジエーターのファン以外に、PCケースファンは2基装備している。1基は前面にある140mmの大型ファン。このファンで冷たい外気を取り入れ、CPUクーラーのラジエーターに風を送り込む。
もう1基のPCケースファンは、天板後方に配置。CPUクーラーのラジエーターと並んでいるという、少々ユニークなレイアウトだ。PCケースの仕様としては、前面ファンを2基にするという手もあったはずだ。しかし、それだと下段ファンからの風はビデオカードにあたるだけで、肝心のラジエーター周辺までは届かない。
そこで、前面からの吸気はCPUのラジエーター用、天板からの吸気はビデオカードのラジエーター用という割り切ったレイアウトにしたのだろう。天板からの吸気となると、ホコリやゴミを吸い込みやすくなりそうなものだが、その点は安心してほしい。天板にしっかりと吸気フィルターがあり、ツールレスで取り外せるのでメンテナンスがラクだ。
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