ソラコム、次世代SIMテクノロジー「iSIM」を商用化。対応モジュール提供へ
ソラコムは7月6日、IoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」において、SIMの次世代技術である「iSIM」に正式対応し、iSIM対応モジュールをSORACOM IoTストアにて提供開始することを発表した。
iSIM(Integrated SIM)は、従来のセルラー通信において、独立したコンポーネントとして存在していた通信モジュールとSIMやeSIMの機能を、1枚のチップ(SoC:System-on-Chip)に集約する技術規格。物理的なSIMやeSIMが不要になることで、基板スペースの削減や回路の簡素化によるモジュールの小型・軽量化、省電力化、処理能力向上、コスト削減、商流の簡素化などが見込まれ、従来のSIMやeSIMが抱えていた多くの課題が解決されることが期待されるという。
加えて、チップ内でハードウェアとしてセキュアな領域が確保できるため、安全性が高いことから、次世代のSIMテクノロジーとして注目されている。
同社は、IoTプラットフォームSORACOMを通じて、セルラーIoTおよびSIMの先進技術の検証と実装を進めており、2017年に産業機器向け、2020年2月にコンシューマー向けのeSIMにも対応した。いずれもOTA(Over the Air、無線経由)でのサブスクリプション(契約回線)の書き換えに加えて、1枚のSIMに複数の回線契約を格納し、必要に応じて切り替えるソラコム独自技術の「サブスクリプションコンテナ」機能も開発、商用提供している。
2021年7月にはセルラーIoT向けのチップセットを開発するSony Semiconductor Israelと、セルラーIoTデバイス向けにセキュアな認証情報を提供する「Kigen」提供元のKigenとソラコムの3社で、iSIMに関する実証実験を実施した。
今回、ユーザーからのiSIM対応製品についての問い合わせの増加、モジュールベンダー各社におけるiSIM対応プロダクトの拡充、ソラコムの各種SIMテクノロジーのiSIM向けの機能開発といった準備が整ったことから、正式にiSIMの商用提供を開始した。
あわせてiSIM対応モジュールである、Quectel「BG773」と村田製作所「Type 1SC」を、SORACOM IoTストアおよびユーザーコンソールにて提供する。なお、今回提供するiSIM対応モジュールは「サブスクリプションコンテナ」機能にも対応し、従来のSIMやeSIM同様に、複数の回線契約を1台のiSIM対応モジュールの中で切り替えて利用できる。
なお、日本でのiSIM対応モジュールの提供開始は、2023年中を予定している。iSIMの導入を検討する場合、ソラコムのウェブサイトにて問い合わせに対応している。