IIJは6月27日、1枚のSIMカードで複数の携帯電話網に接続可能な「マルチプロファイルSIM」をネットワーク機器及びIoT端末事業者向けに提供開始した。
ハードウェアの設計変更が不要
マルチプロファイルSIMは、1枚のSIMカードの中に、複数の通信事業者のプロファイルを保持することが可能。端末側でコマンドを実行することにより自由に切り替えることができる。
これまでのSIMカードを2枚同時に使うデュアルSIM運用は、SIMスロットを機器に複数用意する必要があり、ハードウェアの設計変更など高いハードルがあった。
一方、マルチプロファイルSIMは、1枚で複数のキャリアを切り替えて利用できるため、ハードウェアの設計変更が不要。ソフトウェアの小規模な改修を行なうことで既存端末の対応が可能だという。
ローミングよりも確実かつ安価
また、ローミング技術を用いれば1枚のSIMで複数のキャリアに接続することは可能だが、ローミング事業者が運用する加入者データベース(HLR/HSS)に障害が発生すると利用できなくなるという弱点がある。
マルチプロファイルSIMはそれぞれのプロファイルの加入者データベースが独立しているため、片方のプロファイルを管理する加入者データベースに障害が発生している場合でも、もう片方のプロファイルに切り替えて通信を継続することが可能となる。
さらに、ローミング接続ではないIIJプロファイルをメインで選択することで、使用料金も大幅に節約できるという。
コネクシオの通信冗長化サービスに採用
本製品は開発後の2022年10月より、IoTシステムインテグレータのコネクシオとPoC(Proof of Concept、概念実証)を実施してきたが、今回コネクシオのエッジコンピューティング・ゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」の「モバイル回線自動切り替え機能」用に正式に採用された。
これにより、災害や障害などで主回線の通信断が発生したときは自動でサブ回線に切り替え、継続的にデータ収集を行えるという。