伝統工芸の輪島キリモト、結婚相手紹介サービスのオーネットが事例を紹介
Zoomの拡がる可能性を体感、リアルイベント「Zoom Experience Day Tokyo」
2023年05月19日 11時00分更新
コロナ禍の数年間、多くの人がリモートワークを体験したことで「『Zoom』と言えばオンライン会議ツール」というイメージがすっかり定着した。だが、それはZoomが提供するサービスの一部分にすぎない。Zoomは、幅広いオンラインコミュニケーションツールを統合した「UCaaS(Unified Communication as a Service)プラットフォーム」として進化を遂げているのだ。
2023年4月26日に東京・原宿で開催された「Zoom Experience Day Tokyo」では、そうしたZoomプラットフォームの幅広い可能性を、導入事例を含むセッションやライブデモ、スポンサーによる展示などを通じて紹介した。本記事ではその一部をレポートする。
なお、Zoom Experience Day Tokyoのキーノートや事例講演、一部セッションはオンデマンド配信も行われている(2023年7月31日まで)。ぜひオンラインでもご視聴いただきたい。
ビジネスから日常生活まで、広範な影響力を持つようになったZoom
ZVC(Zoom Video Communications)日本法人 代表取締役 会長兼社長の下垣典弘氏によるキーノート「新たな世界へ ― Delivering Happiness」では、UCプラットフォームとしてのZoomが目指すもの、そして今後の方向性などが語られた。
現在Zoomのサービスは、Fortune 100企業の86%、Fortune 500企業の71%、そして世界トップ50大学の92%(46校)で利用されている。ただし下垣氏は、他社と比べた場合のZoomの特徴はこの高い市場シェアではなく、企業のビジネス活動から個人の日常生活にまで広く浸透している点だと強調する。
「Zoomは、社会や人の生活にも大きな影響力を持っています。これがZoomの自負であり、(利用者への)感謝でもあり、われわれの使命であると思っています」(下垣氏)
そうしたZoomの影響力は、現在の日本社会が抱える課題解決を考えるうえでも欠かせないものになっている。下垣氏は「新しい働き方」「日本のデジタル化/DX」「ビジネスのグローバル化」といったテーマを挙げて、それぞれの変革をZoomのツール群がサポートできることを紹介した。
下垣氏が特に重点を置いて話したのが「新しい働き方」だ。パンデミック下におけるリモートワーク経験もあり、現在では多くの企業従業員が「働き方の選択肢」を求めている。
「言い方を変えれば、働き方の選択肢がない企業には従業員が集まらなくなります。最近、経営者の方と話していてよく話題に上るのが『就職活動で学生が来てくれない、来てもすぐに辞めてしまう』ということ。現在の若者はオンライン授業を受けてきた新しい世代であり、『毎日オフィス出勤する』以外の選択肢がなければ、従業員エンゲージメントは高まりません」(下垣氏)
Zoomのさまざまなサービス群が、そうした「働く場所や時間の制約からの解放」と「高い業務成果」の両立に役立つことは言うまでもない。下垣氏は、企業経営者は経営効率を高めつつ、従業員がより豊かな人生を過ごせるようなハイブリッドワークのバランスを考えていく必要がある、とアドバイスする。
コミュニケーションの“ひとつの流れ”を作るZoomプラットフォーム
Zoomでは、従業員どうしのコラボレーション、顧客とのコラボレーションを支援するさまざまなツール群を提供している。これらは単一のZoomプラットフォーム上に構築されており、ツール相互の機能連携、管理の簡素化、そしてAIによるさまざまな支援機能を実現する。
「Zoomでは1つのソフトウェアプラットフォームの中で、チームチャット、電話、ミーティング、ルーム、コールセンターといった“ひとつの流れ”を作っています」「電話やチャット、ビデオといったすべてのコミュニケーションを統合し、そのデータをAIが活用することでさまざまなことができます。従業員、顧客とのコラボレーションをより良いかたちにして、われわれの考える“Delivering Happiness”、『すべての人に幸せをお届けする』を通じて幸福度を上げるということになります」(下垣氏)
現在Zoomが最も注力し、売上を伸ばしているのがクラウドPBXサービスの「Zoom Phone」だ。すでに日本を含む世界47カ国でサービスインしており、550万ライセンス超が顧客企業で利用されている。
Zoom Phoneを使えば、たとえば会社の代表番号にかかってきた通話を、リモートにいる従業員個々人のスマートフォンやPCフォン(アプリ)で受けることができる。“電話番”のために出勤する必要がなくなるため、柔軟なハイブリッドワーク実現の後押しとなる。もちろんその逆に、スマートフォンから会社の代表番号を使った発信も可能だ。そのほか、コールモニタリングやウィスパリングといったコールセンター向けの機能も備える。
下垣氏は、Zoom Phoneは管理がシンプルで通話品質が高いこと、グローバルに利用できること、安価に使えることなどの特徴から人気が出ていると説明する。さらに今年(2023年)2月には、KDDIとの協業による「Cloud Calling for Zoom Phone」も提供開始している。これはZoom PhoneをクラウドPBXとして使い、KDDIのクラウド音声電話基盤を介して発着信できるというものだ。
最後に下垣氏は、日本でもリリース予定のオムニチャネルコンタクトセンターシステム「Zoom Contact Center」を紹介した。Zoomプラットフォーム上で構築された同サービスは、多様な顧客接点(チャット/電話/ビデオ通話)を自在に行き来しながら、顧客ロイヤルティとリテンションの向上を実現する効率的なツールだ。
「たとえばIVR(自動音声応答)のコールフローなども、専門業者に依頼することなく、ユーザー自身で簡単に設定や修正ができます。また、これまでさまざまなツールを導入してオムニチャネルに対応してきたコンタクトセンターも、このシステム1つだけでよくなります。もちろんZoomなので通話品質も良く、録画もできます」(下垣氏)
導入事例:“漆のスタジオ”から伝統工芸を世界に発信する輪島キリモト
Zoom採用事例セッションではまず、輪島キリモト 代表の桐本泰一氏が石川県輪島市からリモート出演した。
輪島キリモトは、伝統工芸である輪島塗の産地において、木地づくりの職人、漆塗りの職人を抱える工房だ。桐本家は200年以上に渡って木と漆の仕事に携わり、桐本氏はその7代目にあたるが、輪島キリモトでは伝統技法を継承しつつ、現代の生活スタイルやインテリアデザインにマッチする漆の器、家具、内装材などを制作している。
同社では2022年7月、本店内に「漆のスタジオ」をオープンした。この店舗兼スタジオにはNeatframe(ニートフレーム)のWeb会議専用デバイス「Neat Bar Pro」「Neat Frame」を導入しており、Zoom Meeatingsを通じて、クリアな映像と音声で取引先との商談や打ち合わせができる。桐本氏は、現在では週平均で3~4回、多いときは1日4回ほどこのスタジオを利用していると語る。
「わたしが出張に行かなくても、Zoomを使ってお客様に直接、質の高いプレゼンテーションができると考え、漆のスタジオを作りました」「さまざまな漆器や内装材のサンプルを置いていますが、わたしがスタジオ内を移動しながら説明をしても、Neatの機材が自動的に追尾(オートフレーミング)してくれます。また、製品やサンプルの色味や質感もわかりやすく再現できるので、取引先のデザイナーやクリエイターなどとも話がしやすい環境です」(桐本氏)
桐本氏は今後の目標として「伝統工芸という古い世界にあっても、こうした最新鋭の機器を使って世界中の方々とリアルに話をしていく。それにより、日本の伝統工芸の良さ、世界にオンリーワンの日本をどんどんPRしていきたい」と語った。
導入事例:月数百万円の通話料削減、オンライン婚活イベントも成功したオーネット
結婚相手紹介サービスのオーネットからは情報システム部 マネージャーの原田幸彦氏が登壇し、同社がZoom MeetingsやZoom Phoneを採用した経緯や、導入後のコスト削減効果などを紹介した。
オーネットは創業43年目、全国40支社/17サテライトを展開する結婚相談所ビジネスの大手企業だ。結婚を希望する会員に各地域の担当アドバイザーが寄り添い、データマッチングやプロフィール検索、婚活パーティ/イベント、アドバイザーによる紹介などを通じて、成婚につなげていく仕組みだ。
幸せな結婚というゴールに至るためには、まず、会員とアドバイザーの面談による丁寧なヒアリングとカウンセリングが欠かせないという。
「会員であるお客様の過去の話から、結婚観、あるいは家庭環境の話まで、一つひとつ丁寧にお聞きして、より良いお客様の未来、結婚というゴールを一緒に目指すことになります。もう本当に人生相談のような話になりますから、基本的にはご来社いただいており、それが長時間になることも珍しくありません」(原田氏)
しかし、そこにコロナ禍が襲ってきた。会員とアドバイザーが直接面談することが前提だったため、オーネットのビジネスにも「大変厳しいインパクト」があった。原田氏は「面談を『オンラインにせざるを得なくなった』というのが正直なところ」だと振り返る。
複数のWeb会議サービスを検討したうえで、オーネットが選択したのがZoom Meetingsだった。選択した理由は「お客様に案内しやすい、操作しやすい、わかりやすいもの」だったからだという。「お客様とお話ししていても『Zoom』と言うだけで伝わります。やはり知名度が高いですね」(原田氏)。
他方で、それまで導入していたIP電話機器のリプレース時期も迫っていた。会員とアドバイザーの通話は長時間に及ぶことも多く、通話料は基本的にオーネット側で負担するため、この機会にコストを下げられる方法を検討することになった。こちらでも複数のサービスを比較した結果、選択したのがZoom Phoneだった。
「やはり大きかったのは通信コストでした。シミュレーションをした結果、Zoomのかけ放題プラン(固定料金で国内通話無制限のプラン)を使えばかなり通信料金が下げられることがわかりました」(原田氏)
加えて、先にZoom Meetingsを採用していたことも理由になったという。たとえば会員と電話で話をしていて、何か画面を見せて説明したいときに、Zoom PhoneであればシームレスにZoom Meetingsに切り替えることができる。
導入後、まずZoom Phoneによって月額数百万円の通信コスト削減が実現した。また、Zoom Meetingsはオンラインでの婚活イベント開催にも利用しており、特にイベント参加者が1対1で会話できる「ブレイクアウトルーム」が必須の機能になっているという。
「リアルイベントでもそうした席を設けていましたが、どうしても隣の席の会話が聞こえてきたりします。Zoom Meetingsのブレイクアウトルーム機能を使えば、オンラインで1対1の会話が簡単に実現できますし、隣の会話も聞こえません。リアルでできないことがオンラインでできるようになったと思っています」(原田氏)
原田氏は最後に、オーネットの社員自身の働き方も変わったと紹介した。Zoomの導入によってリモートワークへの移行がスムーズに進み、原田氏自身も現在は週1、2日のみ出社する働き方に変わったという。
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そのほかZoom Experience Day Tokyoの会場では、ZVCや協賛パートナー各社によるライブデモ展示も行われ、来場者が熱心に説明を聞く姿が見られた。
☆☆☆「Zoom Experience Day Tokyo」オンデマンド配信のご案内 ☆☆☆
現在、以下のセッションをオンデマンド配信中です。
ぜひオンラインでもイベントをご体験ください!(2023年7月31日まで)
■キーノート「新たな世界へ Delivering Happiness」
ZVC JAPAN 代表取締役 会長兼社長 下垣 典弘
■お客様事例セッション(1)
輪島キリモト 七代目 桐本泰一氏
オーネット 情報システム部 マネージャー 原田幸彦氏
■お客様事例セッション(2)
DNP情報システム 取締役専務執行役員 宮本和幸氏
IXホールディングス デジタル事業本部執行役員 グループCIO 兼 CPRO 神山大輔氏
■スペシャルセッション「人間とAIの融合の『未来』」
東京大学 薬学部 教授 池谷裕二氏
オンデマンド配信はこちらから⇒ https://zm.me/ZoomExpDay23Spr_OD_ASCII
(提供:ZVC JAPAN)