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“10年間一括2000円(税抜)”の圧倒的低価格! 世界140カ国以上で利用できる「1NCE IoTフラットレート」

プリペイドIoT SIM「1NCE」が狙う、日本のIoTビジネスの大変革とは

2023年01月27日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: 1NCE

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1NCE(ワンス)はドイツ発の「IoT向け」に特化した通信事業者(MVNO)だ

 「何年も前からIoTに対する期待と注目は高まっていますが、それでもまだ『IoTはブレークスルーしきれていない』と感じています。IoTにある“足かせ”を取り払い、本来の可能性を引き出して、お客様のIoTビジネス拡大を支援していく――。それが、1NCE(ワンス)がIoT専用通信サービスを提供する狙いです」(1NCE 小野仁氏)

 IoT製品やIoTサービスの開発と提供において、大きな障壁となってきたのが「通信回線」の問題だ。エンドユーザーの利便性を考えるとモバイル回線まで組み込んで提供することが望ましいが、そうするとメーカー側で「通信コストが高い、予測できない」「国ごとに通信事業者が異なり、グローバル展開しづらい」「大量の回線(SIM)管理に手間がかかる」といった数々の課題も抱え込むことになる。それが原因で、製品のIoT化を断念したというケースも少なくないだろう。

 こうした課題をシンプルなかたちで解消するのが、“IoT専業”の通信事業者(MVNO)としてグローバル展開する1NCEの法人向け通信サービス「1NCE IoTフラットレート」だ。低容量IoT向けに、10年間/500MB/SMS 250通まで利用できるモバイル回線を「1回線あたり2000円(税抜)」のプリペイド形式で提供する。一般的なモバイル回線のような月額基本料や、従量制で毎月増減する利用料などは不要だ。

 さらに、この価格には世界140カ国以上でのローミング通信、大量の回線(SIM)を管理するプラットフォームもパッケージされており、SIM 1枚からでも簡単に購入できるというから驚きだ。日本では昨年(2022年)10月から、その優位性を高く評価したソフトバンクが法人営業活動を開始している。

 今回は、日本/アジア地域への本格展開を開始した1NCE(日本法人)代表取締役 社長の小野仁氏と、同社に出資して日本を含むアジア19カ国での独占営業権を獲得したソフトバンク グローバル事業本部 新規事業統括部 統括部長の工藤裕哉氏に、1NCEが提供するIoT専用通信サービスの特徴と優位性、さらには日本のIoT製品/サービス開発に与えるインパクトなどを聞いた。

1NCE 代表取締役社長(日本・アジア統括担当)の小野仁氏(左)、ソフトバンク グローバル事業本部 新規事業統括部 統括部長の工藤裕哉氏(右)

IoT通信回線には「安価でシンプルな料金」と「グローバル対応」が必要

 1NCEは、2017年にドイツで設立されたIoT専業の通信事業者だ。欧州最大手の通信事業者であるドイツテレコムが資本参加しており、同社との業務提携を通じてグローバルなローミングも実現している(詳しくは後述)。

 すでに多数のモバイル通信事業者(MNO、MVNO)が存在していた中で、なぜ新たに「IoTに特化したMVNO」が必要だと考えたのか。小野氏は1NCE設立の背景を次のように語る。

 「1NCEは、欧州の通信事業者などでIoTの世界に関わってきたメンバーが集まり、創業した会社です。彼らはそれまで幅広い業種の顧客に対してIoTの提案を行っていましたが、その中で『既存の通信サービスはIoTの顧客ニーズに100%マッチしているとは言えないのではないか?』と違和感を持つようになりました。そこでIoTに特化した新たなサービスを提供しようと考え、1NCEを立ち上げたのです」(1NCE 小野氏)

1NCE 小野氏

 1NCEが主なターゲットとしているのは「低容量IoT」と呼ばれる分野の通信回線だ。たとえば電気/ガス/水道のスマートメーター、自動販売機やスマートロッカー、ビルのエレベーターや空調設備、スマートシティ(街灯管理や人流センサー)、スマート工場、スマート農場、さらにスマートホームなど、センサーデータやマシンデータを中心とした通信を必要とする分野である。

 だが一般的なモバイル通信回線は、スマートフォンや携帯電話での利用を前提としており、料金プランも通信インフラもIoT向けには作られていない。そのためIoT製品/サービスの通信回線として利用する場合には、要件がうまくマッチしない部分があったという。

 小野氏は、一般向けとIoT向けのモバイル回線で異なる要件として、「安価かつシンプルな料金設定」と「グローバル対応」の2つを挙げる。

 一般的なモバイル回線の場合、月額基本料が設定されていることがほとんどだが、IoTの世界ではデバイス台数も多く、1台ごとにそれを支払うとなるとかなりの額になる。さらに、データ通信容量に応じた従量課金型の料金設定が一般的だが、IoT分野ではコストの事前予測やコントロールが難しく、ビジネスプランを検討するうえでの障壁となってしまう。

 IoT向けでは通信のグローバル対応も重要だ。開発したIoTサービスを海外展開する場合は、あらためて展開先の国で通信回線を調達する必要がある。そのため、現地通信事業者の料金プランに基づくコストの再試算や、製品設計のし直し(通信モジュールの交換など)を行わなければならない。展開国が増えるたびにこうした手間がかかるのであれば、やはりグローバル展開のハードルになる。

 「自動車、家電など、日本の製造業にはグローバルカンパニーが多く、“日本に閉じたモノづくり”をしていません。実際に、お客様から『海外でもIoT回線を提供してほしい』とリクエストをいただくことがよくあります」(ソフトバンク 工藤氏)

ソフトバンク 工藤氏

モノづくり企業が「部品のように扱える」通信サービスを提供

 こうしたIoT特有の要件を満たすために1NCEが開発、提供するのが、前述した1NCE IoTフラットレートサービスだ。欧州や北米の市場ではすでに、大企業からスタートアップまで1万社以上が同サービスを採用しており、利用実績は1500万回線を超える。

 先に触れたとおり、同サービスでは低容量IoT向けに、最大速度1Mbpsのモバイル回線を2000円(税抜)のプリペイド型で提供する。10年間、累積の通信容量が500MB/SMS 250通までであれば追加コストは一切かからないという、低価格かつシンプルな料金体系を実現している。ちなみに通信容量を使い切った場合は、Webのカスタマーポータルから500MB/2000円でチャージが可能だ(オートチャージ機能もある)。

 グローバル対応については、追加料金なしで140カ国以上のローミング通信に対応する。国ごとにSIMを交換する必要がないため、製品の設計変更や在庫管理の手間も軽減され、開発したIoT製品の展開が容易なものになる。

1NCE IoTフラットレートは、ヨーロッパ、アジア、北米、南米、アフリカ、オセアニアの140カ国以上でそのまま使える(※中国本土、香港、マカオは別途専用プランの契約が必要)

 さらに、大量の回線(SIM)を管理するためのカスタマーポータル(Webポータル)やAPIもパッケージされており、追加料金なしで利用できる。ポータルではユーザーの追加やデータ通信量の上限設定、複数のSIMカードのグループ化といった操作が可能だ。

 ちなみに、1NCEのWebサイトから購入したSIMカードはアクティベート(有効化)済みの状態で届く。同サービスでは月額基本料がかからないので、IoT製品のメーカー側でコスト節約のために回線の休止や解約をしたり、出荷前にアクティベートをしたりといった、これまで手間のかかっていた管理作業は必要ない。この点もとてもシンプルだ。

 「モノづくりのお客様は通信のエキスパートではありませんから、1NCEでは『部品のように扱える』シンプルな通信サービスを目標としました。いわばネジやモーターのように、これさえ組み込めば簡単に通信が使える、海外に持って行ってもそのまま使える――。そんなサービスです」(小野氏)

1NCE IoTフラットレートのカスタマーポータル

 ソフトバンクの工藤氏は、同じ通信事業者という立場から、1NCEが低価格で高品質/高機能なIoT通信サービスを実現している点に驚いたと語る。「特に、追加料金なしでグローバルの(ローミングの)通信ができることについては、正直『どうやったらそんなことができるの?』と思いました。いまだにちょっと信じられないくらいです(笑)」(工藤氏)。

 1NCEでは「ネットワークコスト」「IT開発コスト」「セールスコスト」のそれぞれを抑えることにより、こうした低価格を実現している。資本関係にあるドイツテレコムの支援を受けることで、他のMVNOよりも安価にモバイル回線を調達できる。ITシステムはIoT向け機能に絞り込んで自社開発を行い、同時にパブリッククラウドを活用することでグローバル展開におけるインフラ投資も抑えている。そして、Webサイト経由での販売を中心に据えることでセールスコストも削減している。

ネットワーク/IT開発/セールスの各コストを抑えることで低価格なサービスを実現

 もちろん、低価格と言っても通信品質やサービス品質を犠牲にしているわけではない。ドイツテレコムの高品質なネットワークを利用しているほか、前述した高機能なカスタマーポータルもあわせて提供する。日本国内では日本語に対応する問い合わせ窓口、ヘルプデスクを提供しており、購入前後の質問などに対応している。

 加えて、開発者向けには技術ドキュメントをまとめたサイト「1NCE Developer Hub」を用意しており、サービス仕様や設定方法、APIリファレンスといった情報を公開している。自社のIoTサービスシステムと1NCEの管理プラットフォームを連携させて、自動的な回線管理やIoTデバイスの情報収集を行うことも可能だ。

大手企業からスタートアップまで、IoTビジネスの迅速な立ち上げと展開を支援

 前述したとおり、1NCE IoTフラットレートは欧州や北米ですでに1万社以上の採用実績を持つ。ここでは大手企業はもちろん、中小規模の企業やスタートアップにも多く採用されているという。工藤氏は、特に小規模なIoTスタートアップにとっては大きなメリットがあるはずだと指摘する。

 「スタートアップ企業が海外展開したいと考えても、展開先の国にオフィスがなく、契約回線数も少ないために通信事業者との契約交渉が難しい、その結果いつまでも海外展開が進まない――というケースはよくあります。ですが、1NCEならばSIM 1枚から購入できて、海外でもすぐに使えます。スタートアップにとっては本当に魅力的なサービスだと思います」(工藤氏)

 そうした企業の一例として、小野氏はルーマニアのFLASHNET社を紹介した。同社ではスマートシティ向けIoTソリューションを開発しているが、まさに通信回線の調達が障壁となって海外市場への展開が進んでいなかった。1NCEのサービスを採用してその問題を解消したことにより、現在では欧州だけでなく北米の大都市でも採用されるほどの競争力を持つようになったという。

 「FLASHNETはもともと大きな会社ではありませんでしたが、通信回線の部分を1NCEに任せ、モノづくりとアプリケーション開発に専念することで、世界的な大手企業とも十分競合できるスマートライティングのビジネスが展開できるようになりました。これは日本のメーカーさんにも参考になる事例ではないでしょうか」(小野氏)

その他の導入事例。グローバル大手からスタートアップまで、IoTビジネスの迅速な立ち上げと海外展開を1NCEがサポートしている

製品のIoT化を推し進め、モノづくりからサービスへのビジネス転換も

 日本国内での営業活動を本格化してからまだ日は浅いが、両氏ともすでに確実な手応えを得ているようだ。

 小野氏は、これまで市場で実現していたIoTビジネスは“氷山の一角”であり、1NCEの画期的なサービスが登場したことで、IoTのビジネスチャンスが大きく広がることを期待していると語る。

 「メーカーさんとお話をすると、これまでIoTの機能は単価の高い上位機種にしか搭載できなかったと言います。しかし、低価格で管理も簡単な1NCEを採用し、ボリュームゾーンの機種にも搭載できるようになれば、会社としてもIoTサービスをビジネスの中心に据えられる。つまり、モノづくりの会社からサービスビジネスの会社に転換できると、そういう発想が生まれるようです」(小野氏)

 工藤氏も、コストや管理の面からこれまではあきらめざるを得なかったIoTプロジェクトが、1NCEによって実現可能になるケースが増えるだろうと考えている。

 「すでに用途が決まっているIoTプロジェクトの通信回線を提案してほしい、というお話で伺うことが多いのですが、1NCEについてご説明すると『そういうサービスならば、今まであきらめていたこちらの(別の)用途にも使えるかもしれない』と、お客様のアイディアが広がります。そこから、ひとまずSIMを10枚、20枚買ってトライしてみようとなる。わたしもご提案していて楽しいですね」(工藤氏)

1NCEのWebショップ。SIMカードは1枚から購入可能なので、新しいIoTビジネスのアイディア検証でも手軽に活用できる

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 今回見てきたとおり、1NCE IoTフラットレートは単なる“安価なIoT向けSIM”とは一線を画する、「IoT専用」を本気で考え抜いたサービスだと言える。その登場によって、これまでアイディア止まり、PoC止まりだったIoT製品/IoTサービスのビジネス化、商品化が進み、日本のIoT市場が大いに活性化していくことに期待している。

 「われわれが1NCEのサービスをご提供することで、お客様のビジネスチャンスが広がります。さらにその先では、さまざまなIoTサービスの登場によって社会の利便性が高まり、生活の質も向上していくと考えています。まずは、さまざまな業種のお客様に1NCEについて知っていただき、そのシンプルさを試していただきたいですね」(工藤氏)

(提供:1NCE)

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