続いて、サイコム設定となるPL1=160Wの場合を見てみよう。
Multi Coreは33208pts、Single Coreは2289pts。Multi CoreがPL1=125W比で約8%上昇している。PL1の制限はやはり大きいようだ。しかし、これだけスコアーが上がると、温度もかなり上がるのではないかと気になってくる。
9分時点での電力は約159.7Wと、こちらも電力制限がきちんと働いている模様。CPUパッケージ温度は確かに上昇しているが、それでも最大92度とまだTjunctionには届かない。さすがに平均は63度から72度まで上がっているが、まだ余裕がある状態と言える。これなら長時間使い続けても安心できるだろう。
では、最後にPL1=253Wの場合を見てみよう。
スコアーはさらに伸び、Multi Coreが36205pts、Single Coreは2286ptsだった。Multi CoreがPL1=125W比で約18%もアップした。なお、Single Coreはどの設定の場合も2286~2289ptsとなっており、ほぼ差がない状態だ。シングルスレッド処理においては、今回の電力制限の範疇では変化なしと言っていい。
空冷クーラーでもここまで性能を引き出せるという結果は、なかなかに興味深い。ただし、CPU温度は大変なことになっていた。
CPUのパッケージ温度は最大101度とTjunctionに達している。つまり、明らかにCPUクーラーの冷却能力が間に合っていないという状態だ。また、9分時点のCPUパッケージパワーは230W台に落ちており、253W付近で維持できていないこともわかる。これはCPU温度が高くなりすぎて自動で制限がかかった結果、電力が落ちているのだろう。
もちろん、動作が不安定になることもなければ、性能が急激に低下するといった挙動にはならないため、この設定で使い続けてもそうそう問題は起こらない。しかし、高温での長時間使用はCPUやその周辺PCパーツへのダメージが大きくなりがちだ。それだけに、フルスレッドに長時間高負荷がかかるような動画編集やCGレンダリングには、この設定はオススメできない
しかも、今は室温の低い冬だ。夏場であれば、さらに5~10度くらい高くなってもおかしくない。このテスト結果からわかる通り、安全な温度範囲で性能を出せる設定と考えると、サイコムのPL1=160Wという設定は絶妙なものだということがわかってもらえるだろう。