ゲーミングPCの世界に足を踏み入れるなら目指したい1つの頂点
最後に紹介するシリーズが「ROG」。ROGは大枠としてゲーミングだが、基本的にASUSの最新機能がまず真っ先に投入されるハイエンドシリーズと捉えてよい。ROGに続く名称でより細かく分類されており、中にはOC向けモデルや、すべてを盛り込んだフラグシップもあるが、ROG STRIXはシリーズの中では比較的安めの製品で、ターゲットをゲーミングに絞っている。
今回紹介する「ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI」はここまでのPRIME、TUF Gamingと比べてVRMヒートシンクもそれ以外のヒートシンクも大型だ。CPU電源回路は16+1フェーズとTUF Gamingと同じだが、MOSFETは90Aとさらに大出力のものを搭載している。また、CPU電源端子もPRIME、TUF Gamingは8+4ピンだが、ROG STRIX Z790-F GAMING WIFIは8ピン×2基に強化している。
PRIMEやTUF Gamingと異なり、メモリースロットはDDR5対応。コスト云々ではなく、最新&最高のゲーミングPCを組みたい人のためのマザーボードだ。PCIeのバージョンは、ビデオカード用のx16スロットがPCIe 5.0対応、M.2スロットはTUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4と同様にPCIe 4.0対応4基の構成だ。
拡張スロット&M.2スロットのレイアウトは先のTUF Gamingに似ているが、ROGを選ぶ場合はビデオカードを搭載する場合がほとんどであり、1番目と2番目のx16スロットの間の部分はx1スロット1基と最小限になっている。2番目と3番目のx16スロットはPCIe 4.0 x4レーン動作としているので、高画質キャプチャーボードなどのx4カードを利用できる。ビデオカードの熱に影響されにくい2番目以降のM.2スロットレイアウトもポイントだ。
ゲーミング向けインターフェースでは、特にこだわっているのがオーディオ。チップはSupremeFX ALC4080を採用し、Savitech SV3H712アンプも加えている。7.1ch HD出力対応は当然として、DTS Sound UnboundやASUS Sonic Studioといったアプリで調整も可能となっている。また、ネットワークは2.5GbE&Wi-Fi 6Eに対応。USBに関しては、リアに加えてフロント用のUSB 3.2 Gen 2x2 Type-Cヘッダーも備えている。
また、ROGには組み立てやメンテナンス性を向上させる機能も搭載されている。ビデオカードは通常、x16スロットの後部のラッチで固定されているが、メンテナンスなどでビデオカードを外す際、ラッチが硬い、押し込むのが怖いと感じたことはないだろうか。大型の空冷CPUクーラーを搭載している場合だと、さらにこの部分に手が届きづらくなる。
そこで便利なのがPCIe Slot Q-Release。これはメモリースロット右下にあるボタンで、先のラッチとワイヤーで結ばれているため、ここを押せばビデオカードがリリースできる。メモリースロット横はCPUクーラーなど干渉する物も少なく押しやすい。
このように、ROG STRIX Z790-F GAMING WIFIはCPU電源回路にさらに余裕を持たせ、高速インターフェースも豊富。安定性、パフォーマンスの面で妥協がない。オーディオは特に強化されており、よりリッチなゲームプレイ体験を実現するとともに、組み立てやすさやメンテナンス面での機能も充実している。1つ上のゲーミングPCを組み立てたい人に最適な製品だ。
コンセプトを知って「自分専用」自作PCを組もう
今回、ASUSの3つのシリーズからそれぞれオススメモデルを紹介してきた。冒頭のPRIMEとTUF Gamingの違いという問いも、これを読んだらもう理解できていることだろう。ただ、そこでも書いたが、ホワイトのゲーミングPCを組みたいからPRIMEが欲しいというのもアリだ。
そしてスペックの違いを理解できたなら、PRIMEをベースに組むゲーミングPCのそのほかのパーツもスムーズに選んでいけるだろう。「ビデオカードを控えめに2スロット程度に抑えれば、拡張カードがより積める」、「M.2 SSDはPCIe 4.0対応まででヒートシンクもシンプルだから発熱が少なめのほうがよい」……といったように。
ちなみに、PRIMEやTUF Gaming、ROGは、ビデオカードや電源、PCケース、簡易水冷CPUクーラーなどほかのパーツでも同シリーズのモデルがある。それらを組み合わせて内部を統一したPCを組んでみるのもアリだ。ちょうど年末の長期休暇目前。この休暇に組む自作PCプランを練ってみるのもよいのではないだろうか。
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