HDMIのライセンス管理を実施する「HDMI Licensing Administrator, Inc.(HDMI LA)」は、設立20周年の節目とHDMI 2.1a製品展開後を見据えた市場環境に関するプレス向け説明会を開催した。
8Kの普及は緩やかだが、コロナ禍以後はスマートTVやゲーミング用途での買い換え需要が増加。2023年には規格のマイナーアップデートの計画もあるという。
説明会では社長(CEO)のロブ・トバイアス(Rob Tobias)氏が登壇。コロナ禍以後、対面での会見は3年ぶりになるという。冒頭ではHDMIの20年を振り返り、HDMI 1.0の1080p@60対応から紹介。最新規格のHDMI2.1aでは4K@120Hz、8k@60Hzをサポート。HDMIの利用も自動車や防衛・航空宇宙産業、医療製品、デジタルサイネージなどへ拡大しているという。
コロナ禍でスマートTVやゲーム需要が増加、
8Kテレビの普及は緩やかに
コロナ禍後の市場の動きとしては、2020年当初はステイホーム需要でエレクトロニクス機器の販売が急増。だが、その反動により2021年に売り上げが落ち込んでいる。以後は回復の兆しを見せつつも、サプライチェーンの不安定さ、現在も中国のゼロコロナ政策の影響が続いている状況だという。
大画面テレビに関しては、スマートTV需要やeスポーツ人気で需要が増加。スマートTVに関しては年数が経つと動作にストレスを感じるようになり、テレビごと最新モデルに買い換えるパターンも急増しているといるとのことだ。
HDMI 2.1a対応が先に進むとみられる8K大画面テレビに関しては、対応コンテンツの供給が少なく成長は緩やか。これは世界的なコロナ禍や、日本では東京オリンピックの延期とコロナ禍の話題により8K放送に注目が集まらなかったことも影響しているという。
また、現在の大型4Kテレビで売れているのは50型以上が中心で、メーカーも65型を中心に販売するなど年々大型化が進んでいる。だが、大画面8Kテレビは消費電力も多い。
このため、EUの欧州委員会では2023年3月に発効される電力消費量の規制により、すべての8Kテレビと一部の4Kテレビをそのままでは販売できなくなるという。一部メーカーはEUの規制に対応できる低電力モードの実装を検討している。
大画面テレビがゲーミング仕様に!HDMI 2.1aはゲームが牽引
HDMI 2.1a対応大画面テレビのゲーム体験に関しては明るい話題が多い。ゲーム機などを接続したときに自動で低レイテンシーモードに切り替わるALLMのほか、PS5やXbox などの4K@120Hz表示、可変リフレッシュレート対応のVRRと高速にフレームを伝送するQFTに対応。
これらはHDMI 2.1の時点で追加された機能で、ここ最近のHDMI 2.1対応大画面テレビやゲーミングディスプレーでも対応した製品が増えている。HDMI 2.1a対応製品が増える2023年以降はより一般的な機能になりそうだ。
HDMI 2.1a時代は認証済み
「Ultra High Speed HDMIケーブル」がベスト、
2023年には規格のマイナーアップデートも
HDMI LAはHDMIフォーラムの策定した規格のライセンス管理や認証を行っている。ケーブルについては現在8K@60Hz /4k@120Hzに対応する最大48Gbpsの「Ultra High Speed HDMIケーブル」と、4K@60Hzの「Premium High Speed HDMIケーブル」を認証。対応製品にはホログラム付きの認証ラベルが貼られている。
これらに関しては世界中の税関などと協力して、ブランドや商標の保護を実施している。また、今後はオンラインショップでもWebベースで認証品を確認できる方法を用意するという。
今後のHDMI規格については、2023年にはHDMI2.1aの新機能ソースベーストーンマッピング(SBTM)に対応するセットトップボックスとディスプレーが発売される予定。また、2023年には規格のマイナーアップデートが計画されているとのことだ。