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ESET/サイバーセキュリティ情報局

自分が亡くなった後、残ったデジタル情報(デジタル遺産)を管理する方法

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本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「サイバーセキュリティ情報局」に掲載された「『デジタル遺産』をどうすべきか?」を再編集したものです。

 自分が亡くなった後、残ったデジタル情報(デジタル遺産)についてどうするか考えているだろうか? Facebook、Google、Twitter、そのほかの主要なオンラインサービスでデジタル遺産を管理する方法について解説する。

 言葉にするのははばかられるが、誰しもいずれは死ぬ。死んだ後まで、ソーシャルメディアのアカウントについて気にしておく必要があるのだろうか? まったく必要ないように思えるが、決してそうではない。

 死後のデジタルフットプリント(ネット上の足跡)をどのように扱うか考えておかなければ、あなたの家族がそのつらい手続きを行なわなければならなくなる。悲嘆にくれ、葬儀などの必要な手続きを行なうのに加え、Facebook、Twitter、Apple、そのほかの保有するアカウントを処理する必要が出てくるのだ。愛する家族はあなたのことを記憶にとどめておきたいと思う一方、あなたの誕生日の通知などが不意に届くことは避けたいと思うかもしれない。

 15年くらい前までは、こうしたことはさほど問題にならなかった。MySpaceや特化型のソーシャルネットワークは使われていたものの、インターネットは今ほど成熟しておらず、デジタル遺産について考える必要もなかった

 しかし今や、亡くなった親類や友人のデジタル遺産を管理するのは大きな問題になりつつある。数十年後には、ユーザー数の増加が鈍化するに従い、Facebookのようなプラットフォームは、生きている人間のアカウントの数よりも、死去した人のアカウントの方が多いことになるかもしれない。我々は年をとりつつあり、そしてZ世代は新たなインターネットを作り上げようとしているということだ。

デジタル遺産をどのように管理すべきか?

 縁起でもない手続きではある。しかし、手続き自体は1時間もかからず、一度実施すればもう考える必要はない。ただ、5年おきに遺産相続人を確認すればよいだけだ。オンライン上の死後の扱いについて決定する権限と責任を与えた人と、変わらず親しくしているか再確認するのだ。

1) Facebook

 Facebookのアカウントを持っているならば、多くの写真や意見、愛おしい瞬間をシェアしているだろう。Facebookは自身が亡くなったときに備え、2つの選択肢を提供している。

・死去した際にはアカウントを削除する方法が選べる。本人がFacebookへ依頼するもので、誰も変更することはできない。ただし、この手続きでは、あなたの死亡証明書の画像をメタ社へ提出する必要がある。近しい人に自分の希望を伝え、そのときが来たら何をすべきか知らせておく必要がある。

・ 追悼アカウントを管理するレガシーコンタクト(遺産相続人)を選択する方法もある。プロフィールや追悼の投稿、写真を管理してくれる信頼できる人を選任する。選ばれることをつらいと感じる人もいれば、望んで受けてくれる人もいる。適切な人を選ぶよう十分に考慮するべきだ。

 アカウントを管理してもらうか、削除するか、いずれを選んだとしても、それに対応する人と十分に話しておくとよいだろう。その人が直面するであろう心痛を考慮し、手続きを頼めるか相談するべきだ。加えて、遺産相続人は、死亡証明書を入手し、Facebookアカウントへアクセスできる人でなければならない。

Facebookのアカウント削除

2) Instagram

 Facebookと同様にメタ社の一部でありながら、Instagramユーザーはアカウントの削除を選択できない。死亡証明書を持った代理人や家族であれば追悼アカウントへの移行は可能であるが、投稿した写真・動画、プライバシー設定を変更することはできない

 Instagramは利用規約で明確に述べている。ユーザーはコンテンツを保有しているが、プラットフォーム上にある限り、コンテンツがどう表示されるかはInstagramに権利を付与しているとされる。亡くなった後でもアカウントが削除できないというのは、ユーザーのコンテンツを使用する権利をInstagramが主張しているということだろう。

3) Google

 多くの人は、GmailやYouTube、GoogleドライブといったGoogleのサービスを利用しているだろう。さらに、Androidのスマホを使用していれば、そのアカウントには重要な資料や大切な写真が保存されているはずだ。

 重要なデータにアクセスできなくなるのを防ぐため、Googleの非アクティブアカウント管理機能を有効化するとよい。Googleはアカウントが非アクティブになった状態を検出し、事前に設定した人へダウンロードリンクを発行する。何のデータをダウンロードさせるのかと同様に、どのくらいの期間で非アクティブと判定するかはユーザー自身で設定が可能だ。

 さらに、遺産相続人へデータがシェアされた3ヵ月後、アカウントを削除するかどうかを選択できる。ただし、YouTubeの動画やブログ記事も削除されることを意味するので、全員がこの選択肢を有効にするとは限らないだろう。

 一方、死後の手続きについて何も指示をしていなかった場合、家族や法定代理人がアカウント削除やデータ移行、残高の引き出しを依頼できる。Googleはユーザー自身のプライバシーを最優先すると述べており、それぞれの依頼手続きは個別に検証されると述べている。

Googleアカウントの削除

4) Microsoft

 Microsoftはデジタル遺産を管理したり、家族がアカウントを削除したりするような専用のツールは提供していない。一方、裁判所の命令に従ってMicrosoftはアカウントの削除を実施する。

 ドイツ在住のユーザーは唯一の例外であり、死亡証明書や必要な書類を備える遺産相続人がMicrosoftのカスタマーサポートに連絡すれば、アカウントを停止できる。

5) Twitter

 Twitterは死後にアカウントをどうするかというポリシーを設けていない。

 しかし、家族や委任された代理人がTwitterに連絡し、アカウントの削除を依頼できる。同社は死亡証明書のコピーや依頼人のID、場合によっては、ほかに追加で必要な書類の提出が求められる。

6) Apple

 Appleは2021年にレガシーコンタクトを選任するオプションを設けた。この機能は13歳以上のユーザーに限定され、さらに技術的な制約もある。有効なApple IDを保有し、少なくともiOS 15.2、iPadOS 15.2、macOS Monterey 12.1以上のバージョンで動くデバイスが必要だ。また、Apple IDは二要素認証が有効化されていなければならない。

 要件を満たしていれば、設定メニューのApple IDアイコンをクリックして手続きができる。そして、「パスワードとセキュリティ」を選び、レガシーコンタクトを選択する。QRコード形式のアクセスキーが作成されるので、メッセージアプリから遺産相続人に送信するか、紙に印刷して手渡せばよい。その日が来たら、相続人はウェブサイトからアクセスを依頼するか、iOSまたはmacOSのデバイスから直接、データへのアクセスを依頼できる。Appleはアクセスを許可する前に死亡証明書の提出を求める。

レガシーコンタクトの設定

7) PayPal

 店舗のある旧来の銀行では手続きが極めて標準化されているが、PayPalのようなデジタルサービスの扱いには慣れる必要がある。ほかのプラットフォームと同様、アカウントを停止し、資金を移動するには正式な遺言執行人か遺産管理人からの指示しか受け付けることはできない。死亡証明書に加えて、遺言や公的な文書を介して、その代理人の地位を証明する必要がある。そうして、残りの預金残高は別のPayPalアカウントへ移動するか、あるいは小切手で払い出せるようになる。

デジタルライフは遺された家族アルバムのように

 デジタルテクノロジーは進化し、私たちはそれに順応してきた。日々の暮らしの中で深く考えることなしに、多くの写真をオンラインへ投稿している。スマホカメラのシャッターボタンを押すたびに、追加のコストを支払う必要もなく、1日に数百枚の写真を撮れるようになった。写真の存在価値はいくらか低下してしまったのかもしれない。しかし、考えてみてほしい。投稿したいくつもの写真は、亡くなった後にも知り合いや友人・愛する家族の思い出となり得る。そのため、デジタル遺産を整理する際には、以下の手続きを並行して進めてほしい。

データのバックアップをとる。ソーシャルメディアは企業によって運営されており、運営元はある日突然サービスを停止したり、一瞬のうちにデータを消去したりする恐れがある。間違いによってデータが消去されるリスクさえある。

・決して失いたくない重要な文書や写真は、2つのバックアップをとっておく。

・パスワードのベストプラクティスに関しては、「パスワードは誰にも共有してはならない」だ。これについては引き続き強調する立場をとりたい。ただし、デジタル遺産の管理を検討する場合、必要であるならば一度だけ、このルールを破らざるを得ない局面があるかもしれない。Microsoftが推奨するように、デジタル遺産の管理にはパスワードを提供する必要が出てくる。多くのオンラインサービスでは遺言執行人がログイン情報を所有し、本人であるかのようにアクセスすれば、容易に手続きが進められるようになる。

・数年おきに遺産相続人を確認し、バックアップが指定したとおりに保存されているのを検証するべきだ。これらの情報が整理されていれば、生きている間も役立つだろう。

参考資料:
「どのようにデジタル遺産に備え、保護するか(How to prepare and protect your digital legacy)(英語のみ)」
「個人情報はインターネット上に拡散されているのか?オンライン上の情報を整理する7つのステップ(Is your personal data all over the internet? 7 steps to cleaning up your online presence)(英語のみ)」

[引用・出典元]
How to take control over your digital legacy by André Lameiras 31 Aug 2022 - 11:30 AM
https://www.welivesecurity.com/2022/08/31/how-take-control-digital-legacy/

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