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SansanとSchooがリスキリング領域で提携 Eightで学習コンテンツを無料配信

2022年12月06日 07時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

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 2022年12月5日、Sansanはオンライン学習サービス「Schoo」を提供するSchooと提携し、ビジネスパーソンのリスキリング支援を行ない、キャリア形成を後押しするサービスを提供すると発表した。具体的には「Eight」のキャリアタブにSchooの学習動画を配信し、いつでもどこでも学びたい時に学べる環境を提供する。

EightのキャリアタブでSchooのコンテンツを無料配信

 2022年4月、名刺アプリEightはキャリアプロフィールとして進化し、キャリア情報を集約するキャリアタブを実装した。ユーザーのキャリア形成に役立つ情報を提供し、「キャリア自律」を推進するためだ。

 まずは、Eightユーザーの中で多い営業職に向けたコンテンツを用意したところ、これまでにアクティブユーザーの2割がキャリアタブを開き、スキルレポートを中心とするレポートを閲覧したという。さらに、副次的な効果として、スキルアップに関心の高いユーザーは、企業からの関心も高いという相関も見られ、企業との新たな出会いが広がりやすくなっているそう。

Sansan 執行役員 Eight事業部 キャリアアンドソリューション部 部長 小川泰正氏

 今回のSchooとの業務提携により、SansanはEightのキャリアタブにSchooの多様な学習動画を配信し、いつでもどこでも学びたい時に学べる環境を提供する。

「オンラインコンテンツの提供を通じて、社会人のリスキリングを牽引してきたSchooの魅力的な学習動画を無料でご覧いただけるようになります。Eightのキャリアタブを存分に活用いただき、キャリアアップやキャリアチェンジを見据えたリスキリングを行っていただきたいと考えています」(小川氏)

 魅力的なコンテンツを拡充することで、ユーザーにEightをさらにアクティブに利用してもらい、身につけたスキルでプロフィールを充実させEightの利用をより活性化させたいという狙いがある。

Eightのキャリアタブでレコメンドされたコンテンツでキャリアアップ・キャリアチェンジを支援する

 今後、Eightのキャリアタブには、内容を簡単に紹介するレポート記事と合わせて、毎日1本の動画を公開していく。営業職向けだけではなく、新たに経営企画やマーケティング職向けの学習動画も用意するという。

「たとえば、課題設定力の磨き方やデザイン思考の解説、データ活用の作法などを学べる動画をご覧いただけます。学習コンテンツのラインナップを大幅に拡充することで、ビジネスパーソンの学びを後押しします。今後も様々なキャリアに関する機能を実装し、ビジネスパーソンのライフタイムに伴走しながら、キャリア形成を後押しするサービスとして、Eightを進化させていきたいと考えています」(小川氏)

 Schooのコンテンツ提供は、営業カテゴリーには12月5日から配信が開始される。経営企画とマーケティングのカテゴリーは12月12日から配信される予定だ。

今後、キャリアタブではSchooのコンテンツが無料で配信される

経営企画とマーケティングのカテゴリーは12月12日から配信予定

提携に至った3つの背景

 続いて、Schoo 執行役員 CCO 滝川麻衣子氏は「激動キャリアトレンドのカギ握るリスキリング」と題し、SansanとSchoo提携の背景についてプレゼンを披露した。

 2022年10月、岸田首相の所信表明演説で「個人のリスキリングの支援に5年で1兆円」の施策パッケージを拡充することが発表された。さらに、政府はデジタル人材の育成目標を2026年度までに330万人に拡充するとも打ち出している。

 この背景には3つの変化があるという。1つは世界的なESG(Environment、Social、Governance)投資の流れが人的資本経営をもたらしていること。2つ目はコロナ禍でデジタルトランスフォメーションが加速する中、日本のデジタル人材不足が露呈しているということ。3つ目が人口減少社会で終身雇用が崩壊し、雇用流動化の流れがやってきているということ。

「2006年にアナン国連事務総長が投資の意思決定プロセスにESGを組み入れる責任投資原則を提唱しました。1970年代のアメリカでは有刑資産が7割超を占めていましたが、2020年においては9割が無形資産となっています。無形資産とは、情報化資産やライセンス、デザイン、著作権、データベース、ブランド力、組織力、そして今日のテーマでもある“企業固有の人的資本”のことです。特に企業価値は人材投資を含むSocialによって大きく左右されるということが経営の常識になっています」(滝川氏)

Schoo 執行役員 CCO 滝川麻衣子氏

個人のリスキリングの支援に5年で1兆円の施策が実施される

 ヨーロッパやアメリカといった先進国の中で、人材投資の国際比較を見ると、ダントツで日本が低い水準になっている。デジタル競争ランキングでも1位がアメリカ、2位が香港と続く中、日本は28位ととても低い位置にいる。

 コロナ禍において、デジタルが重要視される流れになったが、日本にはデジタルを使いこなせる人材が少ないということが痛感される事態となったのだ。日本はさらに人口減象による終身雇用崩壊という社会課題も抱えている。日本は世界一の人口減少社会で、2060年の時点ではほぼ2人に1人が高齢者という状況になるという。

「私たちが慣れ親しんできた終身雇用や年功序列といった働き方は、人口構造上、もはや維持できないということは明らかです。性別や年齢、国籍が多様な人材の労働参加も必須になっていて、雇用は流動化します。私たちが暮らす社会は大きく形を変えている最中なのです」(滝川氏)

日本の人材投資やデジタル競争力は世界的に見ても低い水準にある

 GDPを成長させるには、成長分野の労働需要に対して人を動かしていかなければならないが、日本の労働移動の活発さはグローバルに見てとても低い。しかし、人口増加期の働き方が維持できないということは明らかなので、政府が政策的に労働移動を推進する中で、必然的に雇用は流動化する流れになるという。

 終身雇用社会においては、年功序列や定年まで安定した仕事を得られるということと引き換えに転勤や長時間労働、通勤などを受け入れていたが、今後は個人が自分自身のキャリアをオーナーシップを持って形作っていく社会になっていく。雇用が流動化する社会の中では、個人はリスキリングを繰り返しながら、成長産業の中の自分のポジションに向けて動いていくようになるのだ。

 リスキリングとは「全く異なる業務を行うためにスキルを獲得するプロセスのこと」。つまり、リスキリングを行ない、新しい仕事へ結びつき、成長産業へ労働移動することで、経済成長を促すことができるというわけだ。

雇用流動化社会ではキャリアのオーナーは企業から個人へと変わっていく

自信をもって自らのキャリアを築ける人々が増えるように

 Schooはこのような状況の中、コロナ禍で大きく成長した。2019年の登録会員数は43万人だったが、2022年には約80万人と186%アップ。法人導入実績も6年間で4.5倍の成長を遂げ、約2700社に利用されている。

「コロナ禍においてはオフラインの研修をオンラインに置き換えるご利用が多かったのですが、昨今は社員のキャリア支援を行なう目的の利用が増えています。利用目的も、研修利用から自己啓発学習での利用が増えています。また、以前はメーカーや商社が多かったのですが、官公庁や学校、建築、不動産といった業種にも広がっています」(滝川氏)

コロナ禍を追い風にSchooが大幅に躍進したが、リスキリングの個人への浸透はこれからだという

 これまでは転職となると、その前に勤めていた会社やその時の役職が重要視されてきたが、これからはより具体的にスキルを可視化して、何ができるのかが見られるようになる。その結果、足りない部分を埋めるという形で、リスキリングが行なわれることが見込まれているという。

「今後強まるスキルの学びのニーズに対して、SchooとしてEightにオンライン学習コンテンツを提供していくことで、雇用流動化に向かう社会の中、自信を持って、自らのキャリアを築ける人々が増えるようサポートしてまいりたい」と滝川氏は締めた。

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