第186回 SORACOM公式ブログ
ソラコム公式ブログ
アプリズム社が S+ AI Market でアルゴリズムの提供を開始~S+ AI Marketに、お客様の声から開発された「喫煙動作の検知」等のアルゴリズムが登場~
本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「アプリズム社が S+ AI Market でアルゴリズムの提供を開始~S+ AI Marketに、お客様の声から開発された「喫煙動作の検知」等のアルゴリズムが登場~」を再編集したものです。
ソラコムでカメラ事業のプロダクトマネージャをしている五十嵐(ニックネーム: Ash)です。今回は、AIのソフトウェア(以下 アルゴリズム)を購入してすぐにAIのシステムを使うことができる「S+ AI Market」に、お客様の声から開発に至った「喫煙動作の検知」と「犬の排泄検知」のアルゴリズムが登場しました。S+ AI Marketからすぐにご利用いただけます。
このたび、アルゴリズムの提供をいただいた株式会社アプリズムの河原様に、今回の取り組みについてお話を伺いました。
株式会社アプリズムの紹介
五十嵐(以下 Ash): 今日はお時間をいただきましてありがとうございます。早速ではありますが、貴社について紹介をお願いいたします。
株式会社アプリズム河原氏(以下 河原氏):弊社は今年11月で12期目を迎える大阪に拠点を置くシステム開発会社です。創業当時は基幹システムやアプリ開発をメインとしておりましたが、今ではそれに加え、技術者支援を行っております。昨今では大学や公共機関などから数多くのご用命もいただき、AIを中心とした先端技術の研究開発、PoCなどが中心となっております。私はその中で「AIソリューション推進部」として、自社ソリューションの開発から展開を担っております。ご発注をいただいた案件だけでなく、自社から発信することを目的とした、新規事業となります。
アルゴリズムの開発に至った背景
Ash:今回 S+ AI Market には喫煙検知アルゴリズム「Smoking Detection Pack」という、すごく具体的なアルゴリズムをご提供いただきました。こちらの開発背景は、どのようなものだったのでしょうか?
河原氏:あるクライアント様とお話していたときに、禁止されている場所での喫煙に困っているとお伺いしました。特に引火性の危険物がある場所での喫煙への注意を促したいとお伺いしたのがきっかけです。弊社では画像(動画)から人物の骨格を抽出し、特定の行動を特定するといった研究を行っておりましたので、その一環で開発いたしました。
喫煙検知アルゴリズム(※WeWork なんばスカイオにて撮影。評価用に撮影を行いましたが、実際に喫煙は行っておりません。)
Ash:実際に困っているお客様の要望からできたアルゴリズムなのですね。アルゴリズムを開発するにあたって工夫された点はありますでしょうか。
河原氏:取得画像から「タバコを吸う動作」を検知するアルゴリズムを目指すにあたって、他の動作(検知すべきではない動作)との兼ね合いが検知精度に大きく影響しました。例えば紙タバコと電子タバコでは手の形が異なったり、飲み物を飲んでいる、食べているなどの喫煙する動作との差別化を明確にできるよう、データ収集の面から慎重に要件を定義いたしました。
Ash:このアルゴリズムは、現在どのように利用されているのでしょうか。
河原氏:いくつかの施設で検証いただいている段階です。今後は喫煙動作の検知精度をさらに向上させるだけでなく、他の検知との連携を検討しております。各環境に応じて喫煙だけでなく、混雑していないか、規定の服装(ヘルメットなどを着用しているかなど)であるか、利用されている方の属性であったりなど、様々な検知アルゴリズムを準備して組み合わせて御使用頂ける形を目指しております。
開発にS+ Cameraを利用した理由
Ash:今回の開発にあたってS+ Cameraを利用いただいた理由について教えていただけますでしょうか。
河原氏:喫煙を検知するといったツールの中には熱や煙を対象としたものがありますが、弊社ではまず画像(動画)からの検知を目指しました。これまでの技術の応用が効くということと加えて、他の用途(アルゴリズムの入れ替えや、他のアルゴリズムとの連携)と組み合わせていくことを想定しておりました。その点、S+カメラの強みとして、電源のみあれば可動ができるという手軽さと、遠隔で容易に管理が可能なことが実際の用途に適していると考えております。加えて、公共の場に設置することも想定として、メタデータのみを送受信できるというプライバシーの保護の観点としても強いポイントでした。
開発期間はおおよそ3ヶ月ほどです。事前に社内で研究テーマとしてあがっていたことと、ご協力いただける施設様などのおかげでスムーズに進んだかと思います。また APIを経由してカメラの画像取得が行える等、ハードウェアが極力隠蔽されているので、ローカルの環境で開発したコードを大きく変更することなく動作させられる点も開発期間短縮に貢献しました。
Ash:まさにS+ Cameraはアルゴリズム以外の部分を提供し、AI開発者の方にアルゴリズム部分の開発に専念していただくことを念頭に開発したので、実際にご利用いただいて大変光栄です。
S+ AI Marketへの提供の背景
Ash:今回のアルゴリズムはカメラ毎に1,000円(税込)の買い切りというお求めやすい価格でご提供いただいておりますが、S+ AI Market出店の目的について教えてください。
河原氏:我々は喫煙動作以外にも様々な検知について、日々研究しております。その中で「そもそもAIエッジカメラを試そうとされる方、ご興味がある方」に対してのアプローチとして今回の喫煙動作検知を試して頂き、ご利用者の声を活かして、他のアルゴリズムを展開していこうと考えております。10月7日に第二弾のアルゴリズムとして犬の排泄検知アルゴリズム「Dog Excretion Detection pack」をリリースいたしました。
犬の排泄検知アルゴリズム
Ash:先日自宅の前で、このアルゴリズムが役立ちそうなシチュエーションがあったことを思い出しました。実体験だからこそのアルゴリズムなんですね。
河原氏:「喫煙検知」や「犬の排泄検知」からエッジAI カメラの可能性を体験していただければと思います。また、これらのアルゴリズムの他にも「こんなことできないのか?」などございましたら、是非弊社にご相談ください。固有の要求に合わせた検出アルゴリズムの開発をすることも可能です。
Ash:引き続き一緒にエッジAI カメラ分野を盛り上げていければと思います。河原さん、本日はお時間をいただきましてどうもありがとうございました。
S+ AI Market の利用の方法
S+ AI Marketは、エッジAIカメラ「S+ Camera」からご利用いただけます。
具体的な利用方法は「AIカメラのアルゴリズムをオンラインで購入・インストール「S+ AI マーケット」提供開始!」および「S+ AI マーケットで 3rd party アルゴリズムを購入する」をご覧ください。
― ソラコム Ash (五十嵐)
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