JBCCは11月28日、「パシフィコ横浜」の施設利用の申込のDX化を支援し、利用者の申込システムならびに協力会社への作業指示書のクラウド化を実現したと発表した。
パシフィコ横浜は年間およそ1000件の会議やイベントを開催する。利用申込プロセスの利便性や満足度は施設にとって重要なものだが、従来の利用申込プロセスは利用者が紙やExcelベースの申込書に記入・捺印後、郵便や電子メールで送付する手続きとなっており、煩雑さのため顧客満足度アンケートで低評価だったという。また、イベントの開催には施設と協力会社との連携が不可欠だが、申し込み情報を受けて協力会社に機材や備品等を手配する作業指示書の作成もシステム化されておらず、業務の効率化を図ることも課題となっていた。
パシフィコ横浜では利用者が申込時に記入する「施設利用申込書」や「各種提出書類」、協力会社への「作業指示書」を全面ウェブ化し、いつでも、どこからでも利用でき、簡単に手続きができるシステム化を図ることにした。しかしパシフィコ横浜ではITの専任者がいないため、JBCCでは同社の超高速開発手法「JBアジャイル」を用い、要件定義に基づいて実際に動く画面・機能を確認しながら開発に反映するサイクルを通し、要望通りのシステムを実現。十分なIT人材を確保できていなくても要件定義の内容と齟齬のないシステムの構築を実現したという。
また、AWS(Amazon Web Services)が提供する各種機能やサービスを部品として活用するクラウドネイティブ開発とすることで高品質なシステムをスピード構築。AWSのプラットフォームを利用することで、オンプレミス環境ではコストが大きくなる冗長機能などを安価とし、構築施設の拡充など将来の変化に柔軟に対応できる拡張性あるシステムとした。
さらに、イベントごとに作成される「ユーザーページ」を実装。利用者サイド・施設・協力会社が個々のアクセス情報を用いて当該イベント情報にアクセスし、各種登録・手配を一元的に行ない、進捗管理を共有することで作業効率を向上。2段階認証を導入し、安全性を担保しながら書類の押印レスで業務効率化を実現した。
この結果、誰もが直観的に操作できるわかりやすい画面と操作性が幅広い層の利用者から支持され、また、イベント準備等で外出が多い利用者の利便性向上にも役立ち、申込書や各種提出書類に関する手続きの顧客満足度は67%から82%におよそ15%向上したという。同社では今後、申込システムと基幹システム間の連携や、蓄積したデータの利活用などもDXロードマップに取り入れるという。