Google Pixel 6シリーズがAndroid 13でexFATに対応かと思いきや、そこには大きな落とし穴があった
exFATへの対応を実現したものの
その動作は非常に不安定
なにはともあれ、Pixel 6シリーズではAndroid 13にアップデートすることによりexFATでフォーマットした大容量ポータブルストレージが利用できるようになった。ということで、さっそくexFATでフォーマットした容量1TBのポータブルSSD「T7 Shield」を利用してファイル転送のテストをしてみることにした。すると、ここで新たな問題に直面した。
確かに、T7 ShieldをPixel 6 Pro/6aに接続した直後は、ファイルアプリでもT7 Shieldを正常に認識し、T7 Shieldに保存されているアプリなども問題なく一覧表示される。また、T7 Shieldに保存した写真や動画ファイルの表示、再生も問題なく行なえる。
しかし、Pixel 6 Pro/6aの内蔵ストレージに保存されている動画などのデータを、Google純正のファイル操作アプリ「Files」を利用してT7 Shieldに転送しようとしたところ、転送先としてT7 Shieldを選択できない場合が頻発。また、T7 Shieldを選択できた場合でも、転送途中にT7 Shieldの接続が解除され、ファイル転送が失敗してしまうことも頻発するというように、動作が非常に不安定だったのだ。
そこで、サードパーティ製のファイル管理アプリを利用して試してみた。今回は「ファイルマネージャー+」という無料のファイル管理アプリを利用してみたが、その場合にはファイルアプリで発生していたような問題は発生せず、正常にT7 Shieldへのファイル転送が行なえたのだ。もちろん、転送したファイルはPCでもまったく問題なく表示や再生が可能だった。
ファイルマネージャー+は、前回の記事で紹介した「USB Media Explorer」のような、独自対応によるexFATへのアクセス機能は持っていない。そのことからも、Android 13にアップデートしたPixel 6シリーズでexFATへの対応が実現されていることは間違いないと言える。そうなると、Google純正のFilesアプリでの動作の不安定さがますます謎となってしまう。
とはいえ、GoogleはAndroid 13でexFATをサポートしたと公式表明していない。そのため、挙動の不安定さや、Pixel 5シリーズ以前で対応していないことも合わせ、Android 13にアップデートしたPixel 6シリーズでのexFATへの対応は、ベータテスト的なものと考えるべきだろう。
実際の転送速度もかなり遅い
動作自体はあまり安定していないものの、一応Android 13にアップデートしたPixel 6シリーズではexFATフォーマットの大容量ポータブルストレージを認識することから、念のため前回の記事同様のファイル転送テストを行なってみた。
テスト内容は前回の記事と同じで、容量約14GBの動画データを用意し、その動画データをファイル管理アプリ「ファイルマネージャー+」を利用してPixel 6 ProとPixel 6aの内蔵ストレージからexFATでフォーマットした容量1TBのT7 Shieldへ転送する時間をストップウォッチで計測。計測時間は、3回計測の平均を出している。
なお、比較用として掲載したAndroid 12でのPixel 6 Proの転送時間は、独自でexFATへのアクセスを実現したファイル操作アプリ「USB Media Explorer」を利用して計測したものだ。
結果は下に示した通りで、「USB Media Explorer」を使用したAndroid 12のPixel 6 Proの結果と比べて、転送時間が4倍以上かかっていることがわかる。これは、Android 13がexFATに完全対応していないことが原因と考えていいだろう。
「ファイルマネージャー+」を利用してT7 Shieldに約14GBの動画ファイルを転送するのにかかった時間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | |||
Pixel 6a Android 13 | 3分45秒 | 3分38秒6 | 3分34秒85 | 4分23 | ||
Pixel 6 Pro Android 13 | 3分47秒 | 3分44秒15 | 3分54秒89 | 3分42秒18 | ||
Pixel 6 Pro Android 12 (「USB Media Explorer」 使用時) |
50秒 | 49秒85 | 51秒23 | 50秒3 |
そこで、USB Media Explorerでも転送時間を計測してみた。その結果は以下の通りで、転送速度が3倍以上速くなった。ただし、Android 12のPixel 6 Proの結果と比べると20秒ほど遅くなっている。当初は、exFATへのアクセスを独自対応しているUSB Media Explorerを利用した場合にはAndroid 12環境と同等の転送速度が得られると考えていたので、この結果もやや驚きだった。
「USB Media Explorer」を利用してT7 Shieldに約14GBの動画ファイルを転送するのにかかった時間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | |||
Pixel 6a Android 13 | 1分06秒 | 1分5秒69 | 1分5秒69 | 1分6秒63 | ||
Pixel 6 Pro Android 13 | 1分10秒 | 1分8秒69 | 1分9秒33 | 1分10秒74 | ||
Pixel 6 Pro Android 12 | 50秒 | 49秒85 | 51秒23 | 50秒3 |
この転送速度の遅さは、おそらくAndroid 13でのファイルI/Oシステムに要因があると考えていいだろう。こういった点からも、Android 13にアップデートしたPixel 6シリーズでのexFATへの対応は、限定的かつベータテスト的なものと結論づけていいはずだ。
PixelシリーズでexFATへの早期対応を期待したい
今回見てきたように、Android 13にアップデートしたPixel 6シリーズでexFATフォーマットの大容量ポータブルストレージが利用できることを確認したが、その対応は非常に限定的かつベータテスト的な対応にとどまっていることがわかってもらえたと思う。
同時に、Pixel 5シリーズ以前では依然exFATに非対応で、大容量ポータブルストレージを簡単に活用できないままとなっている。こういった状況がAndroid 13でも続くのは非常に残念だ。
Googleとしては、大容量データの保存にGoogleドライブなどのクラウドストレージの活用を重視しているのかもしれない。しかしユーザーとしては、データ通信やクラウドストレージのコストを節約する意味でも、大容量ポータブルストレージを利用して大容量データを保存したいと考えるのは当然だ。なにより、他のスマホではexFATへの対応が問題なく実現できている。そういった意味でも、GoogleにはPixelシリーズでもexFATへの正式対応を早期に実現してもらいたいと強く思う。
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