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ディスプレー搭載ハイエンド電源「ROG Thor 1200W Platinum II」をレビュー

次世代GPUに備えるならコレ!最新規格「12VHPWR」に対応する1200W電源の実力を試す

2022年08月30日 12時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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12VHPWRと8ピン×3変換で違いは出るか?

 ROG Thor 1200W Platinum IIの12VHPWRは、従来の8ピン×3をMicro-Fit12ピンに変換するやり方と比較して違いが出るのだろうか?

 それを確かめるため今回は、デフォルトTGP 480Wを誇る「ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti OC Edition」と組み合わせて検証してみる。このカードは、RTX 3090 Tiを簡易水冷化したファクトリーOCモデルだ。検証環境は以下の通りとなる。

【検証環境】
CPU インテル「Core i9-12900K」
(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「TUF Z690-PLUS WIFI D4」
(インテルZ690、BIOS 1601)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(16GB×2、DDR4-3200)
ビデオカード ASUS「ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti OC Edition」
(GeForce RTX 3090 Ti、24GB GDDR6X)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
電源ユニット ASUS「ROG Thor 1200W Platinum II」(1200W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」

検証に使用したビデオカードの情報を「GPU-Z」で拾ったところ。ブーストクロック1950MHz動作のかなり強烈なファクトリーOCモデルだ

そしてカードのTGPはデフォルトで、定格の450Wを超える480W設定! この大飯喰らいのビデオカードを支えられるのかがポイントになる

 テストはシンプルに「FurMark」の“GPU Stress Test”を利用する。「HWiNFO PRO」を利用して“GPU Power”を監視し、RTX 3090 Tiカード同梱の8ピン×3ケーブルとROG Thor 1200W Platinum IIの12VHPWRケーブルで動かした時にGPU Powerに差が出るかどうかをチェックする。

 12VHPWRケーブルは8ピン用2ポートから生成されるので、もし電源かケーブルの作りに難があれば480Wを支えきれない(8ピンのままだと合計300W程度が関の山)可能性がある。だが宣伝文句通りに動いているなら、8ピン×3と12VHPWRでGPU Powerに差は出ないはずだ。

「FurMark」のGPU Stress Testを回し、「HWiNFO PRO」でGPU Powerの出方を監視する。テストは15分とした

ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti OC Editionを12VHPWRで動かした時と、8ピン×3変換で動かした際のGPU Power

12VHPWRケーブルでFurMarkテスト中の光景。本体内蔵のOLEDディスプレーは570Wをわずかに下回る値を示した。隣にはラトックシステム「RS-WFWATTCH1」による消費電力を出してみた。若干OLEDディスプレーのほうが高い値を示している

PCI Express 8ピン×3変換ケーブルでFurMarkテスト中の光景。OLEDディスプレーのほうは570Wをやや超える値を示していた。RS-WFWATTCH1側の数値が低いのは、撮影タイミング的な問題(刻々と変化するため)

 12VHPWRのケーブルを使った時のほうが8ピン×3変換を使った時よりもわずかに(2W程度)GPU Powerが低い。2W程度ビデオカードが使っている電力が減っているということは、12VHPWRケーブルを使うことで性能も2W程度落ちるのではと考えられる。しかし、8ピン×3変換は効率が悪いためGPU Powerが増えている可能性も捨てきれない。

 そこで、「3DMark」のTime Spyをそれぞれ5回計測し、スコアーに差が出るか確認してみた。GPU Powerの差が性能に影響するなら、スコアーにも表れるはずだ。

「3DMark」Time Spyのスコアー

 予想とは反対に、12VHPWRで接続したほうがごくわずかにスコアーが高い。さすがにこれだけでは断言するに足るデータとはいえないが、8ピン×3変換のほうがGPU Powerが高いのは内部的な変換効率の差が出ている可能性はある。

次世代GPUに備えて早めに準備したい自作erに

 以上でROG Thor 1200W Platinum IIのレビューは終了だ。正直なところ、既存のPCI Express8ピン×2をMicro-Fit12ピン変換ケーブルにちょっと手を加えたような12VHPWRケーブルは不安があったが、いざ使ってみれば杞憂に過ぎなかった。PC用途では追加の4ピンのうちSense0とSense1があれば事足りるので、ASUSの判断は正しいといえるだろう。

 12VHPWR対応電源を必要とする次世代GPUのリリースはまだ先になりそうだが、いざカードが出ても電源が……と慌てないうちに揃えておくのもいいだろう。何より本機の保証期間は10年(ただしRGB LEDとOLEDは3年)と長いため、少々先走って確保しても十分長く使える。値段は高いが、それなりの満足感が期待できるだろう。

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