次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート
資源の少ない中小企業にSORACOMのサービスはメリットが大きい
自前主義からの脱却で作らずに創る JOHNANとカワサキ機工の製造業IoT事例
7月6日~7日にソラコムの年次イベント「SORACOM Discovery 2022 ONLINE」が開催され、京都で創業60年のモノづくり企業であるJOHNANと、静岡で創業して170年を迎えるカワサキ機工が、「企業の変革とテクノロジー活用」と題した事例セッションを行ない、中小企業におけるDXの取り組み、新たな事業展開において、ソラコムを採用した背景などについて紹介した。
エアコンプレッサーの廃液処理装置の遠隔監視にIoTを活用するJOHNAN
JOHNANは、1962年に創業した企業で、当初は電子部品をプリント基板にはんだ付けする業務からスタート。約20年前から、業務用プロジェクターの基板実装、組み立てなどを行なっていた。現在は電子部品の組み立て加工のほか、ドレン処理装置、産業用水中ドローン、金属加工のバリ取りロボットシステムなどの開発のほか、ロボット知能化技術の事業化に取り組んでいる。
JOHNANの山本光世社長兼CEOは、「JOHNANは、『ザ・製造業』といえる企業」としながら、「過去を紐解き、未来を創る風土づくりが経営者としての私の役割である。『変なヤツ』でもイキイキと働くことができる社風を作っていくことで、自律した人材が志を持ち、お互いに助け合いながら、地に足がついた形で、小さいが新しい事業をスタートできる」と語る。
創業者が膨大な量の日記や映像を残しており、それをデジタルアーカイブ化するとともに、これらをベースに絵本を発行。「ここにはJOHNANらしさが描かれている。社員には自分らしさを発見して欲しいと思っており、絵本はそのためのツールにもなっている」とする。
また、若手社長15人とともに、JOHNANの2050年の未来の姿を描き、これを紙芝居にしたという。「お客様が持つ素材やテクノロジーを活用しながら、一人ひとりの希望に寄り添って、アイデアを形にして、希望の実現を手伝う世界を描いた」という。社員の大切にする企業の側面が伝わってくる。
現在、JOHNANでは、エアコンプレッサーの廃液処理装置の遠隔監視に、SORACOM Lagoonを採用しているという。ドレン処理装置の状態を遠隔監視し、フィルター交換の適正なタイミングを、自動的に知らせるという。
「従来は、納入先の企業の担当者が、工場の日常点検のなかで、フィルターの汚れ具合を確認したり、当社の営業担当者が定期的に訪問して確認するという方法だった。だが、稼働時間が同じであっても、廃液の質や量、設置環境によって、フィルターの汚れが異なるため、気がついた時点では、ドレン水が装置から溢れ出ていたり、処期機能が働いていなかったりといった課題があった。フィルターの汚れの検知を自動化することで、顧客はフィルター交換を気にせずに本来業務に集中できるようになった」という。
山本社長兼CEOは、「自分らしさを持ち、それに自信がつくと、外部パートナーと組みやすい文化が生まれる。企業の変革と、テクノロジーの活用に向けて、自分らしさを持つことが大切である」と述べた。
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