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Platioで作成した道路状況共有アプリで「雪国テック」を実践

豪雪地帯で積雪状況を迅速に把握 仙北市とアステリアが連携

2022年01月31日 16時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2022年1月31日、秋田県仙北市はアステリアのモバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」を用いた道路状況共有アプリの運用を開始。市内の積雪状況をバスやタクシー運転手のスマホから簡単に共有し、除雪が必要な道路を早期発見できるようにする。発表会には仙北市の田口知明市長やアステリアの平野洋一郎CEO、同エバンジェリスト 松浦真弓氏が登壇し、今回のアプリ運用までの経緯や背景について説明した。

道路状況共有アプリについてコメントする田口知明仙北市市長

命と安全に関わる積雪状況 電話での伝達に大きな課題

 角館の桜や田沢湖で有名な秋田県の仙北市は、全域が豪雪地帯(一部、特別豪雪地帯)に指定されており、秋田県全体の約1割、東京都の約半分を占める約1100k㎡という広大な面積の積雪状況の把握や除雪作業が重要な行政サービスになっている。もちろん、地方都市ということで高齢者も多いため、積雪状態の把握や除雪の効率化は生命や安全に関わる大きな課題だ。

 これに対して仙北市は、今まで市内で営業しているバスやタクシーの事業者と協力し、事業者から連絡を受けた市が除雪担当に作業を依頼していた。しかし、運転手から事業者、事業者から市役所への伝達手段としてすべて電話を使っていたため、場所や積雪状況を正確に把握できず、タイムロスも生じていた。

電話を用いたこれまでの積雪状況の把握と除雪までのフロー。説明はエバンジェリスト松浦真弓氏

 こうした課題から、今回仙北市では、アステリアのPlatioの道路状況共有アプリの導入に踏み切った。PlatioはB2B向けサービスを手がけるアステリアのモバイルアプリ作成ツール。100以上のテンプレートから業務アプリをアレンジ可能で、「業務アプリを3日で作れる」という特徴を持つ。実際、今回のアプリも仙北市の総務部の職員が作成したという。

 道路状況共有アプリは、バス・タクシー事業者の5社、除雪担当を含む8名の仙北市職員が利用する。まずバスやタクシーの運転手が積雪状況を登録すると、関係する職員にプッシュ通知され、いち早く状況を把握できる。スマートフォンのGPSから位置情報を取得できるため、口頭での説明が難しい場所でも、積雪エリアを正確に把握することも可能。また、写真や動画の添付、コメントも可能なため、詳細な状況説明や緊急度も伝達できるという。

道路状況共有アプリを用いた積雪状況の把握と除雪のフロー

道路状況共有アプリの画面と利用イメージ

企業版ふるさと納税をきっかけにつながった仙北市とアステリア

 アステリアと仙北市との付き合いは長く、アステリアは2016年から毎年100万円を「企業版ふるさと納税」として仙北市に寄付している。また、PlatioやHandbookといったツールを活用したDX施策も積極的に支援しており、仙北市の名物である「角館桜まつり」のガイドアプリやコロナ対応、人力車の配車の効率化などでもPlatioを活用した実績があったという。

企業版のふるさと納税として毎年100万円を寄付している。説明は平野洋一郎CEO

 発表会に登壇した仙北市の田口知明市長は、アプリの導入によって、今まで電話での連絡だった積雪状況がスピーディに進むことに対して期待を表明した。「適切な除雪指示、効率的な除雪作業が可能になる。冬期間の市民の命と安全を守る上で、除雪はとても重要なので、今回のアプリ導入は仙北市にとって意義のあるもの」とコメント。今後のデジタル人材の育成やDXの推進に向けても強い意欲を示した。

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