キヤノンMJ/サイバーセキュリティ情報局

「デジタルフットプリント」も整理&削除してスッキリしよう

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本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「サイバーセキュリティ情報局」に掲載された「大掃除をするなら、「デジタルフットプリント」の整理も忘れずに」を再編集したものです。

 「デジタルフットプリント」という言葉を聞いたことはあっても、それが何であるか十分に理解しているだろうか? ソーシャルメディアの投稿、オンライン決済の取引データ、位置情報の履歴、送信したメール、メッセンジャーを介して送ったメッセージ、IDなどは、デジタルフットプリントを構成する一部である。

 インターネット上におけるプライバシー設定やソーシャルメディア上の行動の仕方によっては、デジタルフットプリントが必要以上に収集され、あなたを特定することに使われてしまう。これらのデータは攻撃者によって不正に悪用されたり、ダークウェブの取引サイトで販売される場合もある。加えて、うかつにSNSへ情報をシェアしてしまうと、オンライン上のストーカーやいじめ、あるいは詐欺被害に遭う可能性が高まる。デジタルフットプリントのリスクについて疑問があるなら、「誰もがサイバー攻撃の標的になり得る」というインターネットの大原則を思い出すとよいだろう。

 幸いなのは、放置されがちなこれらのデジタルクラッターを整理する方法があるということだ。世捨て人のようにオンラインから離れてしまう必要はない。それよりも、適切な方法を学び、インターネットにおけるプライバシーと利便性のバランスをとることが大切だ。

ソーシャルメディアのアカウントとプライバシー設定を確認する

 まずやるべきことは、ソーシャルメディアのアカウントのプライバシー設定を精査することだ。誰が自分のアカウントを閲覧できるのか、どんな情報が閲覧できるのか、などが含まれる。さまざまな設定項目を入念にチェックする必要があるが、サービスごとに設定箇所が異なるため、やや面倒に感じられるかもしれない。しかし、労力に見合った効果を期待できるだろう。

 次に、過去と現在の投稿をしっかりとチェックし不要な投稿を削除しよう。あなたが2009年に友人とフィレンツェに旅行した際のブランチについて知りたいと思っている人は、どれだけいるだろうか? とはいえ、頻繁にSNSへ投稿する人にとって、過去数年にわたる投稿をチェックするのは、気の遠くなるような作業になるかもしれない。しかし、一度この作業を行なえば、今後何を投稿するべきかといった新たな視点を得られるかもしれない。デジタルフットプリントを減らせるのに加え、過去の投稿によって将来、悩ませられることも防げる。

 投稿を精査し、セキュリティとプライバシーの設定を使ってアカウントを保護した後は、友達リストを削除すること。これはやや極端に聞こえるかもしれないが、この作業は、あなたの投稿やプロフィールを閲覧できる権限を持った人の「リスト」を管理することが目的だ。まず、追加した覚えのない見知らぬ人から削除し、次に、あまり親しくない知人や話したことのない人などを削除する。「知らない人が自分の投稿を見て何が問題なのか?」と思うのなら、一つ例を紹介しよう。最近の例では、有名人のInstagramアカウントを追跡していた窃盗犯が、その人の行動パターンを特定し、自宅へ盗みに入ったケースがあった。SNSの投稿からは多くの情報を収集できてしまうのだ。

保有している他のアカウントを確認して整理する

 多くの人は数十から数百ものオンライン・アカウントを保有しているものだ。1回や2回程度使った経験のあるECサイトやフィットネストラッカー(活動量計)アプリ、料理アプリ、ゲームなど、さまざまなサービスに登録しているだろう。各サービスは多くの情報を収集し、その情報には氏名・誕生日・身体測定データから電話番号まで含まれる。

 より便利に使うため、ソーシャルメディアのアカウントやメールアドレスを使ったシングルサインオン(以下SSO)を利用するケースが増えている。過去数年間に登録したすべてのサービス、ECサイト、アプリについて、物理的にも頭の中にもアカウントリストを作っている人はほぼいないだろう。その場合、SSOは利便性が高い。Google、Facebook、あるいはAppleのいずれを使っていたとしても、各アカウントへ連携されたサードパーティのアプリを一覧で確認できるようになった。この機能を利用して、普段使っていないアカウントや使い続ける必要のないアカウントを把握し、連携リストから削除することが可能だ。また、SSOを使っておらず、メールアドレスを利用している場合は、メールの受信トレイで「解除」「登録」「ようこそ」といった単語で検索すると、過去に登録したサービスを見つけられる。

購読しているメールマガジンを整理する

 メールの受信トレイを検索する方法についてはすでに述べたとおりだが、デジタルフットプリントを削減するもうひとつの方法として、受信しているさまざまなメールマガジンの配信を停止することをお勧めする。これらのサービスやマーケットプレイスは、メールを使って商品やアプリ内購入を促すさまざまな値引き情報を配信してくる。さらに、これらのメールに関する情報は悪意のある攻撃者の手にわたる可能性がある。

 正直なところ、ほとんどの人は登録時に細かい利用規則に目を通さず、最速で手続きを進められるよう反応的にボタンをクリックしている。結果として、読みもしない膨大なメールが受信トレイに届くことになる。上述の方法を習って、一度メールマガジンの配信を停止した後は、1回限りの商品購入専用のメールアドレスを作るのが賢い方法だ。これには2つのメリットがある。1つ目は、主となるメールアドレスを重要な情報の確認用に取っておける点だ。もうひとつは、自身のデータを安全に隔離しながら、スポットの商品購入に使ったアカウントを一箇所で管理できる点だ。あるいは、1度しか使わないサービスに登録する場合は、使い捨てアドレスのサービスを使う方法もある。「使い捨て メール 口コミ」で検索すればお勧めのメールサービスが見つかるだろう。

さらなるステップ

 デジタルフットプリントを最小化する方法は、前述のヒントだけではない。有効なステップとして、VPN(Virtual Private Network)の利用が挙げられる。VPNはインターネット接続時の通信を暗号化することで、閲覧履歴を盗み見られたり、追跡されるのを防ぐ効果が期待できる。もうひとつのメリットとして、従業員が安全にリモートワークを実施できる点も挙げられる。

 EUに住所のある人であれば、これらのデジタルフットプリントの削除に関する法律が活用できる。例えば、Googleに対し、所定の依頼書を使い、個人情報を削除するよう要請することが可能だ。また、何のデータが追跡され、削除されたかを確認するため、Googleのプライバシーチェックアプリや、その他のツールを用いる方法もある。この機会にFacebookのプライバシー設定も確認してみてはどうだろう? FacebookやTwitterといったソーシャルメディアにおいて、あなたに関するどのような情報が記録されているかを知りたければ、保存された情報のコピーをダウンロードすることもできる。

 伝えたかったことはシンプルだ。最初はデジタルフットプリントを削除する作業は大変に思うかもしれない。しかし、労力に見合った効果が得られる。最終的には、プライバシーが保護されたことに安堵するだろう。

[引用・出典元]
Spring cleaning? Don’t forget about your digital footprint by Amer Owaida 16 Apr 2021 - 11:30 AM
https://www.welivesecurity.com/2021/04/16/spring-cleaning-dont-forget-digital-footprint/