「升喜展示会2021」の受付で活用 非接触で受付できて、マーケティングにも有効
名刺だけで瞬時に受付! Sansanの無人名刺受付システム「Smart 受付」を体験してきた
2021年06月23日 09時00分更新
2021年6月22日、Sansanは無人名刺受付システム「Smart 受付」の提供を開始した。展示会やセミナー、カンファレンスなど、BtoB領域における出会いの場で、IT技術を活用して受付の課題を解決する。法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」のオプションの1つとなる。
名刺を置くだけで受付が完了する「Smart 受付」 マーケティングへの活用も
BtoBイベントの受付は、古くからアナログ的な業務の1つで、非効率という課題があった。名刺を交換し、参加者リストと突き合せ、名刺ホルダーを渡して案内するという作業を行ない、多人数が来場するイベントでは受付の人数も揃えなければならない。また、コロナ禍においては感染拡大防止対策のために、非接触での対応が望まれる。受付に人が溜まって密にならないように、スムーズに受付業務を処理する必要もある。
そこで、受付業務をデジタルシフトさせるのが今回発表された「Smart 受付」だ。端末の下に名刺を置けばOCRで文字を認識し、受付業務が完了する。あとは、その名刺をボックスに入れ、自分で名刺ホルダーを取って入場すればよい。担当者と名刺を交換する必要がないので非接触なうえ、認識は1秒で終わるので短時間で多人数をさばくことができる。
発表された6月22日当日、明治8年に創業した日本橋箱崎町の酒問屋である升喜がお酒を扱う業者向けの商品展示会「升喜展示会2021」を開催しており、その受付システムとしてSmart 受付を導入していたので、早速取材してきた。
消毒と検温を終えて会場に入ると、2台のSmart 受付が用意されていた。iPadがセッティングされており、その下の黒いシートに「CARD HERE」と書いてある。ここに自分の名刺を置けば即認識し、名前とメールアドレスが表示される。間違いなければ「受付する」をタップすればいい。
黒いシートには「CARD HERE」と書いてあるし、iPadにも机の手前にも「下の黒いシートの「CARD HERE」の上にお名刺を置いて下さい」と書いてあるのに、筆者は名刺をカメラにかざしたり、画面を操作しようとしたり迷ってしまった。筆者のように寝ぼけている人もいるかもしれないので、さらに何をすればいいのか目立たせてもらえるとよりわかりやすいかもしれない。なお、名刺を置くのに手間取っていると認識に失敗するが、5秒待てばまた撮影可能になる。
事前にエントリーしたときのメールアドレスと突き合せ、Smart 受付の管理画面に反映する。もちろん、新たに名刺を登録することも可能だ。もし、複数回登録してもデータが重複することはない。
SansanやEightは名刺を高精度に入力してくれるサービスだが、最後は人力チェックしている。受付業務ではその場で認識しなければならないので、OCR機能を利用している。
Sansanのデータ統括部門DSOC(Data Strategy & Operation Center)が2020年11月に開発した「DSOC OCR」を利用し、名前とメールアドレスをわずか0.3秒でデータ化できるという。特にメールアドレスの認識は99.7%の高精度で、参加ユーザーの識別を行なえる。少なくとも筆者が見た範囲では誤認識はゼロだった。
通常の受付の場合、30秒くらいはかかるだろうか。リストから探すのに手間取ったり、名刺ホルダーにわざわざ入れてくれたりすると1分くらいかかるかもしれない。Smart 受付なら、受付ボタンをタップしたり、名刺を入れたり、ホルダーを取る時間をまとめても10秒くらいで済む。そして、無人でいい。
あまりのシンプルさに驚いた。これは確かにアナログな受付の課題を解決できる。BtoBのイベントでは、良質なリードを獲得することも大きな目的の1つ。名刺を即、正確にデータ化することで、事前申し込みのリストとも自動で突き合わせ、その後の営業にも活かせるのだ。
Smart 受付の管理画面を見ていれば、誰が来たのかがわかる。参加者にはタグを付けて管理できるので、重要な顧客が来たことがわかったら担当者や上司を呼ぶといった対応も可能だ。
Smart 受付を使えば非接触にでき、受付人数も削減できる
升喜展示会2021を開催している升喜の執行役員 宮田幸一氏にSmart 受付についてお話を伺った。一昨年まで展示会を開催していたが、2020年はコロナ禍で開催することができなかったそう。今年こそは、酒販店の力になりたい、ということでイベントを企画することになった。そこで、コロナ対策の仕組みを探している中で、SansanからSmart 受付の話を聞いたという。
「実際に使ってみて驚きました。今日来場されたお客さまからも『スゴイね』というお声をいただいています。受付の人も減らすことができました」(宮田氏)
以前は、受付に8人くらいで当たっていたところ、Smart 受付を導入したことで、3~4人に減らすことができたという。来場者によっては、自社の担当者を呼ぶという業務フローがあるので、完全無人にはできないとのことだが、それでも大きな導入効果と言えるだろう。「すごく先を行っている仕組みだなと感じました。今後も使っていこうと思います」(宮田氏)
無人名刺受付システム「Smart 受付」は、法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」の特約オプションとなり、iPadとiPad設置台、撮影用マット、ワイヤーロック、専用バッグをセットにして、月額2万円(税別)となる。ちなみに、「Sansan Seminar Manager」は月額5万円(税別)から。
参加者の顔で認証するシステムも存在するが、高価なうえ、マスクを付けていると対応できない。Smart 受付なら比較的安価なうえ、マスクを付けたまま非接触で受付できるのがメリットだ。
クラウド名刺管理で知られるSansanだが、最近はイベントテックに力を入れており、Smart 受付も単なるオプション機能というよりも受付業務をDX化するとても便利なサービスとなっている。コロナ禍でもリアルイベントを安全に効率的に実施したい、という企業は要チェックだ。