小学館、丸善ジュンク堂書店、セキュアの3社がコラボ

新宿住友ビルにDIMEオリジナル商品を販売する無人店舗がオープン

文●大谷イビサ

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 小学館、丸善ジュンク堂書店、セキュアの3社は、ビジネスハック誌「DIME」オリジナル商品を販売する無人店舗「DIME LOUNGE STORE(ダイムラウンジストア)」を新宿住友ビルの地下1階にオープンする。

新宿住友ビル地下1階にあるDIME LOUNGE STORE

顔認証で入店し、そのままゲートから退店すれば決済完了

 小学館の「DIME」は、1986年創業で今年35周年を迎えるビジネスパーソンのライフハックマガジン。これまでDIME独自で企画した商品やバイヤーが厳選した商品をオリジナル商品としてオンライン販売してきたが、今回オープンしたDIME LOUNGE STOREではこれらの商品を手に取って購入できるリアル店舗になる。

 DIME LOUNGE STOREはセキュアのオフィスがある新宿住友ビルの地下1階のエレベーターホールの一角にある。入り口の認証用端末やスマホからクレジットカードを含めたユーザー情報と顔情報を登録しておき、入店ゲートのカメラによる顔認証を経て、そのまま入店する。初回の顔情報登録時はマスクを外す必要はあるが、顔認証はマスクをしている状態でも可能だという。

いったん顔を登録すれば、マスクでゲートを通過できる

 敷地面積は5畳と広くないが、ビジネス小物や鞄などこだわりのあるDIMEオリジナルの25商材がところ狭しと並べられている。入店後は棚から買いたい商品を手に取るだけでカートに入り、商品情報もリアルタイムに見ることができる。縦長・横長さまざまなサイネージが用意されており、商品情報を見たり、関連したDIMEの記事を読むことが可能だ。商品を購入する場合は、そのまま退店ゲートのカメラで顔認証するだけで決済が完了する。入店人数や体温の高い人の入店制限など新型コロナウイルスの対策も万全だ。

縦長、横長のサイネージに商品説明が表示

メロンテキスチャのビジネス小物や大人気のサンタ柄ポロシャツなど。商品をとると、そのままカートに収まる

 重量センサーと画像認識で商品棚の個数を認識しており、補充タイミングは逐次通知され、購買情報から自動的に在庫も更新されるという。また、商品ごとのタッチ回数や時間、棚の前に滞在した時間、人の年齢や性別、感情などもリアルタイムに分析しており、店内や棚のヒートマップやコンバージョンなどの可視化も可能になっている。もちろん、比較的高額な商品が置かれていることもあり、セキュリティ対策もきちんと施されており、不正侵入や長時間の滞在に対してアラートが挙がるようになっている。

店舗には数多くのカメラとセンサーが取り付けられている

ゲートを乗り越えたりすると、アラートが挙がる

小売業界でのDXを試すプロジェクトの第一弾

 今回の取り組みは、セキュア、博報堂プロダクツ、日本マイクロソフトによって構成された「リテールDX コンソーシアム・ラボ」の第一弾プロジェクトになる。リテールDX コンソーシアム・ラボはリテール分野におけるDX普及や最新テクノロジーの活用を手がけるべく4月に発足したばかりで、今回のようなユーザー企業との連携も進めていく予定。無人店舗・省力化店舗やOMO施策、RaaS(Retail as a Service)といった取り組みのみにとどまらず、販売やマーケティング施策まで含め、小売分野でのDXを推進するという。

 システムを構築・運営したセキュアは2002年創業のIT企業で、入退室管理システムや監視カメラ、AIによる画像認識技術の開発や実装を手がけており、すでに5000社以上の導入実績を誇っている。近年は少子高齢化による人手不足、デジタルシフトの加速、新しい技術の実装の遅れといった背景があり、リテールテックに参入。昨年はDIME LOUNGE STOREが設置される「AI STORE LAB」を構築し、顔認証決済や店内の行動分析、商品リコメンド、スマートシェルフなどさまざまな取り組みにチャレンジしてきた。

 今回のコラボは丸善ジュンク堂書店からDIME編集部への声がけで実現したもの。出版業界の変革が求められる中、書店でも限られた人員でのDXが重要になっており、丸善ジュンク堂書店にとってはセキュアが手がける無人店舗は魅力的だったという。一方で、書店では書籍以外の物販の販売が伸びており、商品の情報発信のみならず、オリジナル商品を手がけているDIME編集部と組むことにしたとのこと。「DXの本質は、今までとれていなかった情報を取得し、お客さまの体験につなげていくこと」と丸善ジュンク堂書店 経営企画部の工藤淳也氏は語る。

 DIME編集長の安田典人氏は、読者の声に応える形で今まで3桁におよぶ商品数をプロデュースし、4桁の販売数を誇るロングセラー財布も生まれてきたと、DIMEオリジナル商品についてアピール。長らくオンライン販売のみだったが、「いつ手に手に取ってもらいたかった」と語る。その上で、「買い物もECがメインとなり、コロナ渦の影響もあって、商品を手に取る体験自体が少なくなってきた。今回の取り組みで、手に取る体験ができるリアル店舗の価値と、最新のテクノロジーで未来の買い物体験をお届けしたい」とアピールした。

DIME編集長安田典人氏、セキュア取締役 平本洋輔氏、丸善ジュンク堂書店 経営企画部 工藤淳也氏

 店舗は2021年4月15日(木)の10時にオープン。営業時間が10時~19時で、水曜日・土日が定休日となる。

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