「カーディオフィットネス」の表示は説明不足もあるが……
「健康」アプリ含まれる3つ目の機能が「カーディオフィットネス」だ。こちらの機能は、便利ではあるのだが、正直評価が悩ましい部分もあった。
同機能は、ウォッチを装着してすぐには結果が表示される類のものではない。機能を有効にしても、しばらくは「カーディオフィットネスレベルを測定するにはウォッチを着用し続けてください」というメッセージが表示される。
ユーザーの運動強度や生活習慣などによって差はあると思うのだが、ウォッチを装着して運動し続ける生活を送ると、結果が表示されるという仕組みになっているようだった。筆者の場合は、結果が表示されるまでに約1週間ほどかかった(※今回、検証期間の前半は軽いウォーキングのみ、後半にはジョギングを加えたので、運動強度が高い生活を送ればもっと早く表示されるかもしれない)。
こちらの機能にはタイルが用意されておらず、結果を確認するには「健康」アプリ内の「カーディオフィットネス」を選択しなくてはならない。筆者の場合には、結果の画面に「素晴らしい」という文字が表示され、メーターが緑の領域を指していた。推移も表示されるので、より長期に利用すれば、時間経過に伴う変化も確認できるだろう。
しかし、ウォッチ上で何も説明が表示されないため、筆者を含め、これだけ見ても多くの人は、何を意味しているのか理解できないだろう。
そもそも、「カーディオ」とは心臓を意味する言葉であり、カーディオフィットネスを日本語訳するならば心肺機能トレーニングくらいのニュアンスになる。フォッシルの機能アップデートに関するプレスリリースを参照すると、「安静時の心拍数と、年齢や、性別、体重などからVO2 max(最大酸素摂取量)の推定値を算出し、フィットネスレベルの経過を測定できる」とあるので、先のメーターが意味するのはVO2maxの推定値だろうと推測できる。VO2maxとは、[ml/kg/分]という単位で表され、体重1kgあたりに取り込める酸素量の数値のことだ。
しかし、できれば推定値であっても、メーター表示だけでなく、数値としても表示を追加してもらうか、説明書きを添えて欲しいと感じた。例えば、厚生労働省が提示する「健康づくりのための運動基準2013」では、筆者が該当する18~39歳の男性という条件の場合、基準値が39ml/kg/分となっている。「素晴らしい」の一言を表示するだけではなく、数値を添えたり、推定値でこうした基準値を超えている、などといった説明書きがあれば、よりユーザーの理解が深まって有意義になるのでは、と個人的には思った。
とはいえ、慢性的な運動不足を解消するという意味では、自分が段階のどの位置にいるのかを確認できる有用なツールでもある。「細かい意味は気にしないから、ウォーキングやジョギングなどを通じてどのように、1カ月で心肺機能が上がっているのかを追跡したい」という人にとっては、難しいことを考えずにすむので、接しやすい仕様になっている側面もあるだろう。