kintoneだけじゃない!クラウド時代に成長するサイボウズ製品の現状
プロダクトマネージャーのエゴが飛び交ったCybozu Days 2020基調講演
2020年11月16日 09時00分更新
2020年11月11日から幕張メッセでリアル開催された「Cybozu Days 2020」。2日目のプロダクトキーノートでは、サイボウズOffice、ガルーン、kintone、メールワイズの4製品のプロダクトマネージャー(PM)が全員登壇。「エゴ&ピース」というイベントテーマに合わせ、それぞれのエゴを語り尽くした。
自治体での利用が増え、グローバル進出も着実に
コロナ禍でありながら、厳密な対策の上、幕張メッセでのリアル開催を実施された「Cybozu Days 2020」。2日目のプロダクト基調講演に登壇したサイボウズ 青野慶久社長と営業本部長の栗山圭太氏は、サイボウズOffice、ガルーン、kintone、メールワイズという主要4製品を改めて紹介した。
これらサイボウズ製品は、今まで企業での利用が一般的だったが、災害対策や地域連携など自治体の事例が増え、新型コロナウイルスの情報共有インフラとしても導入が加速しているという。大阪とは事業連携協定を締結したほか、八尾市は事業者給付金の支給、加古川市では個人給金システムにkintoneを採用。東京や神奈川県でもkintoneが活用されている。
また、グローバル展開も着実に進んでおり、オーストラリアは人員増員中、タイや台湾は拠点準備中だという。好調なのはAWS環境に移行した北米で、この3ヶ月間は出荷本数を更新しているとのこと。「ようやくkintone売れ始めてきた。手応えを感じてきた」(青野氏)という状況だ。
さて、今年のCybozu Days 2020のテーマは「エコ&ピース」。「普通はラブ&ピースだと思うが、いまはエゴを出し合って、うまく活かし合った方が幸せな職場が作れるのではないか?」(青野氏)という思いから生まれたテーマだ。青野氏が栗山氏にエゴを聞くと、「3ヶ月くらい役職をすべてはずれて、ひたすらお客さまのところで、業務改善とkintoneの作り込みをやりたい」と語る。一方、青野氏のエゴは「サイボウズの4製品はバラバラ過ぎるので、統合したい」とのことだ。
コロナ禍でも強かった 4人のPMが語る製品の近況
ここで各製品のプロダクトマネージャが一斉に登壇。まずは自己紹介と製品の近況について紹介した。
メールワイズの最新動向と実績を紹介したのは、新卒3年目でビジネスプロダクトマネージャーに抜擢された永井千晶氏だ。
メールワイズはサイボウズが作るチームのための「メール共有システム」。今まで個人ごとに来ていたメールをチームで共有することで、効率的な対応や属人化の排除、働き方改革などを実現する。知名度は低いが、すでに1万社の導入がある。昨年は仕事が進まない、情報が共有されないボトルネックを診断する「ビジネスのボトルネック研究所」というプロモーションを企画したという。
続いてサイボウズ Officeについてコメントした河合真知子氏は、23年の歴史を持つサイボウズ Officeのプロダクトマネージャを務めて今年で12年目。サイボウズ Officeパーカーをまとう河合氏は、「青野さんも、栗山さんも、kintoneの服装ですが、サイボウズ Officeにも関心持ってほしいと思います(笑)」とコメントもチクリ。
グループウェアの定番である「サイボウズ Office」はパッケージ版とクラウド版を展開。クラウド版はリリース9年目にして、いよいよユーザー数が2万社を突破した。また、9月からは約3年ぶりに新機能のリリースを再開し、掲示板のアンケート、施設情報のリンク、予定の共有色の追加などが予定されている。
2020年も「かんたんらくらく」を掲げて製品サイトやユーザーポータル、カタログ、動画コンテンツなどを充実させているという。「サイボウズOfficeの生みの親であるスーパーエンジニアである畑さん(畑 慎也氏)を招聘し、普通に新機能の開発を手伝ってもらっている」(河合氏)とのことで、今後の進化にも期待できそうだ。
中堅・大企業向けグループウェアであるサイボウズ Garoonについて紹介したのはビジネスプロダクトマネージャー 池田陽介氏だ。Garoonもクラウド版の伸びが顕著で、導入社数は5800社、利用者数は国内外で270万人を突破した。京都大学(1万2500ユーザー)、茨城県庁(1万ユーザー)、明電舎(8000ユーザー)、ほけんの窓口グループ(6000ユーザー)など導入規模が大きいのが特徴。パッケージ版もバージョンアップを定期的に行なっており、11月6日には最新の5.5がリリースされたばかりだ。
最近、注力しているのは他社サービスとの連携だ。クロス・ヘッドがMicrooft Teamとの連携を出しているほか、今回はKDDIウェブコミュニケーションズとの提携で「Video会議 for Garoon」が発表された。Garoonのスケジュール画面でそのままビデオ会議が可能で、画面共有やチャットも可能になる。また、クラウド版はポータル用のテンプレートがアップデートされ、サイボウズ社内で活用されたテンプレートも用意。今年はAPIを拡充してきたが、2021年春はいよいよプラグイン機能を搭載する予定となっている。
最後に登壇したのはkintoneプロダクトマネージャーの相馬理人氏。kintoneもユーザーが1万7500社を突破し、毎月500社以上が導入しているという急成長ぶり。また、アプリ/スペースの復旧機能やIF/ROUND関数への対応など、年間60件以上の製品アップデートを実施中。「今後もアップデートのスピードを落とさないようにしていきたい」と相馬さん語る。さらにkintoneのオンラインコミュニティ「キンコミ」も開始しており、kintoneの活用について気軽に相談できる環境が実現されつつある。
4人のPMがアピール合戦 4つの製品はもっと統合してもいいのでは?
後半は青野氏や栗山氏とともに、4人のPMがアピール合戦を繰り広げる。まずコロナ禍については、「テレワークが増えたことで、サイボウズOfficeのユーザー追加が増えた」(河合氏)、「在宅勤務の影響でメールの数が爆発的に増えたことで、メールワイズで対応したいというお客さまが増えた」(永井氏)など、おおむねプラスの影響。サイボウズ自体もセミナーや営業活動をいち早くオンライン化したことで、需要増に答えられたようだ。
また、パートナー販売や他製品との連携についても伸び調子で、「パートナーと連携ニーズが高まり、コロナ禍でもいち早く連携ソリューションを展開できた。チームワークはむしろ高まった」(池田氏)、「数も増えたが、種類やバラエティも増えた。今ではkintoneを中小企業診断士や経営コンサルティング、銀行などが販売してくれるようになっている」といったコメント。「パートナーといっしょにやったほうが提案の幅が拡がる」(永井氏)とのことで、メールワイズも初のパートナー共催セミナーを実施するという。
次はPMとしてのエゴや野望だ。4人は以下のとおりコメント。
「メールワイズは送信予約の機能を付けたい。メールを送るために早起きとかしたくない(笑)。あと画面デザインがレトロなので、2020年っぽくしたい」(永井氏)
「サイボウズも社員が増えて、大企業になりつつあるので、大企業ならではの課題解決の方法やエッセンスをようやくGaroonに提供できるのではないかと。あとは検索に時間がかかるので、速くしたい」(池田氏)
「クラウド版2万ユーザー突破したけど、日本にある中小企業を考えれば、まだまだ10万社、20万社にしていきたい。あと、サイボウズOffice モバイル版はイケてないと言われることが多いので、そこは強化していきたい。kintoneばかりやってないで、サイボウズ Officeに興味持ってほしい(笑)」(河合氏)
「98.5%の会社に入っているのがExcel。kintoneも便利だと思うので、それくらいまで行きたい。アプリも増えて使いにくいところもあるので、使いやすくしたい」(相馬氏)
「4製品を統合したい」というエゴを表明している青野氏は、「いろいろな製品あるけど、統合できるところあるよねと思う」と語る。複数のサイボウズ製品を使っているユーザーも増えているが、「どのアプリに情報が入っているかユーザーは意識しないので、検索したらせめて後ろで連携して返してほしいし、通知もアプリごとは面倒くさい」と指摘する。クラウド化した今だからこそ、統合にチャレンジしてほしいとリクエストした。