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小島寛明の「規制とテクノロジー」 ― 第90回

アマゾン、楽天、ヤフー、悪質業者対策で「お役所化」?-倶楽部情報局

2020年09月09日 18時00分更新

文● ASCII倶楽部編集部

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 本日は、ASCII倶楽部の人気記事「アマゾン、楽天、ヤフー、悪質業者対策で「お役所化」?」を紹介します。


 2020年8月のお盆休みが明けてから、ネット通販をめぐる様々な動きが出ている。

 大きく報じられたのは、新しい業界団体の設立だ。アマゾンジャパン、メルカリ、ヤフー、楽天が8月24日、「オンラインマーケットプレイス協議会」を設立すると発表した。

 悪質な出品者の情報を共有し、利用者保護を強化することなどが目的だという。

 ヤフーはその3日前に、マーケットプレイスへの出店を認める基準を12月までに開示すると発表している。

 プラットフォームの動きが相次ぐ状況を読み解く際に、政府側の動向に注目すると、より状況はクリアに見えてきそうだ。

●協議会設置で悪質業者は減らせるか

 オンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)は、設立の発表と同時にウェブサイトも公開している。

 同協議会は、6項目の活動内容を公表しているが、重要そうなのは次の2項目だろう。

 ・トラブル等の情報収集
 ・行政機関、消費者団体等との情報共有および意見交換

 24日付のNHKによれば、協議会に参加する4社のマーケットプレイスでは、安全基準を満たさない家電を販売したり、組織的に競合企業の商品に低い評価を投稿するといったトラブルが続いているという。

 悪質な手法で商品を売る手口も巧妙になっている。

 4月には、消費者庁が、ルイ・ヴィトンやエルメスといったブランドをうたった偽の財布やバッグをアマゾンのマーケットプレイスで販売していた13の事業者に対し、特定商取引法に基づく行政処分をした。

 しかし消費者庁はこの事案で処分はしたものの、どこのだれを対象者とするのか特定できなかった。

 同庁によれば、あらゆる手段で身元の割り出しを試みたが、偽のブランド品を販売している事業者の身元が特定できなかったという。

 偽ブランド品業者は、別人になりすましたり、お金の流れが特定できない決済手段を使ったりと、身元の追跡が困難になる仕掛けを多数施していた。

 この事案について協議会のウェブサイトは触れていないが、プラットフォーム間で連携し、調査権限のある行政機関とも連携しなければ、悪質な事業者に対応しきれない現状があると考えられる。

●ヤフーは出店審査基準を開示へ

 ヤフーは8月21日、12月までに「Yahoo!ショッピング」に出店する際の審査基準を定め、開示すると発表した。

 同社は4月に専門家や弁護士らで構成する「デジタルプラットフォーム事業者情報開示在り方検討会」を設置。検討会は、8月19日付で提言書をまとめている。

 提言書は、出店者の審査基準について次のように記述している。

 「審査基準を事前に明確にしたうえで、拒絶する場合はその理由を可能な限り説明すべきである」

 偽のブランド品を売買して出店を拒否されたのなら仕方がないが、普通の業者が突然出店できなくなるとすれば、営業の存続にも関わる。

 拒否された場合にその理由が開示されるのは、出店者とプラットフォームの関係性の見える化を進めるうえで大きな前進だと思われる。

●背景に新しい法律

 プラットフォーム側の動きが目立つ背景には、新しい法律の存在がある。

 5月に国会で可決・成立した「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」だ。

 法律がつくられた背景には、プラットフォームと出店者との取引では、プラットフォーム側が極めて強い立場にあるが、取引が拒否された理由が示されない、規約が突然変更される、といった問題がある。

 この法律は、基本的には取引の透明性と公正さを向上させるため、プラットフォーム側の自主的な取り組みを促すものだ。

 実際、オンラインマーケットプレイス協議会やヤフーの公表資料を見ても、「透明性の向上」「積極的な情報開示」といった文言が頻繁に出てくる。

●プラットフォームの動きは役所っぽい


 続きは「アマゾン、楽天、ヤフー、悪質業者対策で「お役所化」?」でお楽しみください。

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