昆虫を支配し光に向かわせる寄生虫
敵味方に分かれた特撮やアニメでよくある“マインドコントロール”。他人の力、ここでは悪い奴らが、正義の味方(のひとり)の思考や情報を支配し、その行動をもコントロールしてしまい、悪い奴らに都合の良いようにその正義の味方を操る行為を言います。これは主に悪い意味でのマインドコントロールですが、良い意味だと“自分自身の精神状態を調整する”という意味で使われ、主にスポーツ選手などが当てはまります。後者は良いですが、問題は前者です。知らない間に思考が変えられてしまい、自分自身が気づかないまま、いつもの自分がとらないような行動をとってしまう……。人間同士の関わり合いの中で実際にあるこのマインドコントロールですが、実は昆虫の世界にも存在するのです。しかも、他者の体の中に寄生してその思考を変えてしまうという……。
そいつの名は『ハリガネムシ』。細長くてうにょうにょしている、ミミズを引っ張って細く伸ばしたような水生生物です。乾燥すると表面が固くなって“ハリガネ”のように固くなります。このハリガネムシ、一見するとなんかちょっと気持ち悪いムシだなぁって印象で、それ以外は何の変哲もなく見えるのですが、なんとこのムシ、カマキリやコオロギなどの昆虫の体に寄生しそこで成長、あげくにその寄生した昆虫を“マインドコントロール”して投身自殺させ、再び水中に戻り繁殖する……という、えげつない生態を持っているのです。
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