同じCPUでも比較PCよりも高めの処理能力を発揮
まずは、CPUの地力がわかる「CINEBENCH R15」とストレージ速度を計測する「CrystalDiskMark 6.0.2」で検証してみよう。比較対象として、CPUがCore i5-8265Uでシステムメモリー容量が8GB、グラフィックスがIntel UHD Graphics 620を搭載し、ストレージがSATA接続の256GB SSD、ディスプレー解像度が1920×1080ドットという構成のノートPCを用意した。
CINEBENCH R15はCGレンダリング処理でシングルコア時とマルチスレッド時の処理能力をフルで発揮するテストだ。こちらは基本同じCPUなら同じような値になるのだが、マルチスレッド時はCPUに高い負荷がかかるため、ノートPCの冷却能力やメーカーのチューニング次第だとその実力がいかんなく振るえない場合がある。
ZenBook 14は比較PCよりも高い値を示した。これがクーラーユニットの優秀さからくるものなのか、単にそういったチューニングによるものなのかは断定できないが、少なくとも同じクラスのCPU搭載ノートPCの中では弱い部類ではないということがわかった。
また、後述するが、CPUテスト時の負荷が最も高い時でも体温を超える表面温度が観測されたのはごく一部だ。騒音もほぼ気にならない。このことからクーラーユニットのファンを過剰に回転させて冷やしているわけではないと言える。そういった意味では、バランスの良いチューニングになっているのかもしれない。
続いて、ストレージ速度ベンチマークのド定番であるCrystalDiskMark 6.0.2でストレージの性能差を見てみよう。
PCIe 3.0×2接続のSSDを搭載するZenbook 14は、SATA接続SSDを搭載する比較PCと比べて、シーケンシャルリードで約3.7倍。シーケンシャルライトで約3.2倍高速だった。このように、SSD搭載モデルでも接続バスの規格が異なることでスコアーに大きな差が出る。そして、ストレージのデータ転送速度はCPUやGPUの処理能力の以上に体感で感じる場合が多い。これはそのままPCの使い勝手に影響する。
バリュークラスのPCでHDD搭載モデルが残っていることも影響し、依然として「SSDは高い」というイメージを持つユーザーもまだまだいる。しかし、容量あたりの価格差はもうそれほどあるわけではなく、転送速度の違いは価格差を補って余るほどに快適な使い勝手をユーザーに提供してくれる。
また、接続バス規格の違いにも同じことが言える。SATA接続とPCIe接続で価格差はまだあるものの、ベンチマークテストのスコアーが示すようにその違いは圧倒的だ。例えば、ファイル移動時などにその差は顕著に表われる。SSDを採用するモダンPCの中でも、できればより高速なPCIe接続のSSDを選びたい。