VRを活用した防災シミュレーションが、従来の防災意識を高めるためのアプローチと比較して、体験者に対して強く作用し防災意識を高められることが明らかになった。この事実は、ニューヨークのホフストラ大学が行なった実験研究によって判明した。
実験研究は、ホフストラ大学の大学生を対象に、ハリケーンからの避難というテーマで実施された。実験は、参加した学生の一部に(ハリケーンに関する)天気図や文字による警告文といった従来のアプローチを行ない、残りにはVRを活用したハリケーンの360度映像(VRビデオ)を見せるという形式で行なわれた。
ホフストラ大学の研究チームの発表によると、実験後、従来の災害報道を見せた学生グループでは、「(災害に遭遇した際)避難する」と答えた割合は全体の70%に留まったのに対して、VRビデオを見たグループは90%が、災害時に避難を行なうと宣言したとのこと。
VRビデオの効力について、ホフストラ大学で地質学教授などを務めるJase Bernhardt氏は「(ハリケーンのVRビデオで学生が)恐怖を感じたのは、(自分がハリケーンに)閉じ込められる感覚に直面するからです。この体験が本能的な感情を引き出し、多くの学生が『はい、(ハリケーンについて)よく理解できました。私はこの警告を真摯に受け止めます。』と答える結果になりました。」とコメントした。