Windowsを起動せずにマルウェアをスキャンできる無償ツール 「ESET SysRescue Live」を試してみた

文●宮里圭介 編集●ASCII

提供: キヤノンマーケティングジャパン

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「Rufus」を使って、起動可能なUSBメモリーを作成する

 まずはソフトの入手から。ESETインターネットセキュリティをすでに利用している人なら、「ツール」の右下にある「その他のツール」を開き、「ESET SysRescue Live」をクリックすることでダウンロードサイトを開くことができる。もし使っていない人でも、以下のサイトからダウンロードが可能だ。

まずは左のメニューから「ツール」を開き、右下にある「その他のツール」という項目をクリック。

するとツールの中にレスキューCDの作成として「ESET SysRescue Live」があるはずだ。これをクリックしよう。

ブラウザーが開き、「ESET SysRescue Live」のダウンロードサイトが表示されるので、ファイルをダウンロードする。

 このダウンロードしたファイルはISO形式。Windows10の標準機能では起動可能なUSBメモリーは作成できないため、フリーソフトの「Rufus」を使うのがオススメだ。念のために注記しておくが、このソフトはESET製品ではないので注意しよう。

誰もが無料で使える起動可能なUSBメモリー作成ソフト。「ESET SysRescue Live」のユーザーガイド内でも、作成用ソフト例として挙げられているものだ。

 用意するものは、1GB以上のUSBメモリー。USBメモリーの中身はすべて消去されてしまうため、必要なファイルは先にバックアップしておくように。サイズが小さいので、使わなくなったUSBメモリーを再利用するのがオススメだ。

 Rufusの使い方はシンプルで、とても簡単。USBメモリーをPCに接続したらソフトを起動し、右上の「選択」ボタンからダウンロードした「ESET SysRescue Live」のISOファイルを選択。後はデバイスがUSBメモリーのドライブとなっていることを確認してから、スタートボタンを押すだけだ。

 ここで注意したいのが、注意表示が2種類出てくること。ひとつはSyslinuxのバージョンに関するもので、こちらは「はい」を選んでおけば問題ない。もうひとつが書き込み方式に関するもの。標準では「ISOイメージモード」が推奨されるが、こちらのモードではうまく起動できなかったため、「DDイメージモード」を選択した。この選択を間違えたからといってUSBメモリーが壊れたり、二度と書き込めなくなるといったことはないので、片方で試し、動かなかったらもう片方で試すといいだろう。

右上の「選択」ボタンから「ESET SysRescue Live」のISOファイルを指定。デバイスがUSBメモリー(ここではDドライブ)であることを確認してから、「スタート」ボタンを押すだけと簡単。

Syslinuxというブートローダーのバージョンが異なるため、ダウンロードが必要という注意表示が出る。ここでは「はい」を押そう。

書き込み形式として、「ISOイメージモード」と「DDイメージモード」が選択できる。試した限りではISOイメージモードで起動できなかったので、DDイメージモードを選ぶのが無難そうだ。

 書き込みが終わるまでの時間はUSBメモリーにもよるが、長くても数分間。意外とすぐに作成できる。

 あとはPCを再起動し、内蔵ストレージではなくUSBメモリーから起動すれば、「ESET SysRescue Live」が使えるようになる。USBメモリーからの起動方法はPCによって変わるため割愛するが、多くの場合、起動時にF12やF8キーを押して起動デバイスを選択するか、UEFIの設定から起動デバイスを変更することで起動できる。

「ESET SysRescue Live」を使ってマルウェアのスキャンを試す

 「ESET SysRescue Live」はOSにUbuntuを採用していることもあり、GUIを使った操作が可能。Windowsと同じようにマウスで操作できるので、とても分かりやすいソフトだ。

 起動時にライセンスと、「Live Grid」(早期警戒システム)、「Potentially Unwanted Applications」(望ましくない可能性のあるアプリケーション)の検出機能を使うかどうかの確認画面が表示される。とくに理由がなければどちらも「Enable」を選び、「I accept the terms in the License Agreement」ボタンをクリックしよう。

 ここまでで気づいたと思うが、「ESET SysRescue Live」は英語のソフト。といっても、操作はシンプルだし項目もわかりやすいので、使い方に迷うことはないだろう。

ライセンスと機能の有効化の確認画面が最初に表示される。どちらも「Enable」を選択し、「I accept~」ボタンをクリックすれば使えるようになる。

 マルウェアのスキャン方法は簡単で、自動で起動する「ESET SysRescue」の画面で「On-demand scan」を開き、「Smart scan」から実行するだけだ。ちなみにネットワークに接続されている場合はウイルス定義データベースのアップデートが可能なので、「Update」からウイルス定義データベースのアップデートを確認してからスキャンを開始するほうがいいだろう。なお、「ESET SysRescue Live」は有線LANだけでなくWi-Fiにも対応しているので、Wi-Fiで使いたい場合は右下のネットワークアイコンから接続設定してやろう。

ウイルス定義データベースのアップデートはネットワーク経由で可能。先にアップデートを確認しておくほうが、より新しい脅威に対応できる。

 あとはスキャン機能を使うだけなのだが、ここでテストしたPCでちょっとした問題が。どうもWindowsのファイルを保存されているパーティションをマウントできず、中のファイルにアクセスできないようだった。試しに「Computer」と書かれているアイコンをダブルクリックしてみるとわかるが、Windowsのフォルダーを開こうとしてもエラー画面となってしまうのだ。

 他のPCでも同様な問題が起こるのかはわからないが、手動でマウントすることでアクセスできるようになったので、その方法を紹介しておこう。といってもやり方はシンプル。「Accessories」にある「Root Terminal」を開き、2行ほどコマンドを実行するだけだ。ちなみに今回はスキャンのみを考え、Windowsのパーティション内のファイルを下手にいじらないよう、読み込み限定でマウントしている。

Windowsのパーティションは認識しているものの、うまくアクセスできていないようだった。

マウント先となる「/media/eset/windows」フォルダーを作成し、そこにWindowsのパーティションをマウントする、というもの。「/dev/sdb3」部分でWindowsのパーティションを指定しているが、この部分はPCによって変わる。先のエラー表示から確認できる。

無事にマウントできれば、Windowsのパーティションにアクセスできるようになる。救出したいファイルがある場合は、ここで必要なファイルをコピーしておくこともできる。

 Windowsのパーティションへとアクセスできるようになったら、あとはスキャン機能を試すだけ。「On-demand scan」を開き、「Smart scan」を実行しよう。マルウェアが発見されなければ安全だとわかる。

「Smart scan」を実行しているところ。よく見るとTargetがWindows内のファイルとなており、しっかりとスキャンしてくれていることがわかる。

 実は「ESET SysRescue Live」にはブラウザーの「Chromium」や、リモートデスクトップの「TeamViewer」など便利なソフトがいくつか搭載されている。ファイルの救出だけでなく、ちょっとしたPCとしての利用もできるだけに、OSを消してしまったPCの一時利用などに活用できるのが便利だ。