3月26日(現地時間)、フランス・パリでファーウェイは新製品発表会を開催。噂されていたカメラ強化のフラッグシップモデル「HUAWEI P30」シリーズ2機種が発表された。どちらも「HUAWEI P20」シリーズからカメラ機能を大きく強化、世界最高のカメラスマートフォンと呼べる端末に仕上がっている。
発表会ではファーウェイのコンシューマー・ビジネスグループCEO、リチャード・ユー氏が登壇し、まずはファーウェイがLeicaとコラボしたこれまでのカメラスマートフォンを紹介。「HUAWEI P9」「HUAWEI P10」「HUAWEI P20」と、スマートフォンのカメラ性能に新たなトレンドを生み出したと説明した。そして今回、「Rewrite the Rules of Photography」(カメラ体験を書き換えるスマートフォン)として、HUAWEI P30シリーズが登場した。
HUAWEI P30の特徴は大きく4つある。それは「デザイン」「写真」「動画」「パフォーマンス」で、来場者の誰もがカメラ性能を気にする中、ユー氏は最初にHUAWEI P30シリーズの特徴的なデザインから語り出した。
ため息が出るような美しいカラー仕上げ
まずHUAWEI P30シリーズはフロントカメラ周りのノッチの部分を丸く仕上げた水滴型ノッチを採用、幅はわずか6.64mmでディスプレー面で目立たない存在にしている。
またベゼルの幅はHUAWEI P30が左右3.17mm、上が3.68mm。ディスプレーの側面をカットしたデザインのHUAWEI P30 Proは左右2.2mm、上部3.36mmとさらに薄くなっている。これはiPhone XRやXS Maxと比較してもかなりの細さと言える。なおディスプレーはHUAWEI P30が6.1型、HUAWEI P30 Proが6.47型でどちらも解像度は2340×1080ドット(アスペクト比19.5:9)。
本体断面も流れるようなデザインに仕上げられ、HUAWEI P30 ProはIP68の防水にも対応。背面はナノ・オプティカルカラー仕上げのフィルムを9層重ねることで微妙な色合いを出している。この仕上げ層は紙よりもずっと薄く、光の当たり具合で色の変化を楽しむこともできるようになっている。
本体カラーはHUAWEI P30、HUAWEI P30 Proどちらも5色。中でもBreathing Crystalはソルトレイクをイメージした仕上がりで、ホワイトと薄みの青系の色をプリズムが光るようになっている。またAuroraはブルー1色仕上げを光のあて具合で表情を変える仕上げと、こちらも端末の裏面に魅せられてしまった。
来場者からの人気が高かったのは「Amber Sunrise」。赤とオレンジのミックスはまさに日の入りをイメージさせ、この色の発表の時は会場内から大きな歓声が。さらには上品なPearl White、落ち着きのあるBlackと、HUAWEI P20シリーズとは異なる色展開にため息が出るほどだった。
光学5倍、ハイブリッド10倍、最大50倍ズームの強力なカメラ
HUAWEI P30シリーズの最大の特徴であるカメラ性能はHUAWEI P20→HUAWEI P30、HUAWEI P20 Pro→HUAWEI P30 Proで大きな進化を遂げている。
まずHUAWEI P30はトリプルカメラとなり4000万画素の広角(27mm)と1600万画素のウルトラワイド(17mm)、そして3倍ズームの800万画素カメラ(80mm)の組み合わせ。この仕様はHUAWEI P20のモノクロカメラを廃止し、代わりにHUAWEI Mate 20の超広角を搭載したもの。つまりHUAWEI P30はHUAWEI P20とHUAWEI Mate 20のカメラを正統進化させたモデルと言える。
HUAWEI P30 Proはズームカメラが5倍に高まった点がやはり大きな特長。ズームレンズには800万画素(125mm)が搭載されており、ハイブリッドズームでは10倍、デジタルズームでは50倍を実現します。なおウルトラワイドはHUAWEI P30より画角の広い2000万画素/16mm、広角レンズはHUAWEI P30と同じ4000万画素/27mm。これに加えてToFカメラの搭載で、ARや強力なボケのきいた写真撮影にも対応している。
両モデルに搭載の4000万画素センサーは、業界初というRYYBセンサーという。このY=黄色のセンサーはR=赤とG=緑のセンサーを兼ねている。RYYBセンサーはRGBセンサーよりも40%の明るさを実現。さらにセンサーサイズも1/1.7型と大型。そしてISOの最大値はデジタル一眼をはるかに超える409600。もはや暗闇で撮影すると目に見えていないものまで撮影できてしまいそうだ。
発表会で最も時間をかけて説明されたのがHUAWEI P30 Proを使ったカメラの作例紹介で、iPhone XS Max、Galaxy S10+とHUAWEI P30 Proを比較した写真が何枚も説明された。次々と紹介される写真に来場者からは「本当?」「信じられない」という声が相次ぐほど。
暗いシーンでのカメラ性能の高さはHUAWEI P20シリーズのときから得意としていますが、ズームや「ズーム+暗闇」性能となるともはや他のスマートフォンのカメラは対抗できないレベルかもしれない。ユー氏が月の写真を出したときは、会場内が再び大きな歓声に包まれました。
なおフロントカメラも実は性能が強化。画素数はHUAWEI P20 Proの2400万画素からHUAWEI P30 Proでは3200万画素にアップ。AIを使ったHDR+撮影にも対応している。
暗い室内でもノイズの少ない動画が撮れる
HUAWEI P30 Proは動画機能も強化されている。ユー氏によるとYouTubeの利用時間が急激に伸びており、スマートフォンでも動画を撮影する機会が増えているとのこと。そこでHUAWEI P30 Proでは動画の「ローライト」「手振れ補正」「遠距離撮影」性能を高めている。
ローライト撮影では室内でろうそくを灯した明るさでミニパーティーを開き動画を撮影、そのままろうそくを消してもHUAWEI P30 Proは明るい動画が撮れることをデモ。手振れ補正はスノーボードで雪山を滑り降りてもぶれずに撮影ができます。また草むらに潜む鳥の様子を動画で撮影できるなど、ズーム動画撮影も強力です。
このズーム動画撮影を使うと、遠距離のタイムラプス撮影も画質が落ちないとのこと。そしてHUAWEI P30 Proで新たに加わった「Dual-View Video」を使うと、ズームとウルトラワイド2つのレンズを同時に使った動画が撮影可能。街歩きの様子を「被写体+全体の風景」のように、状況説明を動画に織り込んだコンテンツなどを簡単に作成できる。
このようにカメラ機能を強化したHUAWEI P30 Proは、カメラ評価サイトのDxOMarkで112点と、これまでの最高点のモデル、HUAWEI P20 Proなどの109を大きく超えるスコアをマーク。特に写真は119、動画も他と遜色ない97ポイントになっています。ファーウェイのカメラ性能の強化は留まるところを知らない、そう感じさせてくれる。
スマートフォンとしての性能もハイスペック
HUAWEI P30 Proは999ユーロから
スマートフォンとしての性能は、HUAWEI P30、HUAWEI P30 ProともにHUAWEI Mate 20シリーズと同じ、HUAWEI Kirin 980をチップセットに採用したことで、HUAWEI P20シリーズよりCPUが75%、GPUが46%、AI制御のNPUが226%も向上している。またOSはAndroid 9.0に独自機能を強化したEMUI 9.0を採用。
EMUI 9.0では画面の下や左右からのスワイプで「戻る」などの操作が行える「Gesture Navigation」を採用。ToFカメラを使った3D画像取り込みにも対応する。またARを使ったメジャー機能も搭載。箱や人にカメラを向け、3辺の長さや身長を手軽に測定できる。
そのほかにもファーウェイのPCと簡単にデータを転送できる「OneHop」、フィットネスマシンにHUAWEI P30シリーズを置くと振動を計測して運動データを記録する機能なども搭載されている。さらにはアウディと提携し、HUAWEI P30シリーズを車の電子キーとして使うデモも紹介された。
ハードウェアの進化はHUAWEI P30 Proが4200mAhの大容量バッテリーを搭載し、他のスマートフォンなどを無線充電できる「ワイヤレスリバースチャージ」機能をHUAWEI Mate 20 Xに続き搭載。なおSIMスロットはデュアル4G/VoLTE対応でメモリーカードはnanoSIMカードと同じサイズのNMカードを採用している。
このほかにはスワロフスキーと提携したデザインケースなど、純正ケースもHUAWEI P20シリーズより種類が増えている。
さて気になる価格だが、HUAWEI P30がメモリ6GB+ストレージ128GBの組み合わせで799ユーロ(約9万4000円)、HUAWEI P30 Proはメモリ8GBでストレージ128GB版が999ユーロ(約12万4000円)、256GB版が1099ユーロ(約13万7000円)、512GB版が1249ユーロ(約15万5000円)。
発売は発表会と同日で、パリの街中のキャリアショップや家電量販店ではさっそく販売が始まっていた。発表会では具体的な投入国の話はなく、日本市場に関しては現時点ではアナウンスはなし。究極のカメラフォンの日本投入を期待して待ちたい。