移動が必要なLANパーティーなどへと持ち出せるほか、スリムなスタイルから置き場所を選ばないのが魅力の「G-Master Arcus Z370 BYOC Edition」(関連記事)。コンパクトながらもハイスペックなゲーミング構成も可能なBTOパソコンだが、その小ささゆえにしっかりと冷却できるのか、熱は大丈夫なのかが気にかかる。
そこで今回は、CPUにCore i7-8700K(3.7GHz)、GPUにGeForce GTX 1080を採用した構成を使い、どのくらいの性能があるのかをベンチマークソフトを中心にチェックしてみた。
試用機の主なスペック | |
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機種名 | G-Master Arcus Z370 BYOC Edition |
CPU | Core i7-8700K(3.7GHz) |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 521GB SSD(Plextor PX-512M9PeG)、500GB SSD |
サイズ | およそ幅233×奥行520×高さ451mm |
OS | Window 10 Home(64bit) |
小さくても実力は本物!
タワー型と比べても見劣りしない高い性能を叩き出す
まずはCPUの性能を測るため「CINEBENCH R15」を試してみた。CGレンダリング速度からCPUの性能を測るベンチマークソフトで、マルチスレッド処理を得意とする。コア数の多いCPUの最大性能を見る場合に便利なソフトだ。スコアは独自のcbという単位で表示され、数値が高いほど高性能となる。
結果はCPUが1392cbで、CPU(Single Core)が205cb。水冷クーラーを採用したタワー型PCで1420cb前後となるため、わずかに低くなっている。さすがにスリムパソコンだけあってターボブーストなどが効きづらくなっているのだろう。とはいえ熱で速度が低下しているというレベルではなく、十分な性能が発揮できている。
グラフィック性能は、定番の「3DMark」でチェック。「Fire Strike」のスコアを測ったところ18618となり、こちらもCore i7-8700KとGeForce GTX 1080の組み合わせとしてはおかしな点はなく、順当な結果といえる。
もう少し実ゲームよりの性能ということで、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を試してみよう。ゲームで使われているマップとキャラクターを使ったベンチマークソフトで、結果はスコアとして表示される。スコアが7000以上で「非常に快適」、5000以上で「とても快適」となる。コマ落ちを気にせず遊びたいのであれば、非常に快適となる環境にしておきたい。
軽めな3Dゲームベンチなので、フルHD(1920×1080ドット)、最高品質、フルスクリーンという条件でテストしたが、スコアは17889と非常に高く、当然評価も「非常に快適」。3DMarkと同じく、Core i7-8700KとGeForce GTX 1080の組み合わせとしては期待通りのスコアだ。
重ためのベンチマークソフトとして「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を試してみよう。FF14ベンチと同じくこちらも結果はスコアと評価の2つで表示してくれるが、12000以上で「非常に快適」、9000以上で「とても快適」といったように、スコアの評価基準が少し異なる。
重ためのテストなので、解像度はフルHD、表示はフルスクリーンというのはFF14と同じだが、画質設定に関しては「標準品質」と「高品質」の2つで試してみた。
結果は、標準品質では10330あったスコアが、高品質では7312と激減。FF15ベンチが重たいテストだというのがよくわかる。とはいえ評価は「快適」以上となっているため、ゲームをプレイできるだけの性能はあるといえるだろう。もちろん、スペック相応の期待通りのスコアだ。
高負荷なベンチマークソフトを動かせばファンの回転数が上がり、騒音は大きくなるものの、負荷が止まればすぐにファンの回転数も落ち、静かになる。スコアにも怪しい点はないため、十分な冷却性能があるといって間違いないだろう。
スコアは順当とはいえCPUとGPUの温度がやっぱり気になる
性能面ではスペック通りの期待値はクリアしているとはいえ、CPUとGPUの温度がどこまで上がるのかは気になるところ。そこでFF15ベンチ(標準品質)中のCPUとGPUの温度、そしてファン回転数を「WHiNFO」を使って調べたので、グラフ化してみよう。
まずはCPUから。負荷が一定ではないので、温度も回転数も大きく変化。温度が高くなるとファンの回転数も大きく上昇し、しっかりと追従しているのがわかる。当然温度が下がればファンの回転数も下がるので、CPUファンの冷却性能としてはまだ余裕があるとみていいだろう。CPUの温度は最大で87度を記録したが、それも一瞬だけ。ほとんどのシーンは75度前後で安定していた。
続いてGPU。ゲームベンチのため常時GPUへ高い負荷がかかっており、CPUとは違って滑らかなグラフとなっている。最大温度は瞬間的には83度、ほとんどのシーンで82度という高い温度で張り付いていた。やや心配になる温度の高さだが、GPUの動作クロックを見てみると、序盤の1860MHzをピークに徐々に下がり始め、中盤以降は1733MHz前後で安定動作していた。
GeForce GTX 1080の仕様をみてみると、ベースクロックは1607MHzでブーストクロックが1733MHz。つまり、ほぼすべてのシーンでブーストクロック以上の速度で動作しており、十分冷却されているのがわかる。
コンパクトでもしっかりとした冷却でゲームでも性能をフルに発揮
高負荷が続くとCPUとグラボのどちらのファンも2000回転を超えるため騒音は大きくなるが、これだけスリムでコンパクトながら、Core i7-8700KとGeForce GTX 1080の性能をフルに引き出せるというのは素直に驚く。
LANパーティーなどへ持っていける高性能なコンパクトパソコンがほしい、机の上でもジャマにならない置き場所に困らないゲーミングパソコンがほしいと考えているのであれば、G-Master Arcus Z370 BYOC Editionは検討する価値がある1台といえる。