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豊富なカスタマイズも魅力、SSDは「Plextor PX-512M9PeG」も選択可能!

あれ、ビデオカードの向きが……。 幅87mmでも高性能なスリムPCの工夫

2018年05月11日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Arcus Z370 BYOC Edition」

 ゲームを高画質で遊びたいのであれば、性能の高いゲーミングパソコンが必要となるが、高速なCPUやGPUはそのぶん発熱も大きくなる。そのため、多くのゲーミングマシンはサイズの大きいタワー型ケースを採用しているのが現状だ。静音性、安定性、性能のバランスを考えればこのサイズのケースがベストなのは確かだが、静音性よりもサイズを重視し、よりコンパクトなゲーミングパソコンがほしいという人もいるだろう。

 まず考えられるのが、置き場所の問題だ。大きなパソコンがいいといわれても机の上に置くには限界があるし、足元に置くにせよかなりの設置スペースが必要だ。少しでも小さければ置き場所の制約を受けにくくなるだけに、そういう意味で純粋に小さなマシンがほしいという人も多い。

 また、参加者各自がゲームを持ち込んで楽しむ“LANパーティー”でPCゲームをプレーしたいのであれば、パソコン本体を持ち込む必要がある。こういったときにタワー型は移動が大変だが、小型であれば旅行カバンに詰め込んで持っていけるという利点がある。

 このような小型ゲーミングパソコンへの要望に応えてくれるのが、サイコムが販売するおよそ幅87㎜、奥行き370mm、高さ380mmというコンパクトボディーの「G-Master Arcus Z370 BYOC Edition」だ。

 まずは単純にゲーミングPCとしてみた場合のスペックをチェックしてみよう。試用機は、CPUにCore i7-8700K、GPUにGeForce GTX 1080、メモリーは16GB搭載するという、かなりハイスペックな構成となっていた。これだけのパーツをどうケース内に収めているのか気になったため、さっそくケースを開けてみた。

 G-Master Arcus Z370 BYOC Editionのマザーボードはmini-ITXの「ASRock Z370M-ITX/ac」。第8世代Coreに対応したチップセットZ370を採用した製品で、2つのメモリースロットとPCIe×16スロットを1本装備している。オンボード機能が豊富で、2つのギガビットLAN、11ac対応の無線LAN、7.1ch対応のオーディオ出力などを持つ。このマザーボードに薄型CPUクーラーの「CRYORIG C7 V2」を組み合わせ、高速なCPUをしっかりと冷却している。

マザーボードが小さいため、ひときわ大きく見えるCPUクーラー。高速CPUを冷やすのに十分な性能がある

 G-Master Arcus Z370 BYOC Editionのケース内で驚いたのが、ドライブベイが意外に多い点。2.5インチベイを2つ装備するほか、スリム型の光学ドライブも装備可能。さらに裏側には3.5インチHDDまで装着できるというのが驚きだ。ただし、今回の構成のように大型GPUを使う場合は裏側のベイは使用できない。

2.5インチドライブ×2に、薄型光学ドライブを装着可能。マザーボード上のM.2スロットを使えば、さらにもうひとつSSDを追加できる

 このケースのもうひとつすぐれている点は、熱源となるCPUとGPUとをケース内で物理的に分離している点。さらに、どちらのパーツもケース外の冷たい空気を直に吸気できるよう、吸気口近くに配置されているというのも見逃せないポイントだ。これにより、狭くて熱がこもりやすい小型ケースながらも、十分な冷却性能を実現している。

 なおビデオカードはライザーボードを使って90度回転し、垂直になるよう工夫されている。こういった工夫により、幅87mmという薄さでもGeForce GTX 1080のような大型のビデオカードを搭載できるようにしている。

ライザーボードによってビデオカードが90度回転され、クーラーのファンがケースの外側へ向くよう工夫されている

ケースの側面は透明な吸気口があり、ここから冷たい外気を取り入れられるようになっている。GPUだけでなく、CPU側も同じように吸気口が作られている

 吸気口のあるサイドパネルだけでなく、前面と背面もチェックしておこう。前面にはインターフェースがないように見えるが、中央のカバーが下がり、中にはUSB 3.0端子×2と音声入出力を搭載している。ゲーミングマシンなので、ゲームコントローラーやヘッドセットを素早く着脱できる位置にインターフェースがあるのは便利だ。

普段はカバーで隠されているが、実はアクセスしやすい場所にUSBと音声入出力が隠されている

 G-Master Arcus Z370 BYOC Editionの背面のインターフェースはごく普通で、下部にはマザーボードのリアパネル、上部にはGPUのインターフェースが並ぶ。ビデオカードがライザーボードで90度回転されているため、すべてのインターフェースが並んでみえるというのが斬新だ。

マザーボードとGPUのインターフェースが並ぶ背面。無線LANを装備しているので、アンテナ用のコネクターもある

選べるパーツではM.2 SSDに注目
Intelの760pはもちろん、Plextorの最新SSDも選択できる!

 標準ではCrucialのSATA接続SSD、「MX500」(500GB)が搭載されているが、BTOパソコンというだけあってカスタマイズが可能。より高速なNVMe対応のM.2 SSDも選択できる。速度の速さとコスパの高さで人気のIntel 760pがしっかりとリストにあり、性能を重視するならこちらを選ぶといい……と思ったのだが、よくよくBTOメニューをみてみると、今年の3月に登場したばかりのPlextor「M9Pe(G)」があるのに気づいた。

サイコムのウェブ通販サイトはもとからBTOメニューは豊富だが、最新パーツへの追加も早い。SSDをみてみたら、「Plextor PX-512M9PeG」を発見

 公称速度では最大でリード3200MB/秒、ライト2100MB/秒となっているので、若干届いていないものの、ほぼ公称通りの数値が出ているのがわかる。Intal 760pも十分速いのだが、公称速度でリード3230MB/秒、ライト1625MB/秒。リードはほぼ同じだが、ライト性能ではM9Pe(G)の方が大きく上回っている。もう一度BTOメニューをみてみると、このM9Pe(G)と760pの価格は同じ。さらにヒートシンクを標準装備している点も考慮すると、M9Pe(G)のほうがお買い得感が高い。

CPUと2.5インチのSATA接続SSDの間に、こっそりと装備されていたM9Pe(G)。あるのなら実力が知りたいと思うのは当然の流れだ

シーケンシャルに注目してみると、リードが約3178MB/秒、ライトが約2037MB/秒というかなり高速な結果となった

 G-Master Arcus Z370 BYOC Editionは薄型でコンパクトなゲーミングパソコンという数少ない選択肢であるだけでなく、気になる最新パーツもいち早くBTOメニューに追加されているというのが魅力。購入時にはBTOメニューをしっかりチェックし、好みにカスタマイズすることを忘れないようにしたい。

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