このページの本文へ

子どものスマホ「フィルタリングやりっぱなし」67.5%の落とし穴

2018年04月20日 09時00分更新

文● せきゅラボ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 新生活シーズンになり、新しい会社、新しい学校に行くようになった人も多いだろう。この春から、家族が“初めてのスマホ”を持つというケースもあるはず。たとえば、ちょっと離れた学校に通い始める子どもに、あたらしくスマートフォンを持たせることになった、というように。

 使い方に慣れていない家族に端末を持たせるにあたり、セキュリティ面に気をつけようということはよく言われるはずだ。「うちはフィルタリングをしっかりしているから大丈夫」と思う人もいるかもしれないが、ここに、意外な落とし穴がある。

 マカフィーとMMD研究所との共同調査「親と中学生に聞く初めてのスマートフォン利用の実態調査」によると、保護者にフィルタリングサービスの利用の有無を聞いたところ、利用率は48.5%と半数以下だった。ここで、フィルタリングをしっかり設定しよう……と話を終わらせてはいけない。

 フィルタリングサービスもしくは機能制限を設定していると回答した保護者に、その管理方法を聞いたところ、「最初に設定を行ったきり特になにもしていない」という回答が67.5%で、過半数を超えている。つまり、一度設定したから……と、そのまま安心してしまう親が多いと考えられるのだ。

 また、スマートフォン(iPhone)の利用者本人である中学生に、どんな機能制限が設定されているか聞くと、「設定している」「たぶん設定している」という認識の回答は合わせて35.2%。ただ、制限されている内容に関して親と話し合っているかについて聞いたところ、「親と話したことはなく、制限内容を知らない」が41.1%となる。

 いまの時代、ネットやアプリの流行の移り変わりはめまぐるしいものだ。時流によって、スマートフォンにまつわるトラブルや、サイバー攻撃の内容は大きく変わる。もちろん、一切利用するなというのはナンセンスな話。「設定したらおしまい」ではなく、家族でセキュリティについて話し合う機会をもち、使い方についてコミュニケーションを積極的に取ったほうがよいだろう。

 これは子どもを持つ過程だけの話ではない。老若男女を問わず、スマートフォンを狙うマルウェアは増えている。折しも、McAfeeの「2018年度版モバイル脅威レポート」では、昨今、モバイルデバイスが標的にされやすくなっていることが警告されている。

 新生活にともなって、もう一度、モバイル端末の安全を見直したほうがよいだろう。家族が新しくスマホを持った人も、そうでない人も、セキュリティへの意識を高めるためにMcAfee Blog「進学シーズン、“初めてのスマホ”をより楽しく使うために」を読んでほしい。

進学シーズン、“初めてのスマホ”をより楽しく使うために

 いよいよ新生活シーズンとなりました。進学や就職など新たなステージに進まれる皆さまに、お祝い申し上げます。

 さて、この時期に合わせてスマートフォンを使い始めるお子さまが多いのではないでしょうか。“初めてのスマホ”を持たせる保護者にとっては、我が子の成長を感じると同時に、不安も大きいものです。昨年実施した意識調査でも、セキュリティ管理に不安を持っている親が多い一方で、対策がうまくとれていない傾向が浮き彫りとなりました

 ここではMMD研究所との共同調査「親と中学生に聞く初めてのスマートフォン利用の実態調査」を中心に、子どもたちの安全なスマートフォン利用について考えてみます。

フィルタリングをやりっぱなしが意外と多い

 この調査はスマートフォンを持つ中学生の親845人とスマートフォンを持つ中学生323人を対象に2016年に行ったもので、中学生のスマートフォン利用の実態が親子相方の視点から分かります。例えば中学生のスマートフォン利用率は40.9%ですが、保護者が持たせた理由は「塾や習い事に行き始めたから」、子どもは「LINEがしたかった」と考えていました。

 では、安全を守る手段として提供されている、フィルタリングサービスはどうでしょうか。保護者に利用の有無を聞くと、利用率は48.5%と半数以下でした。さらに設定したか分からないという回答も16.6%あったのです。

 フィルタリングサービスもしくは機能制限を設定していると回答した保護者に、その管理方法を聞いたところ「最初に設定を行ったきり特になにもしていない」が67.5%。一度設定したからと安心してしまう親が多いといえそうです。しかし、子どもたちは心身の成長が早く、時代とともにネットやアプリの流行も変わります。個々の成長に合わせて使える機能を増やしたりと、こまめに管理していくことをおすすめします。

子どものスマホの設定内容は?

 一方でスマートフォン(iPhone)の利用者本人である中学生に、自分のスマートフォンにどんな機能制限が設定されているか聞くと、「設定している」「たぶん設定している」という認識の回答は合わせて35.2%にとどまりました。子どもは親まかせ、親は設定したきりで安心している…そんな状況がうかがえます。

 この35.2%を対象に、制限されている内容に関して親と話し合っているかについて聞いたところ、「親と話したことはなく、制限内容を知らない」が最も多く41.1%となりました。その次に多かったのが「親と話したことがないが、制限内容を知っている」が26.6%で、制限内容に関しては家族とあまり話し合っていないようです。確かに日本の家庭では、幼少期こそ「危険な場所に入ってはダメ」と教えますが、中学生以降に身近な危険についてコミュニケーションを取ることは少ないかもしれません。

親子のコミュニケーションで安心の“スマホデビュー”

  調査結果を見る限りでは、子どもにスマートフォンを持たせるにあたり、親も子どももセキュリティ意識をもうすこし強く持つ必要がありそうです。まずはフィルタリングや機能制限の内容をチェックし、有効に利用できるように考えてみてください。

 これは、ただ「機能を利用する」というだけではありません。「こういうリスクがあるからこの設定をする」「こんな理由があるから、ここの機能制限を解除してほしい」など、身の回りのリスクについて親子で話し合うコミュニケーションの機会にもなります。思春期の子どもたちに自分の責任を自覚させたり、自己管理をうながしたりと教育的にも意味があるのではないでしょうか。

 家族のルールづくりと、適切なフィルタリング、機能制限を組み合わせて、安心できる“スマホデビュー”と健やかな成長を目指していきましょう。マカフィーは今後もインターネットとユーザーの皆様の安心を守るため、率先してマルチデバイス保護やモバイルのセキュリティなどの対応を進めていきます。


著者:マカフィー株式会社 CMSB事業本部 コンシューママーケティング本部 執行役員 本部長 青木 大知


■関連サイト

カテゴリートップへ