フェンダーとしては初めてのBluetoothイヤフォン「PURESONIC WIRELESS EARBUDS」が発売となった。フェンダーらしいデザインの良さと丈夫な作りを兼ね備えた製品だ。価格も意外とお手頃で、実売1万円以下の機種となっている。
細部までこだわったデザインに感銘
まず感じたのは「かっこいい」ということ。特に丸っこくてコンパクトな付属ケースに入れた感じがとてもいい。普通なら野暮ったく感じるはずのケーブルも、細身だが丈夫なケブラー素材を使い、赤と黒の2色で編み込んでいて引き締まった印象。とてもファッショナブルに見える。強い印象を与えるイヤフォン部のメタリックブルーとメタリックレッドとも調和。ここも色で左右を区別しやすくしており、使う人をイライラさせない。細かな配慮が感じられる。
付属ケースは、ファスナーの部分がギターピックをイメージとしたものとなっており、ちょっとかわいい。中身を取り出してみると、リモコン部には黒地に赤でFenderの文字。またUSBケーブルの端子部分にさりげなくFenderのロゴが入っていたりもする。とにかく仕上げが凝っていて、イヤフォンというより、ミュージカルインスツルメンツとしての主張があるような気がする。
ロックな人がこういうアイテムを持ってたらしびれる気がするし、それほどでもない場合でもさりげなく身に着けていたらセンスの良さを感じそうだ(あくまでも個人の意見だけど)。
絡みにくいケーブル、そして着け外ししやすいイヤピース
そんなPURESONIC WIRELESSには原型となったイヤフォンがある。Aurisonicsというブランドが3~4年前に発表した「ROCKETS」という製品だ。トリプルフランジと呼ばれる固定機構を持ち、見た目はそっくり。ただしチタン製の筐体がアルミ製になり、堅牢性や防水性能(IP65からIPX4の防滴に)についても少し緩い作りになっているとのこと。一方で価格は抑えており、Bluetoothであるのに実売1万円以下となかなかお手頃な価格になっている。
イヤーチップはROCKETSの特徴だった、サーマル・プラスティック・エラストマー素材の「Sure seal」チップを標準にしつつ、低反発の「フォームタイプ」も同梱。前者は裂けにくく、熱による形状変化が少ない点が特徴で、密閉性の高さに貢献する。遮音性はもちろんだが、密着性も高く、かゆくなるといった不快感も感じにくいもの。
Aurisonicsは音楽都市Nashvilleに拠点を構えるイヤモニの会社だったが、2016年にフェンダーが買収した。PURESONICは、Aurisonicsの創業者であるDale Lott氏が手掛けているため、ROCKETSとの共通性が多いのだ。
実は筆者もROCKETSの愛用者。絡みにくく丈夫なケーブル、そして着け外しが簡単な小型の本体などが気に入ってよく持ち運んでいた。PURESONIC WIRELESSもそうした使い勝手の良さを踏襲している。
音調はウォーム、ロックサウンドと相性がいいかも
内蔵するドライバーは直径6㎜と口径が小さめのダイナミック型ドライバーだ。Bluetooth接続となるため、20Hz~20kHzの再生だが、aptXにも対応しており、十分な性能と言える。リモコンは3ボタンタイプでマイクも内蔵。左右が音量調節で、真ん中のボタンを押すことで着信を受けたり、2回連打で曲のスキップ、長押しでSiriの起動もできる。電源ボタンを長押しすると、ペアリング可能になる。LEDはホワイト。電池が少なくなると赤と白の点滅に代わる。本体のカラーリングに合った色が選択されている。
音調は割合ウォームな傾向で、上の帯域も下の帯域もそんなに欲張っていない印象だ。強調などはなく、中音域を中心に素朴かつニュートラルに音を鳴らしている印象だ。音の情報量や解像感で勝負する感じではないが、熱気あるサウンドでロックを楽しみたいといった層には、なかなか相性が良さそうだ。耳にすっぽりと入り、フィット感や外れにくさという点でも上々。遮音性も十分だ。
デザイン性に加えて、使いやすさや、ラフな使用に耐えうるつくりなど魅力は多い。モバイルユースを中心に、どこでも音楽を楽しめるよう、常にカバンに忍ばせて持ち運んでみてはどうだろう?