カスタムやハイブリッド型の開発にも意欲
発表会でDale Lott氏はIEM型の2機種は「強いベース、中高域。キャラクターが一致しており、オーディオならではのチューニングを加えた」とコメント。既存のモデルのサウンドから大きく外れることはないものの、フラットと言いつつも開発者の味付けがあるし、ウォームなキャラクターを持ったものだと説明した。
Aurisonic時代からの特徴として、イヤーピースに関しても独自に開発している。チップ自体はエラストマーを使ったもので、プライアブル(耳の中で膨らみ、優しい)。形状と。耐久性にノウハウを盛り込んでいる。今後はフェンダーブランドでの単体販売も考えており、発表会の進行役を務めた野村ケンジ氏も「ノズルが短いイヤフォンと相性がいいイヤーチップだと思う」と、コメントしていた。
なおハイブリッド型イヤフォンを作るための特許も取得しており、Bluetoothでも今後の展開が期待されるが、これについてDale Lott氏は「やる。それ以上は言えない」と語った。また、単に組み立てるだけでなく「本当にMADE IN USAなのか?」という質問には、「最近の規定で90%以上の部材をアメリカ国内で調達しないとダメとなった。組み立てだけでなく、パーツも国内手配しており、フェンダーが使用する3Dプリンターは機器を作っているベンダーと直接話をして、長い月日をかけてカスタマイズしたものを使っている」とした。「出来上がりが全く違う。ここを強調したい」と話す。
ドライバーに関してはノウハウもあり、詳細は語ってもらえなかったが「シルクベースメッシュを使って、ドライバーを覆っている。ここがマジックになっている」とのこと。9.25㎜のドライバーは他社に製造委託するため、納期が遅くなるが、なるべく早く市場投入できるよう努力を続けたいとした。
「もともと手持ちのドライバーがあったので、Bluetoothに使ってみた。つくりとしてはFXAシリーズでやってきたことと同じだ。フェンダーはギターのメーカーだが、確立した技術を使いつつも、年を追うごとにデザインや設計が改善していく。それをよりよくしたのがPURESONICのサウンドだ」(Lott氏)
なおブランドの命名に関しては、「フェンダーは大きな企業なので、全世界で通用する名称を付ける必要があった。30~40程度の名前から選んだが、法務チェックなども必要で実に6ヵ月の期間を要した」とのこと。ピュアリティのあるサウンド目指すというフェンダーの意図がこもったいい名前で気に入っているという。
またカスタムデザインに関しても意欲を見せ、「フェンダーのギター資産を生かしつつ、フェンダー特有のカラーを取り入れるなどしたい。カラーリングも考えていきたい」とコメントした。
ROCKETSは丈夫で小型で、音もいい使い勝手に優れた機種だった。筆者も愛用していたため、PURESONICSという新しいブランドという形で、そのコンセプトが復活したことはうれしい。開発が進んだがお蔵入りしてしまったという、完全ワイヤレス型のROCKETSを継承するような製品もぜひ期待したいところだ。