プログラマティック広告の高度化に伴い、最近また進化が進み、期待が高まっているアドテク分野の1つとして「位置情報連動型広告」があります。外出先でスマホで調べものをしていたら、閲覧サイト上に近所のお店やイベントの広告が現れたり、いつもの通勤経路にあるフィットネスクラブの広告が出てきたり等々。まさに自分に合わせて広告が配信されているようで、驚かれた方もいるのではないでしょうか?
このようなスマホの位置情報データを活用している「位置情報連動型広告」。実は世のスマホシフトが進み始めた2012年くらいに既に注目を浴びたことのあるこの分野が、最近また急に脚光を浴び始めているんですね。
今回はそんな位置情報連動型広告について、おさらいと裏側を簡単にご説明したいと思います。
位置情報ターゲティング方法は大きく分けて2種類
広告による位置情報活用ターゲティングは大きく分けて2種類です。
- リアルタイム方式
「現在いる地点」に対してリアルタイムに広告配信する方法
長所:今そこにいる人に対して広告配信するため、店舗集客等に適している
ex) モバイルチラシ等
短所:ターゲット外のユーザーにも配信してしまう上、ボリュームも出にくい - プロファイル方式(フットプリント方式)
「過去いた地点」をもとにしてユーザー像を描き出し、ターゲティング配信する方法
長所:過去の地点情報を線で繋げることで、実際の行動をもとにした様々なユーザー像を描くことができるため、潜在ニーズにマッチした広告を配信しやすく、ボリュームも出しやすい
ex) ペルソナターゲティング
短所:ユーザー像×タイミングにマッチした広告配信をする必要があるため、クリエイティブのシナリオデザインが重要になり、運用工数が膨大となる
近年発展が目覚ましく、主流になってきているのは、2のプロファイル方式の方です。
「モバイル時代の新しいリスティング広告」とも言われており、ネット上の行動だけではなく、実際の行動をもとにしたデータを活用していることから、潜在ニーズの高いユーザーに対し、的確なタイミングでにマッチした訴求メッセージを送ることができる手法として最近大変注目され、ブランド広告主からの期待が高まってきています。
位置情報連動型広告が使用しているデータの種類とは
ブランド広告主からも期待を寄せられている位置情報連動型広告ですが、具体的にはどんなデータが使用されているのか、知らない人も多いのではないでしょうか?
位置情報データとは、主に下記の5種類のデータを指します。
- ビーコン
Bluetoothで検知したユーザーのみ。
特徴:範囲10メートル程度と非常に高精度。
短所:Bluetoothオンにしているユーザーのみのためデータ量自体がとても少ない。 - GPS
GPS情報の範囲で計測。
特徴:範囲30~50メートル程度の精度
短所:ユーザー自身がGPS情報活用を許可しているアプリを使用している必要がある。 - Wi-Fi
Wi-Fiスポットとの通信で計測
特徴:通信が確立していなくても検知で補足可能。最近は精度が高くGPS並。
短所:Wi-fiがオンになっている必要がある。 - 基地局情報
各基地局から位置情報を取得
特徴:通信が確立していなくても電波のみで補足可能。ボリュームは非常に大きい。
短所:おおむね300メートル以上の誤差が発生する。 - IPアドレス
IPアドレスの大まかな住所で計測
特徴:ボリュームは非常に大きい。
短所:市区町村レベルと非常に精度が低い。
続いて、位置情報と掛け合わせてターゲティング精度を高めていくユーザーデータです。主に以下のようなデータが使用されています。
- ユーザーID
広告ID、広告識別子:AppleのIDFA、GoogleのAAID、通信キャリアの広告用データ等、端末OSやキャリアが提供しているアプリやコンテンツで利用される、広告利用のための端末識別ID。 - 推測用元データ
緯度・経度:GPSで取得している緯度、経度データ
時刻:地点にいた時の時刻
利用アプリ
閲覧サイト:料理アプリ、ファッション系アプリ、利用頻度等、アプリ、閲覧サイトの傾向データ
検索ワード:検索しているキーワード
上記のデータをもとに、各広告事業社がプロファイルロジックを組んだり独自収集した店舗情報やロケーション情報と掛け合わせたりして、様々な独自行動ターゲティングの手法を構築しています。
位置情報連動型広告配信の裏方で貢献するアドテク
上記に紹介した様々なデータを使用し、ついに位置情報連動型広告が配信されます。位置情報連動型広告がどのように配信されているのかを図解しました。
DMPでデータをセグメント化し、DSPで入札ロジックを組んで各メディアに広告配信をしています。この部分で、プログラマティックなアドテクの進化が貢献しているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
プログラマティック分野の進化に伴い、ただ位置情報を使用するだけではなく、ユーザー推測や配信場所、タイミング等、さまざまなことがコントロールできるようになってきています。
精度の高いデータのボリュームや、ユーザーにマッチさせたクリエイティブ運用等、まだまだ課題は多く進化の過程ではありますが、2020年の実用化に向けて開発が進む5G環境の整備によって、活用可能なデータが増えていくことも期待されています。位置情報連動型広告は、今後大変楽しみな分野と言えるのではないでしょうか。
(記事提供:D2Cスマイル)