プロゲーミングチーム「DeToNator」を交えたPCトーク
プロゲーマーの本音炸裂! サイコムとASUSのタッグで新たなゲーミングPCが登場
2018年02月25日 17時00分更新
2009年から活動を開始し、日本国内はもちろん、世界大会や海外リーグへ参加するといった積極的な活動を続けるプロゲーミングチーム「DeToNator」(デトネーター)。ゲーム配信を行なうストリーマー部門にも力を入れており、イベントや配信でその実力を目にした人も少なくないだろう。
今回、DeToNator代表の江尻勝氏、YamatoN氏、siorin氏の3名に、BTOパソコンメーカーサイコムの山田正太郎氏、ASUSの佐藤明氏を加え、ゲーミングPCで気になるポイント、実際に使っていて感じたことなどを聞くことができた。
そもそもスポンサーになろうと思ったのは、どういった経緯?
サイコムがDeToNatorのスポンサーになってから3年目。プレイ用のPC提供はもちろんだが、その間、ゲームファンとの交流イベント開催やコラボモデルの発売を行なうなど、積極的なコラボ活動が続いている。ASUSがスポンサーとなったのは今年からだが、実は3年ほど前からDeToNatorの江尻氏とは交流があったという。
「ラジオ会館で行なわれたサイコム主宰の第1回DeToNatorファンイベントの際、ASUSの佐藤さんが応援に来てくれて、その時に挨拶したのが最初じゃないでしょうか」(サイコム山田氏)
いまでこそ日本でも「eスポーツ」という名前が多少なりとも浸透してきているが、3年前では「eスポーツ」や「プロゲーマー」と言われても、わかる人が少なかった頃。ASUSとしてはその頃からパートナーとなるプロゲーマーチームを探していたが、仕事として、将来のビジョンを持ちながら活動しているチームがなかなか見つからなかったそうだ。
「ASUSのゲーミングブランド“ROG”を一緒に盛り上げてていけるチーム、そして日本だけでなく海外でも活躍できるチームと一緒にやりたいなという気持ちがあって、それを探すのに時間がかかっていました」(ASUS佐藤氏)
もちろん、単純にスポンサーになっておしまいというだけでは意味がない。ASUS佐藤氏が言うように、メーカーやブランドを一緒に盛り上げられるパートナーとなれなければ、お互い関係を続けるのが難しくなってしまう。そういった意味で、高いプロ意識をもって活動をしているDeToNatorは、まさに待ち望んだチームといえるだろう。
サイコムとASUSによる新コラボモデル「G-Master Spear Z370AS-DTN」はどうやって生まれた?
新しくASUSがスポンサーとなったことから、今回サイコムから登場したDeToNatorコラボモデルはマザーボードに「ROG STRIX Z370-F GAMING」、グラフィックボードに「CERBERUS-GTX1070TI-A8G」を採用したモデルとなっている。
標準構成の主なスペック | |
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CPU | Intel Core i7-8700K(3.7GHz、6コア) |
CPUクーラー | Cooler Master「Hyper 212EVO」(空冷) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX Z370F GAMING」(Z370) |
メモリー | 8GB DDR4-2400(4GB×2) |
SSD | Crucial「CT500MX500SSD1」(500GB) |
グラフィックス | GeForce GTX1070Ti 8GB(ASUS「CERBERUS-GTX1070TI-A8G」) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST75F-GS V2」(750W、80PLUS GOLD) |
OS | Windows10 Home (64bit) DSP版 |
価格 | 24万7420円(税込) |
ところで、こういったコラボモデルの構成は誰が決めているのだろうか。
「ほかのモデルと同じよう、基本的には私が決めていますね。ハイエンドやミドルクラスといったようにどんな性能にするのかを決めた後、CPUなどのパーツ構成を考えます。それからDeToNatorさんと協力して細部を詰めてフィードバックをもらったり、ASUSさんからパーツ提案をしてもらったりといった流れでしょうか。もちろん、ほかにいい製品やアイディアがあればどんどん取り入れていきます」(サイコム山田氏)
「今回のモデルで言うとグラフィックボードが「CERBERUS」なんですが、ゲーミングPCということもあって、BTOオプションで3連ファンの「STRIX」を選べるようにしてもらいました」(ASUS佐藤氏)
マザーボードやグラフィックボードといった基幹パーツを多数揃えているASUSだけに選択肢が広く、また提案力の高さもある。それだけに、万人受けする手堅い構成はもちろん、ゲーミングPCならではのパーツ構成もできるというのが強みといえるだろう。とはいえ、すべてのパーツをBTOオプションに入れるのは不可能だ。ハズレのない人気パーツ、旬のパーツ、推しのパーツなど、自作PCファンが見ても納得できる厳選したパーツが選べるようになっているのが、サイコム山田氏の腕の見せ所といったところだ。
意外と気になるサウンド問題
プロゲーマーから見たサウンドに対するこだわりとは?
「ずいぶんと前の話ですが……」と断りを入れながらも話してくれたのが、YamatoN氏だ。
「マザーボードのオンボードサウンド機能では、ゲーム中でも気になるくらいのノイズがのってしまうという問題がありました。最初は“こんなものだろう”と思っていたのですが、サウンドカードを挿してみるとピタリと止まるんです。こういったものはスペックには載っていませんし、使ってないとわからないだけに困りますよね」(YamatoN氏)
この意見には、PC使用歴が長い人ほどうなづけるだろう。実際、ノートPCも含め古いPCではサウンド機能は“おまけ”と揶揄されるほどひどい頃があり、PCの負荷が高くなるとプチプチいいだす、マウスを動かすとジリジリという音がするなど、ノイズに悩まされた経験がある人は少なくない。
「今時のマザーボードですとサウンド周りの設計も気を付けているので、かなりノイズが少なくなっているハズです。今回のDeToNatorモデルに搭載されている「ROG STRIX Z370-F GAMING」にはSupremeFXオーディオテクノロジーによる高音質サウンドが実現されていますので、オンボード機能とは思えない音質で楽しめると思いますよ」(ASUS佐藤氏)
自身でもPCを自作するというsiorin氏も、サウンドにこだわる一人だ。ちなみにsiorin氏は「30分の自作早組みとか、完全静音化するといったことまではできない緩いレベルですが」と謙遜していたが、結構な自作PCファンでもそこまでする人はいない。
「以前、サウンドのノイズが気になってASUSさんの「Xonar Essence STX」を使ったことがあるのですが、ノイズがないだけでなく、音質もすごくよかったです。こだわるのであれば、こういったサウンドカードを挿すといいですよね」(siorin氏)
「Xonar Essence STX」はSN比124dBのクリアな音質を実現した高性能サウンドボード。ヘッドホンアンプにはTIのTPA6120A、DACにはBurr-BrownのPCM1792A、コンデンサーはニチコンのFine Goldを搭載するなど、音質に非常にこだわった製品だ。また、ヘッドホン出力のジャックには一般的な3.5mmではなく、太い6.3mmを採用するといったこだわりもある。
予期せぬ製品名の登場にASUS佐藤氏も思わず驚いていたが、音にこだわるならサウンドカードを使うというのはまさにその通り。こういった要望は意外と多いのか、DeToNatorモデルでも標準ではオンボードサウンドとなっているが、しっかりとBTOオプションで多数のサウンドカードが選べるようになっていた。
実際のゲームでも音はかなり重要だ。最近ではバトルロイヤルゲームの「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(PUBG)のように、建物内を歩く足音、車やバイクの移動音、弾丸の風切り音などから相手のいる方角がわかるものもあるだけに、サラウンドへの対応も重要となっている。
「方角がわかれば、どの建物のどの部屋から撃ってきているのかの見当がつくので、ドア越しに相手を倒すといったこともできるわけです。撃ち合うことなくグレネードを投げて倒せれば、こちらは安全な場所にいられます。それだけに、特に音は重要ですね」(YamatoN氏)
サウンド機能でいえば、マイク入力の性能も忘れてはならない。配信する場合にマイクの音質が悪かったりノイズがのってしまうということがあれば、視聴者がシラケてしまうだろう。また、チームプレイ時のチャットで音質が悪ければ、うまく連携が取れないことも考えられるし、ノイズが常にチームメイトに流れてしまうというのもある。
ゲームで一番重要なグラフィック
フレームレートも重要だが画質も落とせない
最高スペックのPCが用意でき、どんなゲームでも処理落ちなしにプレイできるのであれば問題ないが、現実問題として、誰もがそんな環境を用意できるわけではない。となれば、妥協できる部分とできない部分との切り分けが必要だ。そこでゲームをプレイする上で妥協できない重要な部分はどこかと聞いてみたところ、まずはグラフィック、とくに画面のフレームレートが重要だという。
「フレームレートが落ちてしまうと表示されていたはずの情報が失われてしまうため、対戦ゲームで不利になります。また、マウスやキーボードで操作した動きが画面に反映されるまでの遅延が大きくなるため、操作そのものが遅れてしまうという問題もあるわけです。ゲームをするうえで何が重要なのかと言われれば、まずはフレームレートだといって間違いないでしょう」(YamatoN氏)
フレームレートが落ちなければ相手よりも先に気づける可能性が高くなるし、遅延がなければ正確な操作もしやすくなる。それなら、解像度や画質を落としてフレームレートを優先すれば、低スペックなPCでもゲームで勝てるのではないかと考えてしまうが、最近のゲームはそうとも言えないようだ。
「昔のゲームであれば800×600ドットくらいまで解像度を落とすと、ドットが大きくなって荒くなるぶんキャラクターが大きく見えるんですよね。それでヘッドショットを狙ったりとかしていました。これだとフレームレートも稼げますし、メリットがあったのですが……」(siorin氏)
「当時はそれで十分でしたが、今は画面の細部まで描画されるゲームが増えています。そのため解像度を落とせば細部が描画されず、むしろ不利になることも少なくありません。フレームレートを高くするというのは前提ですが、解像度を上げたうえで、できるだけテクスチャのクオリティも高く設定できるグラフィック性能が欲しいですね」(YamatoN氏)