ミスターBIG PAD シャープ中村さんが語る「なぜ会議室で支持されるのか?」
働き方改革の切り札! BIG PADはオフィスの「センターハブ」になる
2018年03月05日 15時00分更新
保護ガラスの採用、視差問題への取り組みも始める
中村 そして2010年1月に60V型の「オーバーレイタッチパネル PN-ZT601」を発売します。まだ一体型にはなっておらず、ディスプレイにタッチパネルと保護ガラスをセットし、最後にフロアスタンドを組み付けて完成するという製品でした。
── これを購入した場合、組み立てはユーザー任せですか?
中村 弊社の設置・組み立てサービスを基本としていましたが、お客様にかなりご負担いただくことになってしまいました。フロントベゼルを外したり、重いディスプレイを持ち上げたりと、なかなか面倒な製品だったかもしれません。保護ガラスと液晶画面をできるだけ近づけて操作時の違和感を減らすため、ベゼルを外してから保護ガラスを組み込むようにするなど、意欲的な設計でしたが……。
── それはなかなかハードルが高そうですね。
中村 それが理由というわけでもありませんが、2010年8月には念願の「タッチパネル一体型ディスプレイ PN-L601B」を発売できました。
一体型モデルの第1世代登場! でも製品名は「i3board」?
── 正真正銘の一体型製品ですね。
中村 ディスプレイ自体は前モデルを引き継いでいますが、自社開発の赤外線遮断検出方式のタッチパネルを搭載しています。そしてこの製品から、直感的に使える弊社オリジナルのペンソフトと専用タッチペン、イレーザーの付属が始まりました。
外見のデザインも会議室に置いてあるホワイトボードのようなイメージです。この頃から大型ディスプレイの価格も下がってきて、オフィスへの導入にも抵抗が少なくなってきました。
── だいぶ現行BIG PADのイメージに近づきました。
中村 そして2011年9月・11月に、より電子黒板としての使い勝手にこだわった「70V型タッチパネル一体型ディスプレイ PN-L702B」「60V型タッチパネル一体型ディスプレイ PN-L602B」を発売します。タッチセンサーが2点同時検知可能になり、Windows 7のジェスチャー操作にも対応しました。このとき、初めて「i3board(アイトリプルボード)」というシリーズ名を冠することになりました。
── あれっ、初めはBIG PADという名称ではなかった!
中村 そうなんです。「information intelligent imaging」の3つの「i」から名付けられました。先行していたビデオウオールなどに活用できる狭額縁のマルチディスプレイが「i3wall(アイトリプルウォール)」という製品名だったことも理由の1つです。しかしこの名称は数ヵ月ほどしか使われませんでした。
── おっと、これは……。
中村 翌2012年1月に同シリーズの80型モデルを発売することになったのですが、このモデルの発売までにi3boardの海外市場進出も始まっていて、もっとわかりやすい名称があったほうがいいのでは、ということになりました。
ちょうどアップル様の「iPad」が話題を集めていた時期だったこともあり、「大きなパッド」をイメージできるような名称を……ということで「BIG PAD」が提案され、商標的にも問題なかったため、80V型モデルの発表とともにBIG PADがシリーズの正式名称となりました。
── i3boardの名称が使われたのはずいぶん短かったのですね。
中村 ほんの数ヵ月でした。なお、このシリーズから価格が一気に手頃になり、60V型・70V型は100万円を切ります。スタンドの形状も思い切ったデザインにして、あまりホワイトボード然とした印象ではなくなっています。この頃から認知度も高まり、かつ市場が拡大傾向となって販売実績も軌道に乗り始めました。
── しかし当時としては80V型ってかなり大型ですよね?
中村 そうですね。しかしこの80V型モデルをはじめ、LEDバックライト搭載の液晶パネルを使うことで消費電力にも配慮しました。この初代BIG PADシリーズは省エネのタッチディスプレイとしても大きな注目を集めることになりました。