10万人の従業員のトレーニング体制構築に「Teachme Biz」を導入
従業員の定着に悩むすかいらーくをクラウド型マニュアルは救えるか?
2018年02月06日 09時00分更新
2018年2月5日、外食チェーン大手のすかいらーくは、IT化による店舗業務の効率化と働き方改革の推進についての説明会を実施。ガスト全店で導入されたスタディストのマニュアル作成・共有サービス「Teachme Biz(ティーチミービズ)」を用いた従業員のトレーニング体制構築の効果が披露された。
課題は採用ではなく、従業員の定着
ファミリーレストランのはしりとして、ガストやジョナサン、バーミヤンなどさまざまなブランドを抱えるすかいらーく。正社員は6187名で、パート・アルバイト9万9765人をあわせると従業員は10万人を超える。店舗数は3144店で、年間の来客数は約4億人にのぼる(すべて2017年12月時点)。
2018年は持続的な成長を続けるために、店舗や従業員、そしてITへの投資を積極的に進める予定となっている。ブランドごと異なっていたアプリを統合するほか、ハンディターミナルのAndroid化やセルフレジ導入も推進する。すかいらーく 常務執行役員 コーポレートサポート本部 マネージングディレクター 兼 人財本部マネージングディレクターの金谷実氏は、「今までは目先の利益を優先せざるを得なかったが、今後は店舗と従業員に積極的に投資していく。単に賃金の面だけではなく、教育研修にも力を入れていきたい」と語る。
こうした中、課題になったのは「クルー」と呼ばれるパート・アルバイトの定着だ。すかいらーくでは年間5万人以上が採用されるが、オペレーションの難しさが課題となり、定着率が低かったという。金谷氏は、「調理をお客様がやってくれる、メニューが少ないなど、オペレーションの難易度が低いしゃぶしゃぶ店舗の方が定着率は高い」と指摘する。
もう1つは外国人従業員の増加だ。一人あたりの労働時間が昔に比べて短くなった現在、年末年始や夏休みシーズンでも働いてくれる外国人従業員は増加の一途をたどっている。「昨年は前年比で約3割増えた。これからもどんどん増えてくる」(金谷氏)とのことで、外国人にわかりやすいマニュアルを作るにはデジタル化するしか方法がなかったという。
画像中心の使いやすさはもちろん、BYODの自習体制に高い評価
こうしたクルーの定着率向上施策の一環として、昨年すかいらーくに導入されたのがスタディストのクラウド型マニュアル・作成共有サービス「Teachme Biz」になる。
コンサルティング企業の在籍時、文字だらけのマニュアルに限界を感じたスタディストの創業者が作ったTeachme Bizは、画像と動画を中心にしたマニュアルを簡単に作れるサービス。開始から約4年が経ち、現在では飲食、小売、宿泊、物流、医療など約1800社が導入しているという。スタディスト 取締役COO 庄司啓太郎氏は、「マニュアルには作成、共有、更新、管理という4つの苦労がある。でもTeachme Bizは作成や更新が簡単で、つねに最新を保てる。画像・動画ベースだから見やすい」と説明する。
実際、今回すかいらーくがTeachme Bizを選んだ理由も、画像中心で調理のポイントが解説できる点だ。こうしたビジュアル面でのわかりやすさに加え、外国人従業員のためには英語、中国語、韓国語、ベトナム語のマニュアルも用意。メニュー改定などが発生しても、習熟度をスピードアップできるという。
利用は店舗ごとに配布されているiPadのほか、BYOD(Bring Your Own Device)で自身の端末で学習することも可能。新メニュー改定前の閲覧が多く、事前に学習する環境を用意したことで理解度と品質の向上につながった。クルーに対する導入後のアンケートでも全体の88%が「覚えやすい」と答えたほか、個人端末で閲覧できる点に関しては98%が「役に立った」と答えたという。クルーだけではなく、マネージャも教育の負荷が軽減されたほか、本部にとってもマニュアル作りが容易になったとのこと。
2017年9月ガスト全店で導入されたTeachme Bizだが、2018年からは3月のステーキガストへの拡大を皮切りに全ブランドに拡大。約3000店舗で従業員のトレーニングに用いられるという。