高齢者に適したロボット採用が高評価
優秀賞を獲得したプライム・ファクターズ「ロボホンとHarmoをつかった服薬管理システムの構築」は、シャープのロボホン、ソニーの電子お薬手帳サービスHarmoを連携し、ロボホンから服薬アラートや医療機関への通知機能を提供する。
プライム・ファクターズの岩渕崇氏は、「糖尿病は、65歳以上の高齢者の医療費が高い。そこで65歳以上にフォーカスすることがいいと考えた。3分の1の人が順守できなくなる、アドヒアランス改善が必要と考えたが、対応策の多くがスマートフォンベース。高齢者にはスマートフォンのUIは不向き。もっと親しみやすいUIをと考え、ロボホン活用した」とスマートフォンに慣れていない高齢者向けに、ロボホンを起用したと説明した。
ロボホンをインターフェイスとしながら、医療機関からのアラート、服薬時間をアナウンスするなどの機能を提供する。
審査員の川崎市立川崎病院の糖尿病内科部長 津村和大氏は、「急速に高齢化が進む中で、糖尿病のアドヒアランスをどう高めるのかという課題に非常にフィットした提案内容だった」と高齢者のアドヒアランス向上につながると話した。
グローバス・キャピタル・パートナーズ プリンシパルの福島智史氏は、「ベンチャーキャピタルから見て、物売りから体験販売の時代になっている中、非常に合致したサービス」と評価した。
プライム・ファクターズに岩渕氏は、「ロボットを使ったソリューションを色々考えたが、そのひとつが医療系だった。医療系へのコネクションがなかった時に、この審査を知って、専門家の意見を聞いて、専門家のサポートを受けた実証実験を行なえば、サービスの精度も向上すると考えた」と今回のコンテスト参加は大きなチャンスとなると考えたと話した。
寿命百年時代に向け大きな可能性を評価
アライアンス賞を獲得したのは、九州大学ビジネススクール「歯っぴ~歯ブラシをIoTでつなぐ」。カメラ付きIoT電動歯ブラシで、撮影した歯の映像から歯石を数値化する。今後は歯科医へ画像送信機能も実装予だ。
九州大学ビジネススクールの小山昭則氏は、「歯磨は、糖尿病予防につながる。現在の電動歯ブラシに、光学系機能を付加して、口腔内データを取得し、数値化することで、現在の健康診断とは異なる予防が可能となるのではないか」という観点から、開発を行なったと説明した。
口腔内データをサーバーに送ることで、電動歯ブラシがIoT機器として活用することができるとういうアイデアだ。
このアイデアに対し、MSD 執行役員 経営戦略部門統括 中島理恵氏は、「非常に興味深いソリューションというところで審査の中でも注目をあつめたものだった。ただ、糖尿病との関連性が遠いというところで、今回は最優秀賞ではなく、アライアンス賞とさせてもらった。健康寿命百年時代に向け、素晴らしいソリューションで、アライアンスの形をあらためて考えたい」と話した。
残念ながら受賞を逃したが、このほかのもさまざまな糖尿病解決へのアプローチがあった。
株式会社ベスプラの「脳にいいアプリ」は、すでに2万3000人の利用者をもつ脳活アプリ。AIが、脳の健康維持のために最適な運動や脳トレ、食事法などをユーザーごとに提案する「脳の健康維持AI」機能を搭載している。
ベスプラの遠山陽介氏は、「もともとは糖尿病ではなく、認知症予防にと考えて開発した。開発のきっかけは、家族が認知症となったこと。4年かけ開発を行ない、2016年2月にリリースし、2万3000人のユーザーを獲得したが、もっと実績を伸ばせると思っている。認知症予防は、糖尿病予防につながる部分がある。予防医療サービスとして提供することができれば」という開発のきっかけと、サービス提供の狙いを説明した。
株式会社Mealthyの「Mealthy(メルシー)」は、外食やコンビニのメニューで健康管理ができるアプリ。GPSと連動し、現在地から徒歩5分県内にある飲食店のメニューを表示し、ユーザーに最適な食事を提案する。
メルシーの鈴木勝之氏は、「食事による健康管理サービス。食事をきちんと管理すれば、ほとんどの病気が予防できるのではないかと考える。フォーカスは糖尿病。ターゲットは多忙なビジネスパーソン。外食、コンビニ食が多いために、過剰にカロリー摂取を行なっている。食べ方指導は、我慢するのではなく、その人のライフスタイルに沿ったアドバイスを行なう。数多くの人が取り組める方法論だと考える」と病気予防の基本として食事による健康管理サービスを提供したと説明した。