ファーウェイ・ジャパンとライカカメラジャパンはライカ銀座店の2階にある、ライカプロフェッショナルストア東京でメディア向けセミナーを開催。HUAWEI P9で初搭載されたLeicaダブルレンズカメラ開発に至るストーリーについて紹介した。
ライカの小型カメラ誕生からちょうど100年を経て
ファーウェイとのコンタクトがスタートした
まず、登壇したライカカメラジャパン株式会社 企画部 米山和久氏は、あらためてライカのブランドと歴史について紹介した。ライカは、1849年にカール・ケルナーがレンズや顕微鏡を開発するために、ドイツ・ヴェッツラーに設立した研究所がその前身。その後、事業を受け継いだエルンスト・ライツが社名を変更するとともに、1907年にライカのブランドを持つ双眼鏡を開発した。
そして同社に入社したオスカー・バルナックがカメラの歴史を大きく変える。1914年に露出計として小型カメラのプロトタイプ「Ur-LEICA」を開発。現在にまでつづく35mmフォーマットの産みの親となる。実際に量産されるのは1925年のLEICA I型が初めてで、誰でも持ち運べて、気軽にかつ高画質に撮影できる小型カメラが、フォトジャーナリズムをも生み出すこととなる。
その後も1954年に登場した「LEICA M3」を初めとして名作を次々と送り出した同社は、デジタルカメラやコンパクトモデル、他社との技術提携など、カバーするエリアを広げつつも高性能・高画質にこだわる製品をリリースしている。
その延長線上にファーウェイとの協業もある。ファーウェイによると、同社がライカに最初にコンタクトを試みたのは2013年冬だったが、当初は丁寧にお断わりされ続けたという。ライカのトップを含めて、ようやく実際に話し合いができたのは2014年夏。そこから両社がスペシャルチームを作って、具体的な協力関係に入った。
ライカ基準の厳しいテストや品質管理に苦戦
ただ、その開発過程はファーウェイにとっても想像外のことが多かったとする。たとえば、撮影時に強い光がレンズに入るとゴーストやフレアが発生するが、それを確認するためのテスト用光源としてライカが設定したものは、それまでファーウェイがテストしていたものより数十倍明るいものだったという。
スマホに搭載するカメラモジュールの品質テストにも、ライカ製レンズの基準を適用することが求められ、その結果は歩留率が10%以下という結果に。ただそこには妥協はなく、レンズの調整など改善策に取り込むことになった。
このような厳しい開発過程を経て生み出されたHUAWEI P9のサンプル機ながら、2016年の1月時点でもライカが求める画質には至っていなかったのだという。ただ、その後も着実にアップデートを加え、2016年4月にロンドンで正式発表されることになる。
LeicaダブルレンズカメラはそのHUAWEI P9に始まり、昨年末リリースのHUAWEI Mate 9、今年リリースのHUAWEI P10/P10 Plus、そして海外ではすでに発表されているHUAWEI Mate 10と同社のフラグシップ機に欠かせない機能となっている。そしてその流れで公表されたのが、11月28日に「次世代スマホ日本上陸」というもの。シルエットからもHUAWEI Mate 10シリーズであることが予想できるが、カメラのクオリティーも含めて、期待を膨らませたところで今回のセミナーは終了した。