こんにちは、さとうなおきです。「週刊アジュール」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Azure Container Service:マネージドKubernetesが登場
これまで提供されていたAzure Container Service(ACS)では、Kubernetes、DC/OS、Docker SwarmといったコンテナーオーケストレーターのVMクラスターを容易に構築することができました。
今回、新たに発表されパブリックプレビューとなったAzure Container Service(AKS)は、マネージドKubernetesサービスを提供します。AKSでは、Kubernetesのクラスターの作成や管理が強化され、自己回復、スケーリング、Kubertenesのアップグレードといった機能を活用できます。AKS自体は無料であり、AKSを介して作成されたクラスター内のVMの料金が発生するだけです。コンテナーオーケストレーターのデファクトスタンダードになりつつあるKubernetesのクラスターを、さらに利用しやすくなりますね。
詳細は、筆者のブログポスト「AKS(マネージドKubernetes)とAzure Container Registryの改善」、Azure Container Service(AKS)のドキュメントをご覧ください。
Azure Container Registry:新しい料金プランがGA、地理レプリケーション対応
Azure Container Registryは、コンテナーイメージを格納するプライベートレジストリのサービスです。
今回、Azure Container Registryの新しい3つの料金プラン(Basic、Standard、Premium)がGAとなりました。これによって、負荷に応じてACRをスケールできるようになります。
また、Azure Container Registryの地理レプリケーションのプレビューも発表されました。これによって、複数のAzureリージョンにわたって複製されるレジストリを管理できるようになります。Azure Container Registryに対するコンテナー イメージのプッシュ/プルは、最も近いレジストリにルーティングされます。地理レプリケーションは、Premiumプランで利用できる機能です。
詳細は、筆者のブログポスト「AKS(マネージドKubernetes)とAzure Container Registryの改善」をご覧ください。
CrayのスパコンをAzureから提供
CrayとMicrosoftの提携によって、Azure上でCrayのスーパーコンピューターが提供されることが発表されました。大規模なHPCやAIのアプリケーションを実行するために、専有型のCray XC、またはCSシリーズのスーパーコンピューターをマネージドで利用できるようになります。
詳細は、ブログポスト「Cray Supercomputers are coming to Azure」をご覧ください。
Azure Virtual Machines:Fsv2(Fv2)シリーズがGA
IaaSの仮想マシン機能を提供するAzure Virtual Machinesは、多様なインスタンスのシリーズを提供しています。
今回、新しいインスタンスのシリーズであるFsv2(Fv2)シリーズがGAになりました。Fsv2シリーズは、インテルXeonスケーラブルプロセッサー(Skylake)のインテルXeon Platinum 8168プロセッサー(2.7GHz、ターボブースト時は最大3.7GHz)を提供する、コストパフォーマンスに優れたシリーズです。最上位のインスタンス「StandardF64sv2」には、72vCPU、144GiB RAMが搭載されています。また、Fsv2シリーズは、高いIOPSを提供するPremium Storageを既定でサポートしています(シリーズ名の中の「s」は、Premium Storageのサポートを意味しています)。
Fsv2シリーズは、米国西部2、西ヨーロッパ、米国東部リージョンで利用可能であり、東南アジアリージョンでも近日中に利用可能になる予定です。
詳細は、ブログポスト「Azure 最速の VM『Fv2』シリーズの提供を開始」、コンピューティング最適化されたシリーズのドキュメント、Azure Virtual Machinesの料金ページをご覧ください。
Azure Site Recovery:Azure Virtual Machinesの1クリックレプリケーションが可能に
Azure Site Recoveryは、さまざまな環境のVMや物理サーバー間の災害復旧(DR)サービスです。
今年5月に、あるAzureリージョンで動作しているAzure Virtual MachinesのVMを、別のAzureリージョンにレプリケーションして災害復旧を可能にする機能が、パブリックプレビューになっていました。
これまでは、AzureポータルのAzure Site Recoveryブレードで、レプリケーションを設定できました。今回、AzureポータルのAzure Virtual Machinesブレードから簡単にレプリケーションを設定する機能が、パブリックプレビューになりました。VMのDRのために、Azure Site Recoveryを活用してください。
詳細は、ブログポスト「One-click replication for Azure Virtual Machines with Azure Site Recovery」をご覧ください。
Azure Virtual Network:サービスエンドポイントの拡大
今年9月のIgnite 2017カンファレンスで、「Azure Virtual Network: Azure Storage/SQL Database/SQL Data Warehouseに対するサービスエンドポイント」のプレビューをリリースしていました。
このプレビューは、米国、オーストラリアの一部のAzureリージョンでのみ提供されていました。今回、このプレビューが、東日本、西日本リージョンすべてのAzureリージョンで利用可能になりました。東日本、西日本リージョンをお使いの方も、是非プレビューをお試しください。
詳細は、更新情報「Public preview expansion: VNet Service Endpoints and Storage Firewalls and Virtual Networks」をご覧ください。
Azure SQL Database:SQL ServerからのトランザクションレプリケーションがGA
Azure SQL Databaseは、SQL Serverベースのリレーショナルデータベースサービスです。
オンプレミスのSQL ServerからAzure SQL Databaseへのトランザクションレプリケーションは、2015年11月にパブリックプレビューになっていました。今回、この機能がGAとなりました。
この機能を使用すると、ダウンタイムを最小限に抑えながらオンプレミスのSQL ServerをAzure SQL Databaseに移行できます。また、この機能は、オンプレミスのSQL ServerからAzure SQL Databaseへの一方向のデータ同期にも使用できます。
詳細は、ブログポスト「Azure SQL Database へのトランザクション レプリケーションの一般提供を開始」、トランザクションレプリケーションのドキュメントをご覧ください。
Azure Data Lake Analytics:MSBuildによる継続的インテグレーションが可能に
Azure Data Lake Analyticsは、ビッグデータ分析サービスです。
今回、MSBuild(Microsoft Build Engine)を使ったU-SQLアプリケーションのビルド機能がプレビューとなりました。これによって、Visual StudioのU-SQLプロジェクトをMSBuildのCLIやVisual Studio Team Services(VSTS)でビルドできるようになります。
詳細は、ブログポスト「Continuous integration made easy with MSBuild support for U-SQL (preview)」をご覧ください。
Azure Analysis Services:DAXクエリエディター機能をリリース
Azure Analysis Servicesは、SQL Server Analysis Services(SSAS)ベースの分析サービスです。
今年7月に、Azure Analysis Servicesのセマンティックモデルを作成する「Webデザイナー」のプレビューをリリースしていました。
今回、Webデザイナーで、DAX(Data Analysis Expressions)クエリを生成、表示するエディター機能がリリースされました。
詳細は、ブログポスト「Azure Analysis Services web designer adds new DAX query viewer」をご覧ください。
Azure Active Directory: リリースノートを公開
Azure Active Directory(Azure AD)は、ID/アクセス管理機能を提供するサービスです。
今回、Azure Active Directoryの新機能、変更された機能、変更計画、バグ修正をまとめたリリースノートが公開されました。Azure Active Directoryをお使いの方は、確認するようにしてください。
詳細は、ブログポスト「You asked, we’re delivering: Release notes for Azure Active Directory!」をご覧ください。
それでは、また来週。
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