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水冷クーラー採用で冷却性能は問題なし

FFベンチで2万越え! サイコムのCoffee Lake搭載PCの性能をチェック

2017年10月26日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Hydro Z370」

 エンスージアスト向けのCore Xシリーズは性能的には魅力だが、実際にゲーミング性能を測ってみると、むしろCore i7-7700Kの方がスコアが高い場合がある。これはゲームがマルチスレッド処理に特化されていないため、コア数よりもコア当たりの性能が重要になってくるのが影響しているようだ。

 ゲームしか動かさないというのであればこれは正しいのだが、実際には実況配信やプレー画面の録画、攻略動画を視聴しながらのゲームプレーなどといったように、ゲーム以外に複数のソフトを使うときも少なくない。こういった場合は、やはりコア数が重要となってくる。

毎週水曜日に配信されている「ASCII PCゲーム部」。実況配信はCPUへの負担がかなり高くなるだけに、高性能PCを用意したい

 このような「ながらプレー」をするのであれば、場合によってはCore i7-7700Kですら力不足になることがある。とはいえ、Core Xシリーズを使うとパワーが余ってしまうし、なにより高価。どうにも、帯に短したすきに長しといった状況になりがちだった。

 そこで狙っていきたいのが、第8世代となる「Coffee Lake」。6コアCPUのCore i7-8700Kなら、コア数がCore i7-7700Kの1.5倍、さらにターボブースト時には最大4.7GHzにまでクロックが上昇するので、コア当たりの瞬間性能もCore i7-7700Kを超えられる。つまり、ながらプレーが快適で、ゲーミング性能も従来以上という、まさに理想のCPUといえる存在だ。

 この期待の第8世代CPUとなる「Core i7-8700K」を搭載したサイコムの「G-Master Hydro Z370」で、その性能をチェックしていこう。

ソケットは第7世代と同じLGA1151だが互換性はなく、新しいマザーボードとチップセットが必要となる。第8世代を狙うなら、パソコン丸ごとの新規購入がオススメだ

水冷クーラー採用で冷却性能は問題なし
ベンチマークソフトでCoffee Lakeの実力をチェック

 今回試したG-Master Hydro Z370は、CPUにCore i7-8700K、メモリーは32GB、GPUはGeForce GTX 1080 Tiといった構成だ。ストレージはNVMe対応のSSDで、容量は525GB。さらにデータ用として、525GBのSATA接続SSDも搭載している。

G-Master Hydro Z370
標準構成 試用機
CPU Core i7-8700K(3.7GHz)
GPU GeForce GTX 1070 GeForce GTX 1080 Ti
メモリー 8GB 32GB
ストレージ 525GB SSD(NVMe対応) 525GB SSD(NVMe対応)、525GB SSD(SATAⅢ接続)
価格 22万7630円 32万690円

 最大の特徴は、CPUもGPUも水冷化されている点だ。これにより、静音ながら強力な冷却性能が実現されている。特に今回試したCore i7-8700Kはコア数が増えているだけに発熱量の上昇が見込まれるため、こういった高冷却性能クーラーが最初から採用されているというのは心強い。

ASETEK社製品の水冷キットを使い、CPUとグラボの両方を水冷化。静かながらも強力に冷却してくれる

 さっそくベンチの結果を見てみよう。対抗機として参考にしたのは、CPUにCore i7-7700K、GPUにGeForce GTX 1080Tiを搭載したパソコン。メモリーが16GB、ストレージがSATAのSSDになる点以外は、ほぼG-Master Hydro Z370と同じ構成となる。

 まずはCPUの性能をCGレンダリングで調べる「CINEBENCH R15」から。マルチスレッド処理での性能比較に向いているベンチマークソフトだ。「CPU」がすべてのコアを使った場合のスコアで、「CPU(Single Core)」が1つのコアだけを使った場合のスコアとなる。この2つの値を測れば、CPU全体の性能とコア当たりの性能の両方がわかるわけだ。

マルチスレッドでのCPUスコアで1426と、かなり高い値を叩き出してくれた。さすが6コアという結果だ

 CPUのスコアは1426cb。Core i7-7700Kのスコアは、大体970~980cbあたりとなるので、単純な比較でみるとスコアは約1.46倍にアップしている。コア数が4から6に増えているだけに、順当な性能アップといえるだろう。また、CPU(Single Core)のスコアはCore i7-7700Kだと195cb前後なので、ほんの少しだけ落ちているといった感じだ。とはいえシングルコアでのスコアがこれだけ高ければ、ゲームでもしっかりとその実力を発揮してくれるだろう。

ゲーム性能ではコア数増加によるスコアアップも見逃せない

 ゲーム系のベンチとして、まずは定番の「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」から見てみよう。解像度は1920×1080ドット、画質は最高品質、フルスクリーンでテストした。

Core i7-7700Kでは1万8000台後半がいいところで、2万を超えることはなかっただけに衝撃的な結果だ

 結果は、なんと2万越え。Core i7-7700KとGeForce GTX 1080 Tiの組み合わせでは1万8000台止まりだっただけに、素直に驚いた。FFベンチはCPU性能が出やすいベンチといわれているものの、コア数の増加では性能があまり上がらないため、Core XシリーズやRyzenではイマイチな結果しか出ていなかった。しかし、Core i7-8700Kなら動作クロックが高いままキープできるためか、FFベンチでも高いスコアを叩き出してくれたようだ。

 もうひとつ3D系のベンチマークとして、「3DMark」も試しておこう。主にDirectX 11のテストとなる「Fire Strike」、Direct X12の「Time Spy」の2種類だ。

CPUのコア数が多いため、とくにPhysics scoreが上昇。Core i7-7700K構成と比べても、トータルのスコアで2000近く上がっている

こちらもGraphics scoreはあまり変わらないがCPU scoreが上昇し、トータルスコアも600ほど高くなっていた

 GPUが同じGeForce GTX 1080 Tiということもあって、Core i7-7700Kとの差はあまり大きくはないものの、細かなスコアの内容を見ていくとCPUに絡む項目でスコアがアップしているのがよくわかる。例えばFire Strikeであれば「Physics score」が約1.4倍、Time Spyであれば「CPU score」が約1.5倍になっている。

 コア数を大幅に増やしたCPUであればCore Xシリーズがあるものの、ゲーミング性能ではその真価が発揮できない場合が多かっただけに、ゲームベンチでもしっかりとスコアが伸びているCore i7-8700Kをはじめとする第8世代CPUは待望の製品といえるだろう。今からハイスペックなゲーミングパソコンの購入を考えているのであれば、G-Master Hydro Z370のような第8世代CPUを搭載した製品を選んでおきたい。

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