IoT時代にはバイナリアンが活躍する予感!?
夏は四国でSORACOM三昧!初日のネタはとんかつパフェとIoTの幻滅期
7月上旬の週末、四国でSORACOM関連のイベントが立て続けに開催された。7月7日には松山でSORACOM UG Shikoku #1、翌8日午前にはサンポート高松トライアスロン2017における実証実験、午後にはSORACOM UG Shikoku #1.5。ソラコムづけの週末について、順にレポートしていきたい。まずは7月7日に愛媛県松山市で開催された、SORACOM UG Shikoku #1からいってみよう!
松山といえばみかん、温泉、とんかつパフェ!?
松山は筆者の好きな街のひとつ。幼稚園から小学校低学年にかけて数年間暮らしたことがあり、お城も道後温泉も身近な存在だ。が、知らないうちに新しい名物が生まれていた。それが、とんかつ店「清まる」のとんかつパフェ。名前からして破壊力満点だ。松山といえば、2017年のJAWS Festa開催地でもあり、エンジニア系の読者の中には訪問を予定している人も多いことだろう。ここは筆者がまず、その美味しさを体験して伝えなければ。
そんな使命感をもって訪れたのは、松山市駅前の大通り添いにある、清まる。外観は喫茶店かカフェといった風情。とんかつパフェだけを注文するといかにも「イロモノを目当てに来ました」というカンジで雰囲気悪いなと思い、まずは食事がてら串カツ盛り合わせを注文した。
うん。うまい。衣がサクッとしていてしつこすぎないのがいい。メニューを見ると食事系からつまみ系まで揃っていて、ここで単品のフライを頼みつつビールを楽しみたくなった。が、本命はまだこの先にある。ちょっとお腹が重い、串カツ盛り合わせは余分だったか……と思いつつ、とんかつパフェを注文する。
写真で見てもかなりのインパクトだけど、これ、実物を目の前にするとさらにインパクトがすごい。とんかつの食欲をそそる香りと、アイスクリームの甘い香りが一度に襲いかかってくるのだ。そして、この見た目。ひるむな俺!
メニューにある手順にしたがい、りんごの上にとんかつを載せ、さらにアイスクリームを盛る。正直なところ一口かじるまで、まったく味の想像がつかない。がぶり。
……あれ? イケんじゃねこれ? りんごとアイスクリームの組み合わせはともかく、そこにとんかつが入ることで調和が崩れると思いきや、危ういところで違った方向性のバランスを実現している。りんごが変色しないように塩水につけて、少し塩気が残ったりんごの味を思い出してほしい。もしくは、甘みを引き立てるために塩を振ったスイカを。とんかつには軽くかけられたソースが、その塩気を演じているのだ。さらにホイップを盛ってみたり他のフルーツも載せてみたりと味の変化もあり、最後までおいしくいただいた。ただ、噛み応えと食べ応えだけはしっかりとんかつ。串カツ盛り合わせも効いている。満腹ノックアウトだ。
でも、次回松山に来たらまた来店したい。パフェ以外に魅力的なメニューが多くあり、カツ自体がおいしいのだ。隣席のお客さんが食べていたカツカレーもうまそうだった。数人で来て食事をしてから、最後にとんかつパフェをシェアするのがベストかもしれない。
IoTは幻滅期にあり、やるのかやらないのかを決めるなら今
グルメレポートに1000文字も費やしてしまったが、本記事の本編はここからである。主役はとんかつでもパフェでもなく、SORACOMだ。今回開催されたSORACOM UG Shikokuは#1となっているが、実は1年ほど前にもアールスリーインスティテュートの沖 安隆さんの呼びかけでSORACOM UG Shikoku #0が開催されている。その際には勢い余って、商店街の七夕夜市にブースを出したそうだ。家族づれで賑わう商店街、出店で買ったビールやフランクフルトをかじりながら歩いていると、唐突に現れるIoT専用SIMの露店。最高にシュールでクールだ。
沖さんのSORACOMへの共感ぶりもすごいが、その上を行くのが、SORACOM UG Shikoku #1の主役、松下 享平さんだ。ソラコムのサービスや企業姿勢に共感しすぎて、昨年ついにソラコムに転職してしまった。今ではテクノロジー・エヴァンジェリストとして全国を飛び回っている。
四国では1年ぶりのSORACOM UGということもあり、今回はSORACOMの紹介だけに特化したわかりやすい勉強会になっていた。セッションメニューも、松下さんによるSORACOMの紹介と、参加者から松下さんへの質問大会のみ。とはいえ、最近新しいことを発表しまくっているSORACOM。初心者以外にも十分聞き応えはあった。個別のサービスに関することを紹介してもキリがないので、印象に残った点だけを紹介したい。
「ガートナーの調査によれば、2016年10月時点では、IoTは過度な期待のピークを過ぎて幻滅期にあります。つまり、淘汰が始まっているのです」(松下さん)
過度な期待とは、「よくわからんけどIoTってのがすごいらしい」「何ができるかわからんけどうちもIoTやりたい」という時期。やがてIoTで実際にできることやコストなどのハードルが見えて来て、IoTをコアビジネスに活かせないプレイヤーが離れて行く。これが幻滅期だ。
「同じくガートナーの20年前の資料を見ると、IoTと同じくらいの場所にWWWがありました。『インターネットやりたい』から『インターネットを使ってどんなビジネスをするか』に移行し始めた時期です。IoTも同じ段階と言えます。フォーカスするならしっかり取り組む、そうでなければやらない方がいい、そういう分岐点でもあります」(松下さん)
検討中案件から事例紹介まで具体的な話題満載の質問大会
セッション後半は、松下さんを質問責めにする時間。「現在検討中の案件で構成の相談に乗って欲しい」という具体的な質問が出た時には、参加者の雰囲気が一気に変わるのを感じた。実ビジネスへの具体的な応用情報に対しては、みな貪欲だ。ただし、進行中の案件なのでここで紹介はできないので悪しからず。
農業関係での事例がないかという質問に対しては、株式会社ファームシップの事例が紹介された。生育現場の情報をSORACOM Airを使ってほぼリアルタイムに取得して監視、分析しているという。また、通信コスト削減のためにTCP/IPではなくUDPを使った場合の通信の信頼性についての質問もあった。ブロードバンドではほとんど気にならないTCP/IPのヘッダ情報だが、一度に送信するデータ量が小さいIoTではオーバーヘッドの方が大きくなることさえある。かといってUDPではエラー訂正が弱く信頼性に欠けるのではないかというのが、質問者の心配だった。
「結論から言えば、セルラーネットワークとしてはUDPを使うのはアリだと思っています。なぜかというと、そもそも基地局とキャリアのデータセンターの間でUDPが使われているんですよ。通信の信頼性はそれより下位のレイヤーで担保されています」(松下さん)
こののち、バイナリパーサーの話から「昔はどのビットにどのデータを割り当てようかと知恵を振り絞ったものだが……あの頃の経験が21世紀になって生きるとは」と、完全に老人会の会話へと流れていった。
終電、駐車場の時間はきちんと確認しておきましょう
勉強会のあとは、みなさんお楽しみの懇親会。近くにある居酒屋でかんぱーい! 先ほどの話題からの流れで。ヘッダの数バイトを気にしながらのシステム設計やバイナリデータを扱う方法など、プログラマ昔話に花が咲いた。
ふと気づけばもうすぐ23時。翌日の午後には、香川県高松市でSORACOM UG Shikoku #1.5が待っている。ここにいるメンバーの中にも参加者はいるし、筆者も朝までに高松に移動しなくてはならない。ということで、ここらでお開きに……。
「しまった! 駐車場の営業時間が22時半までって書いてある!」(松下さん)
「ななな、なんだってー」(全員)
「もう会計とかいいから、駐車場行って! どうせ明日会えるから誰かが建て替えときますから!」(全員で松下さんを追い出し)
松下さん、懇親会にも共感しすぎちゃったんだね。間に合うといいんだけど……と心配していると「守衛さんがまだいたので出庫させてもらえました」というメッセが。よかった、松下さんちゃんと高松に行けますね。安心したところで、私も高松に向かわなければ。メッセで時間を確認して……。
筆者「明日の集合何時ですか」
某社辻さん「高松駅前5時です」
筆者「朝の?」
某社辻さん「5時です」
人の心配してる場合じゃねえ。さらばだ松山、また来るぜ!