VRヘッドセットのなかで、どんな製品がオススメなのかを探る本記事。今回扱うのは、画面サイズが4~6インチのスマホを内蔵できるボール紙製VRゴーグル「P-VRG05F1」だ。これはデザインが選べる「P-VRG05」シリーズのひとつとなっている。実売価格は記事執筆時のAmazonで1188円。
P-VRG05はブラック、レッド、迷彩、そして今回取り上げる可愛らしい顔の印刷がされたフェイスと、好みのデザインを選べるゴーグルだ。ボール紙によって作られているため軽量で、組み立てた後の折り畳みも可能だ。ボール紙では珍しく、装着しながら画面のタップもでき、価格も1000円台と非常に手を出しやすいことが特徴だ。
折り畳み可能、コンパクトで携行性も◎
本製品は、レンズが格納されている本体部分をあまり小さくできないものの、折り畳むことで直方体の形となる。紙製ということで持ち運び時の損傷などが気になるが、凹凸の無いコンパクトな直方体に畳めるため、持ち運びの際に本体の一部が引っかかって破損するということも少ない。
上記画像がヘッドバンドを外して折り畳んだ状態。展開時と比べて頭に装着する部分が小さくなり、持ち運びやすくなる。
ずり落ち防止のあるスマホ装着
本機のレビューには「iPhone 6s」と「Galaxy S6 edge」を使用。スマホの装着は、ゴーグル前面を開け、蓋部分とレンズのあるゴーグル本体部分との間に挟むようにして設置。テープの強度は十分なので、テープが取れてスマホが落ちるといった心配はないだろう。
スマホ向けのVRゴーグルでは、設置したスマホがズレ落ちることも気になる。しかし、P-VRG05は、スマホが下にズレることはない。可能性があるのは、首を傾けたときに横から落ちることだが、しっかり挟み込めばそれだけでも安定する。フィット感はiPhone 6sとGalaxy S6 edgeで特には変わらない。
もし、スマホがゴーグルから落ちるのなら、付属のスポンジを使うことでスマホとゴーグルの隙間を埋め、ずり落ちを防止することができる。
ユーザーへの配慮が光る
頭へ装着する際、他製品と比べて目立った点が2つある。まず1点目は、ゴーグルを頭に固定するためのヘッドバンドが伸縮する素材になっていること。長さの調整が簡単にできるうえ、頭の圧迫感もあまりなく、フィットしやすい。支える必要なく普通にアプリを体験することができる。
2点目は、スマホの画面タップ機構。スマホを装着した状態で、上記画像にあるゴーグル右上のくぼみを押し込むことで、画面をタップすることができる。多くのスマホVRアプリは、画面をタップしなくても操作できるように配慮はされているが、本ゴーグルではタップが必要なアプリでも体験可能。タップするときは、タップ機構部分を指でぐっと押し込む。感度は十分で、特に違和感なく反応してくれる。
アプリ体験は少し注意
一方で、使用感に関しては少しだけ注意しておきたい点がある、まずはレンズと目の位置がかなり近い。少し傾けば、瞼がレンズに当たって目が開けにくくなるほど近い。関連して、やや鼻への負担もかかる。鼻周りの素材は固く、しばらくゴーグルを装着していると、鼻周りが疲れてきてしまう。この形状のため、眼鏡も使用もできない。
また、本デバイスには以前レビューしたプラスチック製ヘッドセット「Virtoba X5」のような、使用者によって個人差のある瞳孔間距離を調整するダイヤルなども存在しない。視力によっては、VR体験に支障が出るかもしれない。
今回のレビューで使用したVRアプリは、グリーが手掛けたアクションゲーム「シドニーとあやつり王の墓」。これは敵が四方から襲ってくるため、周囲をグルグルと見回す必要があるアプリだ。それを踏まえた本デバイスでの使用感としては、レンズと目の距離が近いということ以外は、軽くてプレイしやすかった。しかし、Gear VRでの体験と比べると、やはり視界や光の入り具合による没入感や、目の周りの快適性は劣る。
なお、ゴーグルを装着してVRアプリを体験していると、今回使用したiPhone 6sとGalaxy S6 edgeでは、どちらも画面の上下の端が両目の左右に少し映ってしまっていた。特にiPhone 6sのほうが画面が狭いため、視界が狭くなった。
とはいえ、1000円台という気軽に手が出しやすい価格でもあり、とりあえずVRを体験してみたい人や、持ち運びしやすいゴーグルがほしい人には、このP-VRG05シリーズはオススメできる。何度も使用するものなので、デザインで選んでもいいだろう。