競争が激化するフリマアプリ市場で、またサービスを終了するアプリが出た。(株)スタートトゥデイは12日、ファッションフリマアプリ「ZOZOフリマ(ゾゾフリマ)」の全サービスを6月30日で終了すると告知した。好調なファッションEC「ZOZOTOWN」のユーザーを抱える同社でも、サービス開始からわずか1年半で市場から撤退することになった。
フリマアプリ乱立で競争激化
フリマアプリ「ZOZOフリマ」は、15年12月にスタートしたサービスで、出品した商品は「ZOZOフリマ」内だけでなくZOZOTOWNにも「フリマ商品」として掲載される。また、ZOZOTOWNやコーディネートアプリ「WEAR」の商品情報・画像を使用して出品できるため、商品撮影や商品情報の詳細を入力する手間がなく、利便性の高いフリマサービスだった。
「ZOZOフリマ」の背景には、フリマアプリ市場の競争が激化していることがある。フリマアプリ市場では、14年に楽天が「ラクマ」を開始し、15年にはカカクコムが「フリマノ」、スタートトゥデイが「ZOZOフリマ」、ジオシスが「Qoo10フリマ」を開始するなど、続々と新アプリが立ち上がっていた。しかし、15年1月にはGMOペパボが「kiteco」を終了し、同11月にはクルーズが「Dealing」を事業譲渡、16年5月にはLINEが「LINE MALL」を終了するなど、市場から撤退する会社も出ていた。
最近では1度撤退したクルーズが、新たにファストファッション通販「SHOPLIST.com」と連携したUSEDアプリ「SHOPLIST USED」を開始した。
フリマアプリ市場では、トップの「メルカリ」が圧倒的な強さを見せている。(株)ジャストシステムが15年10月に発表したフリマアプリの利用率では、「メルカリ」(88.6%)がトップを独走しており、2位の「フリル」(30%)を大きく上回っている。この調査で4位だった「ラクマ」を運営する楽天は、16年9月に「フリル」を運営するFablicを買収するなど、「メルカリ」を追走している。
循環型システムに矛盾が存在
こうした状況のなか、「ZOZOフリマ」はファッション限定で挑んだが、各アプリがファッション以外のジャンルに手を広げているように、ファッションのみのアプリとしては、それほどの成果が上げられなかったようだ。スタートトゥデイは「利用者から評価はされていたが、想定していた結果が得られなかった」と話した。
「ZOZOフリマ」は終了することになったが、そのシステムは画期的だった。自分が飽きて着なくなったファッションアイテムでも、他の人から見れば新しいユーズドのアイテムとなる。ZOZOTOWNで購入したファッションアイテムを、ZOZOフリマで販売するという循環型の販売スタイルは、同社のサービス内ですべてが完結するサービスで、手間もかからず、環境にも優しいしシステムだった。
しかし、ここに矛盾点があった。それはもう一つの循環型サービス中古品のファッションEC「ZOZOUSED」と「ブランド古着買取サービス」の存在だ。出品者はなるべく高く中古商品を売りたいのだが、「ZOZOフリマ」と「ブランド古着買取サービス」のどちらが高く売れるかがわからない。「ブランド古着買取サービス」の査定を得てから「ZOZOフリマ」に出品するのでは、せっかく便利なサービスが逆に手間になってしまう。また、出品が便利であっても、商品が売れないと話にならない。
同社の新事業として期待された「ZOZOフリマ」だが、ファッションECとフリマアプリの連動は想像以上に難しく、新品と中古が連動する書籍のネット通販とは状況が異なるようだ。
(山本 剛資)