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最大でも72度で熱ダレもなし!

「Preimum-Line Z270FD」の水冷クーラーの実力やいかに? 温度と動作クロックの変化をチェック

2017年04月12日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「Preimum-Line Z270FD」

 自作PCで人気の高いパーツを数多くリリースしているFractal Design。このパーツをふんだんに使ったBTOパソコンが、サイコムの「Preimum-Line Z270FD」(関連記事)だ。水冷クーラーを採用し、冷却性と静音性に優れているというのが特徴の1つになっているが、どのくらい冷えるのかが気になったので検証してみた。

240mmラジエーター採用の「Kelvin S24」を天面に装着

 CPUに装着されている水冷クーラーは「Kelvin S24」で、大きな240mmラジエーターを採用し、2つの120mmファンで冷却するという構成だ。ラジエーターはケース天面に固定されており、熱をそのまま外へと逃がせるようになっている。もともと熱は上へのぼりやすいこともあって、理想的な配置といえるだろう。

CPUに装着されているウォーターブロックは、ポンプ内蔵ながらかなり背が低い。通常CPUクーラーがある空間が丸々空いているような印象だ

 水冷クーラーで怖いのが、液体の循環が止まってしまうこと。CPUに負荷がかかって温度が上昇すると、水冷クーラー内の液体温度も上昇していく。この熱によりチューブが柔らかくなり、折れ、ねじれといった問題を引き起こすことがあるのだ。こうなると液体が循環できなくなり、熱がCPUにとどまり続け、ついには熱暴走……なんてことになりかねない。

 「Kelvin S24」はこういった問題が起こらないよう、チューブにコイルを装備。急な角度で曲がらないようになっているため、多少チューブが柔らかくなっても折れる心配がないのだ。

コイルで保護されているため全体がしなり、1ヶ所だけが急な角度で曲がるということがない

「OCCT」でCPUの温度をチェック
最大でも72度で熱ダレもなし!

 Preimum-Line Z270FDが搭載しているCPUはCore i7-7700K(4.2GHz)、GPUはGeForce GTX 1060。この2つに同時に高負荷をかけ、CPU温度とケース内温度(マザーボード上のセンサー)がどのように変化をするのか見てみよう。ストレステスト用のソフトとして使用したのは、定番の「OCCT」。CPUとグラフィックに同時に負荷をかける“POWER SUPPLY”で、約1時間ほど動作させてみた。なお、グラフィックへの負荷は1024×768へと変更している。

PC全体に高負荷をかける“POWER SUPPLY”でチェック。かなり負荷の高いテストとなるため、悪条件での動作確認にピッタリだ

 いきなり結果を見てみよう。「HWMonitor PRO」を使ってマザーボードのセンサー値を読み取ったところ、CPU温度は最大で72度、ケース内温度は32度という結果となった。流石に負荷が高いだけあってCPUの温度はかなり上昇しているものの、ケース内は2度しか上昇していない。水冷クーラーにより、ラジエーターからCPUの熱を効率よくケース外に排出できているというのがよく分かる結果だ。

CPU温度もそうだが、ケース内温度(マザーボード上のセンサー)の低さに注目。熱がケース内にとどまっていない

 また、OCCTによるCPU温度の変化を見てみよう。3回ほど謎の停止があったようだが、OCCTのテストではたまに出る現象なので、これはスルー。CPU温度はテスト開始から徐々に上がっているが、だいたい20分ほどで70度前後に収束している。ここから1時間後まで横ばいになっているため、これ以上の温度上昇はないと見ていいだろう。とても安定した冷却性能だ。

最大72度という温度は安定動作に十分な範囲。いつまでも温度が上がることなく頭打ちとなっているため、長時間高負荷が続く用途でも安心して使えるだろう

 もうひとつチェックしておきたいのが、CPU性能の低下がないかだ。CPUは高温になると故障を未然に防ぐため、動作速度を落として発熱を抑える“サーマルスロットリング”が発生する。冷却性能の低いCPUクーラーを使うとこれが頻発し、性能をフルに発揮できないわけだ。高温時の速度低下という意味で、「熱ダレ」と呼ぶ人もいる。

 このサーマルスロットリングが発生しているかどうかは、CPUの動作クロックをチェックすれば一目瞭然だ。先程のOCCTでの負荷テスト中のCPUクロックを見てみよう。

OCCTで負荷をかけた場合のCPU動作クロック。4.5GHzで終始安定動作していた

 結果は見ての通りで、ブレることなく4.5GHzで安定。Core i7-7700Kの定格クロックは4.2GHzだが、ターボブーストにより4.5GHzまで上昇する。ターボブーストはCPU温度に余裕がある場合に有効になる、いわば自動オーバークロック機能。常にターボブースト状態を維持して安定しているということは、それだけしっかりと冷却されているということだ。

 水冷クーラーというと冷却性能に不安を覚える人もいると思うが、Preimum-Line Z270FDに採用されているKelvin S24なら、Core i7-7700Kをフルに動かしても安定した動作が期待できるほどよく冷える、というのが検証で確認できた。

Preimum-Line Z270FDの主なスペック
機種名 Preimum-Line Z270FD
CPU Core i5-7600K(3.8GHz)
グラフィックス GeForce GTX 1060(6GB GDDR5)
メモリー 16GB
ストレージ 500GB HDD
マザーボード ASUS Z270-A(Z270チップセット)
内蔵ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
サイズ およそ幅232×奥行531×高さ451mm
OS Windows 10 Home(64bit)

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