赤外線カットフィルターを用いることなく撮像波長域を切り替えられる
パナソニック、有機薄膜CMOSイメージセンサーでの近赤外線域撮像技術を開発
2017年02月09日 17時36分更新
パナソニックは2月9日、積層型有機薄膜を用いたCMOSイメージセンサーによる近赤外線域撮像を可能とする電子制御技術を発表した。
有機CMOSイメージセンサーは光を電気信号に変換する機能を有機薄膜で、信号電荷の蓄積と読み出しを行なう機能を下層の回路部でそれぞれ完全独立の構成となっている。この独自構造により高感度、ワイドダイナミックレンジ、グローバルシャッター機能を備えている。有機CMOSイメージセンサーの特長を維持したまま、撮像波長を可視光域から近赤外線域まで拡げ、近赤外線域の感度を電気的に制御する機能を新たに付加する技術を開発した。
人の目では暗くて見えないようなシーンも、近赤外線域での撮像で鮮明に画像を取得することが可能になり、監視カメラでは夜間の視認性が向上する。同一画素内でセンサーの近赤外線域感度を制御できるので、赤外線カットフィルターを用いることなく撮像波長域を切り替えられる。
近赤外線域の感度を全画素で同時に制御することで、近赤外線域の撮像時には4倍の画素数を実現でき、画素欠落のない近赤外線域で撮像が可能になる。物質を透過する近赤外線の特徴を利用して、肉眼では見えない物質内部の情報を非破壊で高精細に取得できる。上記の写真では水槽の醤油が透けて奥にある瓶のラベルが確認できる。
イメージセンサーの近赤外線域感度を高速に電子制御するので、フレームごとの感度波長域を切り換えた撮像が可能になった。これにより人の目では捉えることのできない埋もれた画像情報とわずか1フレームの差で交互に取得できる。1つのイメージセンサーで高速に動く被写体の色情報と近赤外線を用いた不可視情報の取得が可能なので、産業や監視用途のカメラへの応用が期待できるとしている。