この連載は江渡浩一郎、落合陽一、きゅんくん、坂巻匡彦が週替わりでそれぞれの領域について語っていく。今回は落合陽一が、イラストレーター・漫画家のカナヘイとコラボした作品「ゾートログラフ」を解説する。
2016年12月22日から2017年1月9日まで、池袋のサンシャインシティにて人気イラストレーター・漫画家のカナヘイ先生(以下敬称略)による展覧会「カナヘイのゆるっとタウン」が開催された。そこでカナヘイとのコラボ作品「ゾートログラフ」を発表したほか、いくつかの作品のテクニカル面をお手伝いさせていただいた。そのまとめを兼ねて、今回の記事ではコラボ作品のゾートログラフを中心に述べ、またほかのテクノロジーについても紹介したいと思う。
落合は物質と映像の間、人と機械との間をどうつなぐかを日々考えている。研究としては計算機自然と呼ばれる生態系を夢想し実装することを目的に、作家としてはそのギャップにある原初的な感動や美しさを形として切り出すことを作家性として創作活動をしている。
そのためにエジソン以来から連なる発明・視聴覚メディア装置の再構成を、コンピューターを用いて行ない、研究者・アーティスト・実業家としての姿をさまざまな場所に適応させながらその目標に常に向かっている。それはつまり、映像としてこの世界の時間と空間から切り離されたイメージと、物質として一意に定まった存在の差をテクノロジーと感性の両面から考えていくことだ。
たとえば,ローテクなレンズ光学系を使った作品としてはLooking-Glass Timeがある。
ハイテクなホログラフィック合成や超時短パルスを用いた作品としては、Fairy Lightsが挙げられる。
今回、コラボ作品のお話をいただいたときに、デジタル世界で自由に振る舞うキャラクターと、フィジカル世界のギャップをごちゃ混ぜにする作品を作りたいと考えた。

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