1万円台イヤフォンから変わり種スピーカーまで、今旬のBluetoothオーディオを聴きまくる! 第3回
変態的……いや、超個性的なBluetoothスピーカーを試聴する!
2016年02月17日 10時00分更新
これはランプですか!? ガラスから音が出る
グラスサウンドスピーカー ソニー「LSPX-S1」
ソニーの「LSPX-S1」(実売価格 8万円前後)は“グラスサウンドスピーカー”と呼ばれる新カテゴリーのモデルだ。透明な円筒は有機ガラスで、その中心にはLEDライトがある。インテリア照明のようなスピーカーだ。
こうした照明とBluetoothスピーカーが融合した商品はすでに他社からも登場しているが、本機が凄いのは、ライトのカバーに思える有機ガラスから音が出ること。
2008年に登場した「Sountina」(サウンティーナ)という愉快な360度の指向性を持つスピーカーがあったが(当時の定価100万円)、ここで生まれたバーティカルドライブテクノロジーを継承しているのだ。
その仕組みとしては、ガラス管の下部に加振器が3つ装着されており、これがガラスを叩くことで高音域を再生。円筒のガラス全体が振動するため、音は360度に拡散する。
ちなみに、中低音域は下部の円筒部分に下向きに配置されており、円錐状の拡散器によってこちらも360度方向に広がる。こんな仕組みの2ウェイスピーカーだ。
Bluetoothスピーカーの機能としては、NFCはもちろん、音声コーデックはSBC、AAC、aptX、LDACに対応する。2つのLAPX-S1をワイヤレスでリンクさせ、ステレオ再生することも可能だ。またバッテリーも内蔵しており、その寿命は約4時間となっている。
2台を組み合わせてステレオ再生も可能
さっそく音を聴いてみよう。まずは1本で再生してみたが、見た目やガラス管を鳴らしている特異なスピーカーではあるが、音はごくごくまともだ。
中高域のクセっぽさもまったくなく、しっとりと落ち着きのある上品な音になる。低音はあまり欲張っておらず、音楽を聴いて力不足にならない程度にバランスしている。
中高域の解像度は高く、ボーカルの透明感のある声も実にきれいに描き出される。強いていうならば無指向性ということもあって、ステレオ感はないに等しいと感じたくらいだ。
そこで、LSPX-S1を2つ使って、ステレオ再生にも挑戦してみた。底面にある操作ボタンで、ADDボタンを押すと2本のLSPX-S1の接続モードになり、通信が完了すると、インジケーターが点滅して知らせてくれる。
その後にADDボタンを押すと、2つのスピーカーの左と右の切替、2つとも同じ音を出すデュアル再生に切り替わる。
まずはいわゆるステレオスピーカーの置き方で、試聴位置の左右に配置して聴いてみたが、そのステレオイメージの広大さにびっくりした。
ほんの1mほどの間隔での近接試聴だが、スピーカーの外側にも音が広がり、大編成のブラスバンドが目の前に展開した。音場の奥行きもかなり深く、実に立体的な再現だ。
低音をあまり欲張っていないのでスケール感や力強さは出ないが、精密なミニュチュア模型を見ているような箱庭的世界が現われた。
さらに面白いのが、遠くに離れたり、スピーカーの真横のような場所から聴いてみても、それなりにステレオ感のある音場が聴き取れること。
これが無指向性スピーカーのポイントでもある。ホログラフィック的に音が浮かび上がっているような表現は、一般的なスピーカーとは感触も異なるが、落ち着いた音色も含めて聴き心地が良い。
Bluetoothスピーカーにデザインの良さやインテリア性を求める人も増えてきているが、こんなスピーカーはまさにおすすめと言えるだろう。
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